ブッシュからオバマへ——政権交替で何が変わる? 

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世界中が注目していた米国の大統領選挙。民主党のオバマ候補が共和党のマケイン候補に圧倒的な差をつけて勝利した。米国大統領選挙は各州の選挙人を獲得することで最終的な勝敗が決定する。選挙人の総数は538人だから、過半数は270人。獲得選挙人が300人を超えると、国民から圧倒的な支持を得たことになる。今回オバマ候補は364人の選挙人を確保しているから「圧勝」だ(まだ確定していない州が10日時点で1州ある)。

もっとも得票率は53%対47%ぐらいだから、約59%の得票率だったレーガン大統領(共和党)の再選時(1984年)のような地滑り的勝利とは言い難い(この時レーガンが獲得した選挙人は525人だった)。それでもオバマ次期大統領が誕生した意義は小さくない。

英エコノミスト誌はこう指摘している。「オバマ氏が生まれた1961年、米国では南部のみならず多くの州で黒人と白人を区別し、黒人と白人が結婚するのを禁じ、投票権も制限していた。米国は、どの西側諸国よりも肌の色で政治的に差別されないということを主張できる」

そうした意味で、今回オバマ氏が当選したことは、米国という国の柔軟さとバランスを示すものだ。外国の目から見ればブッシュ(息子)政権の8年間は、米国の過剰な自信に辟易した8年だったと言えるだろう。ブッシュ大統領が就任してそのわずか8カ月後に起こった9.11同時多発テロ。テロとの戦争に突っ走る姿に、共感もあったが、あまりにも「力」に頼りすぎることへの懸念も強かった。

米国が「単独行動主義」に走ったのは、ブッシュ政権の外交思想をリードしたいわゆるネオコンの人々が、弱腰が外交の混乱を助長するという考え方を取っていたためである。第二次大戦前、英国の首相チェンバレンがドイツのヒトラーに対して、いわゆる「宥和(ゆうわ)政策」を取って、ヒトラーの野望を抑え込まなかったために、世界大戦にまで発展したという見方である。

「力」よりも「対話」を重視するオバマ時期大統領

オバマ次期大統領は「力」よりも「対話」を重視する姿勢を表明している。核開発問題で西欧と鋭く対立しているイランとも首脳会談を行うとしているのがその表れだ。しかしそれはかなり微妙なバランスを要求されるだろう。かつて米国のカーター大統領(民主党)は、あまりにも柔和な外交路線を取ったために、むしろ「軟弱」と見られてしまって外交的には失敗したとされている(イランの大使館人質救出作戦に失敗したのはカーター大統領のときだった)。

もう1つオバマ次期大統領が強調しているのは、地球温暖化問題で世界との協調を目指すという点だ。ブッシュ大統領は京都議定書から離脱して世界から批判を浴びた。その姿勢が中国やインドといった新興国の反発を生み出し、世界的な問題に世界的な協力で対処する可能性を小さくしてしまった。ブッシュ政権がオバマ政権に代われば、米国の姿勢が変化するのは当然。しかし、温暖化ガス問題で米国国内を説得するのはそう簡単ではない。企業は景気が低迷しているときに余計な負担をするのを嫌がるだろうし、それは国民も同じである。

そうした意味でオバマ次期大統領にとって最大の問題は国内の景気だ。金融危機で米国国内には金融機関への公的支援は仕方がないという雰囲気が生まれているが、自動車のビッグ3までもが資金援助を要求するとなると、話は別だ。個別企業への援助に共和党は基本的に反対だから超党派的な支持は得られないだろうし、もし自動車産業を支援すると、ほかの産業からも公的支援を要求する声が上がるだろう。

この10月から2009年9月までの1年間の財政赤字は1兆ドルと言われている。財政赤字を増やす方向で動くと、長期金利が上がり、景気に悪影響が出る。その上、オバマ次期大統領は全世帯の95%に減税を実施すると公約した。景気対策としても意味があるだけに、減税はトッププライオリティになるだろうが、その財源をどうするのか、頭の痛いところだ。

オバマ次期大統領がどのように足下を固めるのか、それが最初の見所である。

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