米国は再生できるのか? 星条旗を見ながら考える 

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1月20日、きれいに晴れ渡ったワシントン。凍てつくような寒さの中、バラク・フセイン・オバマ大統領が就任した。その歴史的瞬間に立ち会おうとしてワシントンを訪れた人々の数は約200万人。これだけの人たちが就任演説を聞き、星条旗の小旗を振る様子は、感動的でもあり、同時に変化を求める米国の強さを見ることができたと思う。

就任演説では、困難に国民1人1人が立ち向かうことを求め、そして米国はその困難を克服すると宣言したオバマ大統領。1月24日には恒例の週末ラジオ演説を行った。

長期的な投資を行う米国再生再投資計画

オバマ大統領は、米国再生再投資計画(AmericanRecoveryReinvestmentPlan)と称する総額8250億ドル(約73兆円)に及ぶ景気対策の承認を急ぐよう議会に要請し、1カ月以内に法案に署名することを期待していると述べた。

このプログラムは、雇用を増やすための短期的な計画というだけでなく、長期的にはエネルギーや教育、ヘルスケアや新しいインフラ整備など21世紀の米国を強く、競争力の状態にするための長期的な投資をするものだと位置付けている。
そしてエネルギー、ヘルスケア、教育、インフラ整備の重要分野についての方針をこう述べている。

まずエネルギーについて。クリーン・エネルギー・エコノミーの創造を加速させるために、風力、太陽熱、バイオ燃料による発電能力を3年で倍増させる。送電網を新たに3000マイル(4800キロ)建設する。約4分の3の連邦ビルの省エネを進めることで20億ドルのコストをカットし、250万戸の家を改修することで、家計のエネルギーコストを年350ドル減らす。

さらに医療について。ヘルスケアのコストを減らし、医療ミスを減少させ、医療を改善するために、5年でカルテを電子化する。これによって数十億ドルのコストをカットし、多くの命を救うことができる。またこの景気後退の間に職を失って健康保険を失いかねない約800万人の健康保険を保護する。

教育について。子どもたちが新しい時代の中で競争し、成功することができるように、1万校の学校を改修し、近代化する。これによって最新の教室、図書室、実験室が整備され、500万人以上の生徒たちの学習環境が改善される。さらに学資助成や、400万人の学生を対象とする学資減税、フェローシップの3倍増などによって教育を強化する。

そして米国を21世紀に見合った国家にするため、数千マイルにおよぶ道路を修繕し、改良する。全米90カ所の港湾の警備を強化する。

こうした資金は、ただ問題を解決するために使用されるのではない。資金は、今後役立つように投資されるのである。そしてどこに資金が投じられるかという決定は公開される。我々は無駄や非効率を根絶するために過去に例のないような努力をする。

新たなWebサイト、recovery.comを設け、そこに行けばすべての米国人がどこにどれだけの納税者のお金を投じたのか、見ることができるようにする。

指導者の「実力差」は歴然

1つの政策や、1つの計画によって現在我々が直面する課題を克服することはできない。この危機は短期間のうちに消えてなくなるわけでもない。しかし大胆に動き、勤勉と責任に賞賛すれば、そして党派的ではなく市民として米国を変えるために行動すれば、米国はより強く、より豊かになって立ち上がることができると信じる。

原文を見たい人はホワイトハウスのWebサイトをご覧になってほしい。オバマ大統領は演説がうまいことで知られているが、この演説を読むと、要するにオバマ大統領は国民に伝えたいメッセージが明確にあることが分かる。金融危機から始まった米国の危機をとらえて、米国をもう一度強い国に作りかえる、そのための方策は何かを国民に提示しているのである。

2011年に消費税を上げると明記するかどうかですったもんだした、どこかの国の首相とは大きな差があるように見える。せめて食糧自給率の向上という目標と現在の失業者の増加を結びつけて、農業で雇用を創り出すことが日本の未来を切りひらく、ぐらいのことを言ってくれればもう少し支持率も上がったかもしれない。指導者の「実力差」の犠牲者はもちろん我々国民だ。

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