米大統領選(4) 経済危機の影響 

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米大統領選は、経済問題が最も重要な争点となるなど、ここ最近で状況が一変している。合併や買収、経営破綻などで金融部門が浮き足立つにつれ、民主党候補、イリノイ州上院議員のバラク・オバマ氏に支持が集まり始めている。相対する共和党候補、アリゾナ州上院議員ジョン・マケイン氏は、この危機的な経済状況への対応において、オバマ氏よりも優れていると有権者を説得できない限り、この選挙戦において主導権を握る事はないだろう。

マケイン氏は、共和党大会後の9月上旬の時点では、3〜4ポイントリードしていた。しかし経済危機が深刻化する中、オバマ氏が一気に巻き返し、逆に4〜5ポイントリードという展開となった。近年の大統領戦で、これほど急劇に支持率が変わったことはない。何が起こったのか。

いくつか理由がありそうだ。

大統領選の争点は、イラク戦争やテロとの戦いではない。連邦準備制度が「この1年で米国は2.4兆ドルを損失した」と推計するなど景気の悪化にはどめがかからず、経済が米国民にとって最重要課題となった。多くの有権者は、「金融関係については伝統的に共和党の分野のはずだ」と、共和党に責任の所在があると認識している。そして、共和党に対して、経済問題を解決できるのか、強い不信感を持っているようである。

またオバマ氏は、先週行われた第1回大統領候補討論会で、非常に良いパフォーマンスを見せた。討論会直後の調査では、有権者がオバマ氏を大統領として具体的にイメージできるようになった、という結果が出ている。米国人は、毎晩テレビに出てきても安心できる人を大統領に選ぶと言われる。金融危機という絶好のタイミングで、オバマ氏はそのような安心を有権者に想起させることができたのだ。

経済危機は決して回避されてはいないし、今後の動向も読めない。しかしながら選挙のキャンペーンは1ケ月強で終了する。つまり、両候補者に残された時間は、少ない。「今後の経済危機に立ち向かうにより値する人物である」ということを有権者に説得できなければ、マケイン氏はリードを奪い返す機会がないだろう。マケイン氏がもう一度有権者の心をつかむために、具体的な経済危機への処方箋を示す必要があるが、議論をどう展開するか、その答えは見つかっていないようだ。

一方でオバマ氏は主要な州で余裕がある。これまで通りの手堅いディベートを続け、経済問題を前面に押し出してキャンペーンの核に据えれば良い。収束する兆しもなく引き続く経済混乱により、オバマ氏は間違いなく優位に立った。(英文対訳:是村由佳)

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