事件は白飯の上で起きている!丸美屋「納豆ごはん専用ふりかけ」のチャレンジ 

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卵かけご飯の脅威

昭和35年に「のりたま」を発売して以来、「“ふりかけ”といえば丸美屋」というポジションを獲得している同社だが、来月発売が予定されている新商品、「納豆ごはん専用ふりかけ」はかなりチャレンジな商品だ。

今回の商品に先駆けて、丸美屋は今年2月、「たまごかけごはん専用ふりかけ」を発売している。卵かけご飯といえば、昨今世界にまでその名が紹介され、すっかり日本のソウルフードとして定着したようだ。YOMIURIONLINEの記事「卵かけご飯熱々」によれば、島根県旧吉田村の第3セクター「吉田ふるさと村」が2002年春に売り出した卵かけご飯専用しょうゆ「おたまはん」が爆発的に売れ、ブームに火がついたという。

05年には同地で「たまごかけごはんシンポジウム」が行われ、全国各地に卵かけご飯専門店も登場。岡山の専門店では、年間7万食もの売上げを記録したとメディアが報じていた。ブームに乗って、卵かけご飯専用醤油も相次いで発売され、その数は優に50種を超えるといわれている。

丸美屋はふりかけ屋だ(……と言い切ってしまっては他の商材もあるので失礼だが、一消費者として考えると、そう見えてしまう)。

白いご飯という広大な大地が広がっていなければ、ふりかけの入り込む余地はない。卵かけご飯がブームになった時には肝を冷やしたに違いない。何しろ、多くの人が、ふりかけではなく生玉子で白いご飯を覆い尽くしはじめたのだから!

しかし、幸いなことに、ブームは専用醤油を生み出すに至った。「醤油をふりかけで代替させる」というアイデアを思いつくのに時間がかかったのか、開発が大変だったのか、ブームから5年目にして発売された、「たまごかけごはん専用ふりかけ」は遅すぎるくらいである。

たまごかけごはんブームは現在も続いており、専用醤油もさらに銘柄を増す中、丸美屋のチャレンジは、その専用醤油をふりかけで代替させようというものだった。同社ホームページの商品説明では、「醤油のかわりにまぜるだけ」という使用方法が紹介されており、明らかに「醤油ではなくふりかけで味付けを」という提案である。

しかし、今回の「納豆ごはん専用ふりかけ」は、先の「たまごかけごはん専用」の延長線上にあるかといえば、実は微妙に違う気がする。ビミョ〜に。

納豆と仲良くして白飯を奪取せよ

しかし、今度の「納豆ごはん専用ふりかけ」は先行商品の代替ではない。筆者は「納豆には醤油派」なのだが、多くの人は納豆に付属した専用タレを使用する。付属ではない専用タレも発売されているが、ごく少数しかない。そして今回の商品は、プレスリリースに、添付のたれやからしを入れて、ふりかけを混ぜるだけという使用方法。

つまり、「タダで付いているものを使えるのに、さらにコストがかかるものを使用させる」という、需要創造をしなくてはいけないのが今回のチャレンジなのだ。既にたまごかけご飯がブーム化しており、さらに先行して専用醤油が数多く発売されている状況と、納豆ご飯は状況が違う。

しかし、同社があえてチャレンジするのは、もうしばらくは続くと思われる不景気の影響で、食卓では卵かけや、納豆、ふりかけなどが多く使われるという商機を活かしたかったのであろう。「卵かけには対応した。あとは、納豆に奪われた白いご飯を、納豆の中に入り込むことによって、自社のビジネスの場としよう」という同社の執念を感じる。その執念によって、プラスαのコストを消費者に納得させることができるだろうか。

有望な市場ではある。6月にアイシェアが行ったインターネット調査「食べて満足!ご飯の友ランキング」によると、ご飯にかける好きなものとして、複数回答で、トップは「海苔」60.4%、2位は「納豆」59.7%、3位は「明太子」55.6%。次いで「生卵」が54.3%、「ふりかけ」が52.8%という結果である。

ふりかけを上回る人気の納豆にうまく用いられれば、丸美屋の「白いご飯シェア」はますます上昇するのである。今回は、卵がけご飯と違い、ブームに乗るのではなく、自らブームを創り出そうとしている。

たかがふりかけ。されどふりかけ。毎日食している白いご飯の上でも、マーケターの熱い戦いが繰り広げられている。そう考えるだけで、マーケティングリテラシーが上がる。何より、毎日の暮らしが楽しくなる。さあ、納豆ごはん専用ふりかけの発売日は8月20日。ぜひ使ってみてほしい。そして、マーケターの想いを感じ取ってみよう。

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