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第18回 『イノベーションの達人!―発想する会社をつくる10の人材』ほか

投稿日:2008/11/26更新日:2019/04/09

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イノベーションとは一つのチーム競技のようなものである――。世界中の一流企業をクライアントに持つデザイン・ファームIDEOの実績に基づいた人材論を紹介する1冊と、組織変革のプロが組織を変える具体的な仕掛けを伝授する新書を紹介。1万冊読破を目標に掲げるグロービス経営大学院副研究科長・田久保善彦による「タクボ文庫」第18回。

今年も残すところ1カ月になってしまいました。時間の経つのは本当に早いものです。グロービス経営大学院では、四半期に一度のサイクルでクラスが変わります。そこで教鞭をとらせていただいている私は、毎年数多くのビジネスパーソンの方の出会いがあり、今年も本当に多くの学びを、受講生の皆さんから頂きました。本当に役得だなぁと改めて思います^^。ありがとうございます。

本を読むことが好きで、このコーナーを書いたりもしていますが、やはり人から聞く色々な生の声は良いものです。本当に勉強になります。本からは過去について学び、人からは現在について学ぶ。そしてそれらを通じて、未来に向けて考えたり、準備をしたりする。こんなことを来年も続けられるとよいですね。

では、今年最後のタクボ文庫をお届けします。

イノベーションの達人!―発想する会社をつくる10の人材 トム・ケリー、ジョナサン・リットマン・著 早川書房・刊 2006年

皆さんはIDEOというアメリカのデザイン会社をご存知でしょうか。数々の著名な商品のデザインを手がける、極めてユニークで、世界のビジネスリーダーから尊敬を集めている企業です。そのディレクターであるトム・ケリーの著作には、IDEOで実践しているブレーンストーミングのやり方や迅速なプロトタイプ作成、それを支える組織などについて書いた有名な『発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法』がありますが、今回はそれに続く第2弾をご紹介します。

この本の中で著者は、イノベーションを生み出す組織に必要な人材を10種類の分かりやすいカテゴリーに分けて紹介していきます。イノベーションとは一つのチーム競技のようなものであり、適材適所に人を配置することが重要であることがよく分かります。

ちなみに10種類の人とは次のような人です。

1.人類学者

2.実験者

3.花粉の運び手

4.ハードル選手

5.コラボレーター

6.監督

7.経験デザイナー

8.舞台装置家

9.介護人

10.語り部

特に1の先入観なく観察をし、情報を集めてくる「人類学者」というコンセプトは非常に面白く、イノベーションの肝になる考え方になっています。イノベーションというキーワードに惹かれるすべての人にお勧めです。

心に残ったフレーズを少しだけ。

・最近は、イノベーションを組織の文化そのものを変えるツールと見るようになってきた。

・人生に典型はない。

・エグゼクティブはとかく、弊社は顧客の声を聞いていますと言いたがる。つねに改善の余地がある世界では、顧客の声を聞くことも大切だが、それはどちらかと言えば未来を予測するよりも現在を評価するのに役立つ。確かに、詳細なアンケートは顧客の満足度を評価するのに有効だが、最も画期的なイノベーションが顧客に質問することから生じるとは、私たちには思えない。

・今日では、むしろクライアントのグループと併走しながら、相手の文化に影響をおよぼし、イノベーションのパターンを変え、前進の勢いを持続させる新しいツールを残すことが自分たちの務めだと考えている。

本書とあわせて、こちらも是非のぞいてみてください。

IDEOのホームページ(http://www.ideo.com/

イノベーションの達人のホームページ(http://www.tenfacesofinnovation.com/

組織を変える「仕掛け」 高間邦男・著 光文社・刊 2008年

グロービス経営大学院に通学される本の虫のMさんから強い推薦があった本をご紹介します。少し忙しい時期が続き、なかなか本を読む時間をとることができなかったのですが、大阪出張の行き帰りの車中でやっと読むことができました^^。

組織論、リーダーシップ論に関わる最新の知見をふんだんに盛り込みつつも、非常に分かりやすくそのコンセプトを紐解きながら、組織を変える「仕掛け」について、深めていきます。

本書の中で、引用されている何冊かの本を読んだことがあるのですが、その内容を極めて平易な言葉に置き換えてしまう筆者の能力には脱帽です。分かりやすすぎて引っ掛かりがないのが、逆に言えば難点かもしれません^^

本書の基本的なコンセプトは筆者がポジティブアプローチと呼ぶ六つの原則からなるもの。

1.信頼感のある対話の場をつくる

2.メンバーの「察知力」を高める

3.一人ひとりをリスペクトし、強みを認める

4.主体性を引き出す

5.自他非分離の場をつくる ストーリーテリングの重要性

6.潜在的リーダーシップでサポートする

文字にしてしまうと、「なんだそんなことか、どこかで聞いたことがあるな」というようなものが多いように思えますが、この本のすごいのは、それぞれの原則について、具体的に何をすると効果があるかを徹底的に考えていること。コンセプトだけを出して、「で、具体的にはどうするの?」というタイプの本ではありません。例えば、察知力を高めるために、トイレ掃除をすることなどが有効と説き、なぜそれが効果的なのか、説得力のある議論が展開されます。

一つでも、二つでも気づきがあり、明日からの生活に生かせれば、少しずつ何かが変わるのだと思います。

では、今回も、心に残ったフレーズをいくつかご紹介します。

・自律的な要素が集まり、相互作用が起こることで、それぞれの要素が持つ性質の単純な総和とは異なる、新しい機能や形質、行動を内包した、新しい秩序を生み出す「創発」を行いたいのです。

・空を群れをなして飛ぶ鳥の先頭が、つぎつぎと入れ替わっていくようなイメージです。環境の変化に合わせ、誰もがリーダーシップをとれる組織にしていかなければならないということでしょう。

・言葉というものは、人々の想いを引き出す力をもっていますし、その逆もあります。同じねらいでも、用いる言葉によってどれだけメンバーの共感を引き出せるか、どれだけ前向きな取り組みの引き金になるかが決まります。

・関係の質が向上すると、思考の質が向上する。それによって行動の質が向上すると、結果の質が向上する。これが成功の循環です。

・変革プロセスで重要なことは、魂の入っていないプランをサラサラとつくらないようにスピードを落とすことです。メンバーが本当に考え、腹に落ちている言葉ならどんなに稚拙に見える表現でも構いません。

組織を変えたい!!と思われている方、是非年末年始にお読みください。

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