勝間和代さんの本はなぜ急に売れ始めたのか 

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米国で200万部を売った「口コミのバイブル」

本書の原書は2000年に『TheTippingPoint』というタイトルで世に出て大ベストセラーとなり、日本でも同年に『ティッピング・ポイント』というタイトルで出版された。本書はその文庫版である。

ティッピング・ポイントとは、直訳すると「傾く時点」であり、それは、燎原(りょうげん)の野火のごとく爆発的に広まる瞬間のことを指している。例えば、ハッシュパピーという退屈だと思われていた靴が、いかにして最先端のファッションアイテムになり得たか、その現象のメカニズムを検証している。ちなみに、ハッシュパピーのブレイクは日本にも飛び火したので、ご記憶のある方ならその意外性を実感していただけるだろう。純日本的な事例で例えるなら、一時期、代官山界隈で雪駄を履くファッションが流行ったことがあったが、それに近いかもしれない。

特に宣伝もかけていない、時代遅れの商品が爆発的に売れるのであれば、ビジネスマンにとってこんなに願ったり叶ったりなことはないだろう。その秘密をかいつまんで著者風にまとめると、以下のようになるかもしれない。

——どうしたら、ティッピング・ポイントが訪れるのか。まず、お見合い写真を自在に集めてくる近所のおばさま(コネクター)。そして、頼まれもしないのにブログで家電製品の使い勝手を惜しげもなく評するオタク(メイヴン)。さらに、健康食品の魅力を余すところなく解説するみのもんた氏(セールスマン)という三人種の協力が得られると、途方もない大感染が引き起こされるのだ。

また、落書きされている塀が、されてない塀よりもさらなる落書きを誘引するように、ささいな一点からとんでもない繁茂を招くことも多い(背景の力)。

ただ、人によっては、これらを本質的なマーケティングではなく、とりあえずバンドエイドを貼るような応急処置だと軽く見下すかもしれない。だが、結果が出るのであればいいのではないか。このマーケティング方法を使って乳がん検査を受ける人が飛躍的に増えたケースも実際にある。つまりバンドエイドでがんを防ぐことだって可能なのだ。

行動経済学のメカニズムを先取りする驚異の嗅覚

著者のマルコム・グラッドウェルはワシントン・ポスト紙やニューヨーカー誌で活躍するジャーナリストであり、学者ではない。だからこそ、これほどまでにティッピング・ポイントの秘密を見事に解き明かすことができたのかもしれない。

グラッドウェルが定義したコネクターとメイヴン、セールスマンという人種は、マスコミ業界の人にとって、本当に自分自身か隣人の類である。

ちなみに勝間和代氏はこの本について「どうすればブームを作れるのか、私のバイブルです」とまで言っている。勝間ブランドが強いのは、自身が編集者顔負けのコネクター、メイヴン、セールスマンであり、また、彼らを熟知しているからだ。

というわけで、仕事で成功したい人は、勝間さんの本を読むだけでなく、身近に勝間さんのような人を見つけるといいかもしれない。

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