オバマ大統領と麻生総理……2人とも“楽観的”過ぎないか? 

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米国の景気対策法が成立したものの、これでは力不足だとか詳細が明らかでないとかいろいろ不満が噴き出している。麻生総理は「日本は相対的に傷が浅い」が持論だが、16日に発表される2008年10〜12月期の成長率がふた桁マイナスになるとすれば、とても日本の傷が浅いなどとは言っておられまい。

それは日本がグローバル経済にそれだけ深くコミットしていることの証左でもある。米国や欧州向けの輸出が悪いというだけでなく、中国を生産拠点としている企業が、中国への原材料輸出が減っているとか、中国での投資を抑えたために、中国への資本財輸出が減るというような直接間接の影響を受けるからである。

そういったことが数字として明らかになってくると、麻生内閣の景気対策では力不足であることも明白になりつつある。しかし実際のところ、国内需要を刺激しようにも、巨額の財政赤字を抱えていることや、公共事業以外にパッとする景気刺激策つまり雇用を創出する方法を麻生内閣は提案することができないでいる。

米国が抱える病巣

麻生首相は「日本が世界で一番早く回復する」と豪語したが、これもどうやら画餅(がべい:絵に描いた餅)というか、机上の計算、砂上の楼閣に過ぎないようだ。その意味では、ここは何としてもオバマ米大統領に頑張ってほしいところだが、英エコノミスト最新号(2月14〜20日号)に気になる記事を見つけた。

記事のタイトルは「WorsethanJapan?」

オバマ大統領は2月9日、大統領就任後初めて行った記者会見で日本について触れ、「日本の失われた10年は、大胆かつ迅速に動かなかったためである」と述べた。

確かにそれが「定説」である。韓国は金融危機から2年ほどで立ち直ったし、スウェーデンも長引かせることなく回復した。それに比べると、日本銀行はデフレに立ち向かうのに時間がかかりすぎた。また財政支出による景気刺激策を早く切り上げすぎた。さらには何を勘違いしたのか1997年に増税までやって景気の腰を折った。銀行の不良債権買い取り、資本注入が始まったのは1998年、バブルが弾けてから、10年近くたってからである。

しかし、とエコノミスト誌は続ける。日本の失われた10年は、政策のミスの結果というだけでなく、早く回復することができた他の国よりも問題の根が深かったためである。そして米国が抱える病巣は、日本と同じぐらい大きくて、ある意味では治すのがより難しい。

以下、日本よりもどのように悪いかという説明である。

例えば住宅価格で見ると、米国の主要10都市と日本の東京では5年で住宅価格が倍になったところは同じである。ただ全国ベースで見ると、バブルが弾ける前の価格上昇カーブは、米国や英国の方が日本よりも上に行っている。その結果、民間(個人、法人)が抱える債務は2000年の22兆ドルから2007年には41兆ドルになった。

さらに、銀行のいわゆる不良債権比率は、スウェーデンがピークにGDP(国内総生産)の13%だったのに比べて、日本は35%に達した(IMFのデータ)。一方、米国はゴールドマン・サックスの最近の試算によると、5.7兆ドル、実にGDPの約40%にも達するという(不良資産を買い取るとオバマ政権も言っている。先日、ガイトナー財務長官がそう表明したが、そこで出てきた金額は1兆ドルだから、ゴールドマン・サックスの試算が正しければ、とても足りないということになる)。

ここまでがこの記事の前半部分なので、興味がある方は記事を読んでもらいたい。

こう見てくると、米国が回復基調に乗るまでにはまだまだ時間がかかる可能性が高い。そのときに果たして日本の景気はどうなるだろうか。すでに日銀は、今年度、来年度とも2%前後のマイナス成長という見通しを出しているが、これとても2009年度の後半には回復することが前提だ。しかし実際にはとてもそうは行きそうにない。来年度のマイナス成長幅は拡大必至という状況であるとすると、支持率がひと桁に落ち込むような総理の下でそうした状況に直面する国民は不幸というしかない。

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