仁義なき牛丼戦争勃発寸前!すき家に勝算はあるのか 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

4月17日仁義なき牛丼値下げ戦争突入か!すき家に勝算はあるのか

すき家が牛丼の値段を350円から330円へと値下げした。ライバルの吉野家、松屋はともに380円。50円の差は大きい。この不況期にありがたい話だが、一方で「大丈夫なんかいな?」とも思ってしまうこの展開。すき家の値下げに対し、筆者は「吉野家、松屋は、対抗してくる」と踏んでいる。

2009年4月16日付け産経新聞朝刊に、「不況で熱々牛丼戦争再び?」と題する記事が掲載された。同紙によると、すき家は、主力の牛丼とカレーの価格を今月23日から値下げすると発表した。すでに期間限定で値下げした吉野家と松屋に対抗し、恒常的な値下げに踏み切ることで来店客を増やして増収につなげるのが狙いだ、という。

客単価、売上げとも低下している同社にとって危険な賭けに思えるが、値下げで価格に敏感な消費者の来店を促すといい、不況期で財布の紐が固くなった消費者を呼び込むことを優先した意志決定をしたことになる。

牛丼チェーンはもともと低単価、薄利多売のビジネスモデルだ。「いやいや、吉野家は営業利益率10%だと言うじゃないか」という論もあるだろう。『牛丼一杯の儲けは9円—「利益」と「仕入れ」の仁義なき経済学』(幻冬舎)を一読してほしい。同書はバイヤーの立場で書かれた良書であり、仕入れ値を下げることによって利益率を高めることの重要性を説いている。

仕入れ値を下げるバイイングパワーの源泉は、「規模」だ。今回のすき家のシカケは、その規模を一気に狙いに行く戦略ではないかと思われる。

■コストリーダーの地位を巡る激しい戦い

同紙によると、吉野家と松屋は米国産の牛肉を主に使用しており、すき家がメーンとする豪州産よりも単価が約1・5倍高いため、コスト的に値下げは難しい、という。自社も痛むが、対抗すれば、競合はもっと痛む。

同じ低価格商品の競争であっても、うまく棲み分けができている例もある。ファストフードではなく、アパレルの話。「ファストファッション」と呼ばれる低価格衣料の世界だ。

昨年日本に上陸して話題になったH&M、その他、ユニクロ、トップショップ、フォエバー21。いずれのブランドもお互い戦っているようで、テイストの違いで微妙な棲み分けがなされている。

しかし、牛丼は一度の食事で2杯を食べ歩くことはしない。各々のチェーンに固定的な熱心なファンもいるが、商品としての差別化要因が少なく、価格差が明確なら一般の消費者は安い方に流れる。牛丼市場において、消費者は価格に敏感なのだ。

ここでもし、利益率を保つため、吉野家と松屋が対抗しなかったらどうなるのか。顧客を奪われることになる。つまり、規模が縮小する。

先にも述べたように、利益を生むためには、規模の経済を効かせ、固定比率を圧縮しつつ、人件費は習熟度を高め効率化し、原材料費の仕入れも抑えるという変動費部分の圧縮も欠かせない。逆に言えば、顧客が奪われる、シェアが低下するということは、こうした規模の経済の効用が破綻することを意味しているのである。

記事の中で吉野家を傘下に置く吉野家ホールディングス(HD)の安部修仁社長は「値下げよりも品質を優先したい」とコメントしている。だが、コストリーダーはシェアこそが命。シェア死守のため、対抗値下げに踏み切るのは、時間の問題だろうと筆者は考える。

コストリーダーになれるのは業界で1社のみといわれる。全てのプレイヤーがプールの底で息を止めあい、一番最後までガマンして残る体力があるプレイヤーがコストリーダーだ。リーダーになれない企業は差別化戦略をとるか、独自のニッチ市場で生存領域を確保するしかない。

すき家の先制攻撃で、生き残りを賭けた息の止め合いが始まった牛丼業界。原材料の産地によるコスト構造の違いから、すき家は一気にシェア奪取し、コストリーダーの座を狙う戦略に出たのだ。さあ、吉野家は、松屋は、どうする。牛丼を食べながら、戦いの行方を見守ろう。

名言

PAGE
TOP