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Twitterに頭を抱える全ての担当者へ

投稿日:2010/05/07更新日:2019/04/09

経営者の指示に戸惑う広報担当者

連休の中日、5月3日の日経MJ・総合欄にコラム「日経ネットマーケティング渡辺博則編集長のIT新事情」が掲載された。「企業のツイッター導入社長命令に現場困惑」とのタイトルが目に飛び込んできた。ソフトバンクの孫正義社長、楽天の三木谷浩史社長に触発されて、社内の広報担当者に自社でのTwitterの活用を指示する経営者を例示している。

記事では、メルマガやBlogと異なる難しさの一つとして、社内でのチェック体制が追いつかない「即時性」を挙げている。更にもう一つ、担当者の個性にどこまで頼るのか、コントロールするのかという難しい問題に触れている。結論としては「個性に頼らず、属人性を廃して複数人で担当を」ということのようだ。

日経関連では、同様のテーマを「日本経済新聞電子版」が取り上げている。

「なぜ挫折する?導入企業の心得ビジネスツイッター総点検!(4)」

記事には、かつてTwitterでのキャンペーン告知がSPAMと認識され炎上し、素早いお詫びとリカバリーで名をあげた上島珈琲(UCC)の事例で、組織体制と承認プロセスが解説されている。日経MJの指摘する「即時性に対応した承認プロセス」に対する一つの解として必見だ。

もう一つ、企業アカウントを運営する担当者とその個性、属人性をどうするかという問題には、いくつかの選択肢が示されている。

大前提として、「属人性」を減らすために、目標を明確化させると、1ページ目に指摘がある。目的が曖昧(あいまい)なままアカウントの運用を始めると、「つぶやく内容がない」「運用の負荷が大きすぎる」「フォロワーが増えない」「コミュニケーションの取り方が分からない」「最適な担当部署が分からない」「効果が見えない」などの悩みにさいなまれるとある。それはまさしくその通りだ。

その上で、責任者を決め、複数人で運営したほうがいいとして、その目的に応じて(1)キャラクター設定をして複数の担当者でそれを演じる、(2)キャラクター設定をせずに各担当者の個性を出す、(3)個性を出さずに淡々と情報を伝えるという選択肢を示している。

筆者としては、「ユニクロ」のようなセール情報だけを淡々とリリースするTwitterの利用法なら(3)の無個性で構わないと思うが、さりとて(2)の担当者の個性に依存するのも、誰もが「加ト吉」の名物部長ではないのでムリだと思う。故に、(1)のキャラクター設定がキモとなるのだ。

広報部川口恵子29歳趣味はバーゲン巡り

「ペルソナ(persona)」とは本来、「仮面」とか「登場人物」という意味を持つ言葉だ。ポスト・モダンマーケティングの手法で、仮想の人格を詳細に作り上げ、リアルなターゲット像を構築することに用いられる。また、ネットマーケティングにおいても、自社サイトのユーザー像を明確化して、ユーザビリティーの向上や、コンテンツやサイト全体のあるべき姿を検討する際に用いられる。

本来のペルソナ構築手法は、市場調査などの定量データにユーザーインタビューなどの定性データを加え、最後には仮説と想定を重ねて、一つの人物像を作り上げていく気の長い作業である。(構築手法は各種書籍やサイトで紹介されているため、今回は割愛する)

ペルソナを作り上げると、ターゲット像が極めてリアルになることによって、ターゲットのニーズや課題、購入動機などが理解できるようになり、今まで漠然としていたターゲット像とのギャップを埋めることができるようになる。また、従来「ファミリー層」「シルバー層」などというひと言で括ってしまっていたターゲット像を具体的な個人として意識できるようになり、その行動もよりリアルに想定できるようになるという大きなメリットがある。

そして、関係者一同がターゲット像を共有しやすくなることから、マーケティングプランの全体の策定などや、より詳細な販促プランへ落とし込みをする時でもブレがなくなる。ターゲット像が明確でないと、各々が過去の経験に縛られたり、自分にとって都合のよいタイプをターゲットとして設定したりしがちになる。それを防止する効果があるのだ。

さて、Twitterの企業アカウントを複数担当者で運営する場合、ペルソナがどのような効用をもたらすかは、上記の「ターゲット像明確化のためのペルソナ構築」で概ね理解できるだろう。つまり、「商品開発に有用な、消費者・顧客の声を収集する」というような目的を達成するために、広報部に新規配属された人物・ペルソナを構築して運用するわけだ。

「入社7年目で、営業部3年、マーケティング部3年の勤続の後、広報部へ異動になった川口恵子29歳・独身。趣味はバーゲン巡り」というようなプロフィール像を詳細に作り、さらに川口恵子がTwitterのアカウントを担当する勤務時間や、社内情報で知っている範囲、回答権限なども設定しておく。そうすることによって、ありがちなTwitter担当者が休日深夜まで対応したり、どこまでユーザーからの質問に回答していいのかなどに悩んだりするという問題も回避できる。

こうしたペルソナの設定と運用は、拡大して活用範囲を考えれば、企業のお客様相談窓口におけるE-mailや電話対応にも応用できなくもない。しかし、今までほとんどそうした活用例が見受けられなかったのは、問い合わせ側が企業の窓口にそこまでのフレンドリーさを求めていなかったからだといえるだろう。良きにつけ、悪しきにつけ、Twitterのアカウントにはそれなりの「個性」をユーザー側は期待する「文化」が形成されつつある。その対応に、「ペルソナ」を一度、検討することをお勧めしたい。

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