世界経済は底を打ったのか? 金融市場が注目するG20 

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100年に1度という今回の世界同時不況だが、米国ではガイトナー財務長官が発表した銀行の不良資産買い取り制度が評価されて、株価が上昇している。日本でも株価が上昇し、あるテレビでは「底を打ったように見える」とまで語っていた。

しかし残念ながら、景気の底が見えたわけではない。というよりもむしろ景気はまだまだ悪化しそうなのである。IMF(国際通貨基金)は、毎年秋に翌年の経済見通しを発表しているが、今年に入って1月末に修正、さらに3月にもG20財務相・中央銀行総裁会議でまた下方修正した数字を発表した。これによると、2009年見通しは、米国が−2.6%、ユーロ圏が−3.2%、そして日本がなんと−5.8%になりそうだという。

G20を取り巻く状況は明るくない

そんな状況下で今週4月2日からロンドンで始まるG20金融首脳会談だけに、世界の期待は大きい。2008年11月にリーマンショックを受けて急遽(きゅうきょ)ワシントンで開かれたが、各国が協調して景気対策を行うことなどが話し合われた。今回は、秋に各国が表明した景気対策の進捗(しんちょく)状況(例えば米国は2月17日に米国景気回復再投資法が成立し、350万人の雇用創出などに7870億ドル(約77兆円)の資金が投じられることになっている)などが確認されることになるだろう。

日本の麻生首相は、昨年度予算の第一次補正、第二次補正、そして2009年度予算という3段ロケット(名目では総額75兆円だが、真水は12兆円)を説明するのだろうが、これが内容的にも金額的にも物足りないことは明らかだ。だから実際、内閣府が試算した国内需給ギャップを埋めるための新たな補正予算が必要だと麻生首相は語るはずだ。

しかしG20を取り巻く状況は決して明るくはない。例えばWTO(世界貿易機構)は、今年の貿易量が9%も落ち込むという予測を発表した。これは第二次大戦後、最悪の数字である。

英エコノミスト誌は、そんな中で行われるG20の会議に求められることを次のように書いている(関連リンク)。

まず第1に世界経済に害を与えるようなことをしないこと(ドイツや中国が財政資金による景気刺激が十分かどうかでケンカしたりしないことなど)。第2に何か役立つことをすること、発展途上国への資金援助など。第3に、前回の会合でも確認された自由市場を守ることを確認すること。

しかし世界銀行によると、11月にワシントンで会合を開いたG20のうち17カ国で貿易を縮小させるような法律が成立したという。例えば、ロシアは輸入中古車にかける関税を引き上げた。これによって日本などからの中古車を扱っていた業者が抗議デモを行ったが、よその地域から派遣された警察の機動隊によって蹴散らされている。

世界の金融市場が注目するG20

もちろんこういった露骨な輸入規制だけではない。むしろ裏の保護貿易のほうが問題かもしれない。例えばオバマ政権が今週にも発表するGMやクライスラーに対する金融支援といったものである。ヨーロッパでも同じような動きがあるが、私企業に対して国の資金が融資されるということは「支援」にほかならず、自由競争にとっては阻害要因となる。援助がある国で行われれば、同じ土俵で競争する他の会社も国に対して援助を要求することになるだろう。

オバマ政権にとっても、世界での保護貿易主義の高まりは望ましくないはずである(だから財政支出による景気刺激策に「バイアメリカン条項」がつけられたとき、オバマ大統領はそれに懸念を示して、事実上弱める修正を行った。

世界の金融市場が固唾(かたず)を呑(の)んで注目しているG20の会合。もしここで自信を取り戻すどころかむしろ自信を揺るがすようなことになったら、世界経済の闇はますます暗くなるに違いない。

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