世代の責任、リーダーとしての自覚(堀義人 起業家の冒言) 

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「政策提言」しなかった理由

先日執筆した「オピニオン:『評論知』と『実践知』」に、藤田さんという方から以下コメントがあった。

「より具体的に、法令や社会制度をどのように変えるべきか、いわゆる『政策提言』をされるお考えはありませんか。例えば『格差社会』について論じるだけでも、所得税、相続税と贈与税、子ども手当など、具体的に議論すべき多くのイシューがあると思います。その方がより建設的なオピニオン形成につながるのでは、と思った次第です」

簡単にお答えしよう。

僕は、今まで「政策提言」には、興味が無かった。なぜならば、一生懸命に提言をしても、実行されなければ徒労に終わるし、そもそも実行させるだけの政治力も無い。つまり、投資時間や労力に対するリターン(ROI)が低いと感じてきた。

そこで、提言をする代わりに、自らが行動で示し、自らが社会変革を起こそうという気持ちでやってきた。具体的には、教育を問題と捉えれば、自ら大学院を創るし、産業の創出が必要ならば、ベンチャーキャピタルを通じて企業創出のお手伝いをする、社会に経営知が必要と考えれば出版も手がける、という具合だ。個人としては、少子化が問題ならば、自らが人口を増やそうとし、そして、その行動を「起業家の風景」に記したり、新聞・雑誌媒体にも必要に応じて出て、アドボカシーとしての役割を果たしてきたつもりだ。

その率先した行動が、周りを巻き込み、大きなうねりになるのではと思ってきた。グロービスがビジネススクールを作ってから、その後多くの大学が参入した(グロービスの動きとは関係ないかもしれないが)。投資によって、ワークスアプリケーションズやグリーなどの企業が輩出され、ロールモデルとして世の中を変えている、という風にだ。

1998年9月にブログを書き始めた際に、初心を「連載にあたって」に書き記した。機会があったら読んで欲しい。そこには明確に、「社会への提言ではなく、自分の身の回りの出来事をもとに自らが何をすべきかを中心に捉えたい」と書かれている。そして、次のとおり記載されている。

「『政府は、減税すべきだ』、『自民党は、財政再建よりも金融システムの維持をすべきだ』などという政治家や評論家かぶれの政策提言的な論調はとらない。とても偉そうだし、実行を伴わない提言ほどむなしく感じるものは無い。『起業家の風景』では、常に身の回りの出来事から、身の丈にあった視点で、自らが実行できる範囲でメッセージを送りたい」。

パワーを持った世代が社会を導く責任を持つ

その精神に則り、「起業家の風景」を12年間書き続けた。そして、今年新たに、「起業家の冒言」を始めた。つまり、オピニオンだ。その経緯は、「一人一人の言動が日本を変える」の冒頭に説明をしたとおりだ。

事実、「起業家の冒言」を書き始めてから、このツイッター上でも激論の連続である。敵も作ったし、嫌われてもいるし、傷ついた人もいるし、恨んでいる人もいるかもしれない。でも、そうは言っていられない。

もう、僕も日本の方向性に責任を負う年齢になってきた。日本のリーダーの一員としての自覚を持たなければならないのだ。僕が最近よく使う言葉で、「世代の責任」というものがある。緩やかな衰退期に入り、諸問題を抱える日本を僕らの力で、更に活力がある国にする必要がある。

70歳代の財界の大物が、「この国の政治はヒドイ」と言われた時には、僕は腹が立った

なぜならば、「日本を動かしてきたあなたの世代に責任があったのでしょう」と言いたいからだ。「そう文句を言うならば、あなた自身がもっと政治に関与して変えるべきだったのでは」と強く思うからだ。パワー(権力)を持った世代が、後世に対して良い日本を残す義務があると思っている。その責任を担う気概が言葉からは、感じられなかったからだ。

同様に若者を批判する年配の人にも腹が立つ。なぜならば、それも年配の人が作り上げてきた社会の産物だからだ。言うならば、自分を批判してからすべき言動と思うからだ(ちなみに、僕は日本の若者には、強い希望を抱いている。当然、僕もその若者の一人だと認識している)。ただ、その年配の域に僕らの世代が入りかけている。つまり、責任を持って良い方向に日本を引っ張っていかなければならない時が来ているのだ。

そこで、冒頭の藤田さんのコメントへの答えだが、簡単に答えようとしたが長くなって恐縮だが、一言でまとめると「提言活動」も当然やろうと思っている。ただ、徒労に終わったら時間とエネルギーの無駄だ。日本を良い方向に変えられなければ意味が無い。

提言活動の目的は、日本を良くするためだ。そのために、既に実は行動が始まっているのだ。僕らの同世代の仲間が今週末に一カ所に結集して、日本を良くするためのビジョン、戦略を議論し始めるのだ。まだ詳細は、言えない。ただ、言えるのは、僕らの役割をしっかりと果たす覚悟がある、ということだ。

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