米国の銀行よりも脆弱? 資金繰りが苦しい欧州の金融機関 

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米国は連邦議会下院が金融安定化法案を可決し、ようやく7000億ドル(約75兆円)もの税金を投じて不良債権の買い取りが始まる。これで金融危機が収まるのかどうかはまだ様子を見なければ分からないが、少なくともブッシュ政権が切り札を切ったことは間違いない。

ただFDIC(連邦預金保険公社)の要注意銀行リストには100行を超える銀行がリストアップされており、それがこれから2009年にかけて破たんする恐れが強いのだという。もしこれらの銀行が破たんするとFDICが保有している準備金だけでは預金を保護できなくなるとされている(米国の場合は預金保護の上限は10万ドル・約1060万円だったが、今回の金融安定化法で一時的に25万ドル・約2600万円になった)。

FDICが預金を保護できないということになると、ちょっとした噂がもとで銀行に取り付け騒ぎが発生し、銀行がつぶれる可能性が高くなる。そうなったら、また税金を費やして預金を保護せざるをえなくなるだろう。

米国の銀行といっても、いま危ないと言われているのは、要するに住宅ローンを中心に融資を伸ばしてきた銀行だ。それもサブプライムローンよりはちょっと格上だが、やはり「嘘つきローン」と呼ばれる収入がない人にも貸すローンである。それが不良債権化しているために、そうした銀行が資金調達ができなくなっている。

利下げというオプションも

金融危機は大西洋を越えて欧州にも広がっている。特に問題なのはドイツのHRE(ヒポ・リアル・エステート)という不動産金融の大手である。この総資産が4000億ユーロ(約58兆円)というから、もし破たんしたらドイツの金融市場は大混乱に陥る。だから一時は総額350億ユーロ(約5兆円)にのぼる中短期融資のコンソーシアム(企業連合)を組むことで合意ができていたが、この救済計画が一部銀行の離反で反故(ほご)になってしまった。このためドイツ政府は現在の銀行預金を全額保護するという政策を打ち出した。全額保護というのは先週アイルランドが打ち出し、ほかのEU諸国から反発を受けていた政策である。なおHREについては150億ユーロ(約2兆円)の短期資金融資を行うという。

エコノミスト誌最新号(10月4日号)によると、欧州の銀行は米国の銀行よりも脆弱(ぜいじゃく)であるという。その理由は、米国の銀行は1ドルの預金に対して98セントを融資しているが、欧州の銀行は1ユーロの預金に対して約1.4ユーロを貸し出しているからだ。もちろんこの足りない分は短期金融市場から調達してきたわけだが、現在の金融収縮がまさにここを直撃している。その意味では、資金繰りが苦しくなる欧州の銀行はまだまだ出てくる可能性がある。

欧州では先週ヒポのほかにも4つの銀行が救済された。EU(欧州連合)議長国であるフランスは「EUの政府が結束して事にあたるべきだ」と主張しているが、ドイツはこれを一旦は拒否したが、自分のところの足下が揺らいでいる今、考え方を変えたかもしれない。

米国の金融安定化法が発効しても、そう簡単に危機が収まるとは思えない。それに先進国だけでなく、ロシアやインドといった新興国にも影響が及び始めている。ただ原油価格が一時期よりもずいぶん下がったことで、インフレ懸念は薄れてきた。このため世界の中央銀行にとっては利下げというオプションが生まれている。暗いニュースばかりだが、これだけはやや明るいニュースと言えるかもしれない。

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