論点を把握する(4)〜広げる(1):テーマを論理的に分析する〜 

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前回は、論点を把握するステップとして、「広げる→絞り込む→深める」という流れを説明しました。ここからは、重要なステップである、「論点を広げる」について考えていきましょう。

「議論すべき論点」と「議論になりそうな論点」の二方向がありますが、骨格をつくるのは論理的に考えて「議論すべき論点」を洗い出すことです。そのうえで、参加者の視点から「議論になりそうな論点」を洗い出し、追加していくとよいでしょう。

では、論理的に考え「議論すべき論点」を洗い出す、とは、どのように行えばよいのでしょうか?これにはいくつかのアプローチがあります。「仕込み」において最も難易度が高い部分でもあるので、今回から数回にわたり丁寧に見ていきます。

テーマ自体から論理的に洗い出す

まず考えられるのは、そこで議論されるテーマ自体から、論理的に論点を洗い出していく方法です。「論点とは何か?」のところでも少し説明しましたが、たとえば「ある市場に進出すべきか?」といったテーマであれば、その問いに答えを出す上で判断を左右するポイントを洗い出し、「市場は魅力的か?・そこで競合に勝てるか?・当社の強みは活かせるか?・弱みは問題にならない/補完が可能か?」といった論点を考えていく。そしてそれぞれを更に細分化し、たとえば「市場は魅力的か?」を「規模は大きいか?・成長率は高いか?・収益性は高いか?」というように、階層を掘り下げていくやり方です。

これは「真正面から、自分の頭で論点を考える」、まさに王道とも言えるやり方です。次のようなステップで考えます。

【洗い出しのステップ】
(1)大きな問いに答えるための論点をいくつか考える
(2)論点同士の関係を考え整理する
-1:似ている論点を2〜4程度にグルーピングする
-2:グルーピングした論点の中で、「抽象度の高い大きな論点」と「細分化された小さな論点」を階層化し整理する(大きな論点が見つからなければ、細分化された小さな論点aについて、さらに「aだから要するに何だ?」と問いかけて、それを包含する大きな論点を考える)
-3:論点の大きさ(抽象度)を揃えて、階層化し、整理する
(3)それぞれの階層における「論点のセット」について、全て「賛成」となったと仮定し、それらの論点【以外】で【反対】ができるとすると、どのような論点か?を考えて論点を補完していく

たとえば、あるサッカーチームが、別のチームのスター選手を獲得すべきか?を議論するとしましょう。最初に、「能力は高いか?」「テクニックがあるか?」「体力があるか?」「人気があるか?」「希望年俸は払えるか?」といった論点を考えたとします(洗い出しのステップ(1))。

これらを仮に、「能力は高いか?」「テクニックがあるか?」「体力があるか?」のグループと、「人気があるか?」と、「希望年俸は払えるか?」の3つにグルーピングしたとします(洗い出しのステップ(2)-1)。最初の4つを考えてみると、「能力は高いか?」が抽象度が高く、「テクニックがあるか?」「体力があるか?」は、「能力は高いか?」をより細分化した論点であることがわかります。

更に、「能力が高いか?」と「人気があるか?」の2つについて、「だから要するに?」と考えると、「取りたい選手か?」という、より大きな論点が見つかります。同様に、「希望年俸は払えるか?」に「だから要するに?」を考えると、「我がチームは獲れるのか?」という一段抽象度が高い論点が見つかります。

ここで、一番上に「取りたい選手か?」「我がチームは獲れるのか?」という論点があり、その下に、前者には「能力が高いか?」と「人気があるか?」、後者には「希望年俸は払えるか?」があり、さらに「能力が高いか?」の下に「テクニックがあるか?」「体力があるか?」がある、という形に階層化できました。

そしてそれぞれに対して、他の反論を考えていきます(洗い出しのステップ(3))。一番上の階層はよさそうです。では二段目はどうでしょう?「能力が高く、人気があるとしても、取りたい選手ではない場合は?」を考えます。そうするとたとえば、「我がチームの戦術に合わなければ必要ない」といった反論が考えられるので、「チームの戦術にマッチするか?」という論点を補います。

「我がチームは獲れるのか?」に関しても、「希望年俸が払えるとしても獲得できない場合は無いか?」を考えてみると、たとえば「本人が移籍を希望するか?」「現所属チームに放出する意思はあるか?」といった論点が見つかります。

むろん、これでもまだまだ反論は考えられ、論点も出てくるでしょうが、一度こうしたプロセスを踏んでおくことで、最初に比べてかなり広く論点を洗い出すことができ、また論点相互の関係もわかりやすくなります。こうした頭の状態をつくることが、ここではとても重要なのです。

このように論点を洗い出し、考えることができればよいのですが、なかなか難しいもので、相当に訓練・習熟しないと使いこなせません。私は多くの方々に「クリティカル・シンキング」のクラスでこうした思考法を指導していますが、多くの方が最も難しく感じるポイントでもあります。難しい理由は、そもそも論点を考える自由度が高いこと、抽象度の判断・コントロールが難しいこと、自分の考えた論点に対し、論点レベルでの「反論」を考えることが難しいからです。このため、いきなりこうした考え方で論点を洗い出すのは難しく、もう少し定型的なパターンや「型」がないと、「とっかかり」が作れません。

では、どのようなパターンや型が考えられるでしょうか?次回はそこを考えてみたいと思います。

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