リーマン破たんは序章!? 米国発金融危機の深淵 

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9月に入って、米国発の金融危機はあたかもクライマックスを迎えているように見える。9月7日、米政府は政府系住宅金融機関のファニーメイとフレディマックの2社を政府管理下に置くことを発表した。さらに苦境を伝えられていた米証券大手リーマン・ブラザーズが破たん、そして同じく米証券大手のメリル・リンチがバンク・オブ・アメリカに買収されることになった。さらに保険の世界的大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG、アリコやアメリカン・ホーム・ダイレクトなどが傘下にある)が、政府の融資を受けて政府管理下に置かれることになった。

もともとはサブプライムローンという低所得者向けの住宅ローンが問題だった。景気の停滞によって、住宅価格が値下がりし、住宅ローンの返済が滞り始めたのが発端である。このためサブプライムローン債権を含んだデリバティブ(金融派生商品)が値下がりした。この商品は、格付けがトリプルAなど高い割に金利が高かったため、金融機関などがこぞって運用商品として購入していた。これがそれぞれの金融機関に損失をもたらしているのだが、問題は誰がどの程度の金融派生商品を抱えているかが分からず、金融機関同士の資金融通が滞ったのである。

野放しになっていた“保険もどき”のCDS

しかし現在ではさらに問題が膨らんでいる。それがCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)と呼ばれるデリバティブだ。これは債権などについて元本保証を与えるもの(サブプライム問題に絡んでモノラインと呼ばれる保証会社の収益が問題になったのも同じようなことである)。問題は、このCDSに残高が62兆ドル、日本円にして6200兆円という膨大な金額に達していることだ。日本のGDP(国内総生産)500兆円をはるかに上回る。

これは一種の保険であるから、もし金融機関が抱える債権に損失が出れば、金融機関はCDSを売った会社に支払いを求めることができる。例えばAIGは6月の時点でこのCDSの4410億ドルも売っていた。そのうち580億ドル分がサブプライムローン関連の証券に絡むものであり、それが大幅な損失の原因になっていた。

CDSの問題点は、保険のような機能を果たす商品であるのに、それを売った金融機関の支払い能力を誰もチェックしていないところにある。保険であれば監督当局がチェックするが「保険もどき」商品はまったくの野放しになっている。さらに通常の保険であれば、自分が所有する資産に対して保険をかけることができるが、この「保険もどき」は自分が対象資産を保有しているかどうか関係がない。そのため、保険がどんどん転売され、売った会社がまた買ったりと、残高がどんどん膨らむ性質をもっていた。

さらに悪いことに、誰でも売れて誰でも買えるデリバティブだから、誰がどれぐらいのリスクを抱えているかがなかなか分からない構造になっている。そのため金融機関同士の資金融通はますます細ることになる。

まだまだ不安定要素は多い

米国を始めヨーロッパや日本の中央銀行は市場に資金を供給し続けているが、金融機関の疑心暗鬼がなくならない限り、状況は改善しない。このため、米政府は9月20日、金融機関(ヘッジファンドなどは除く)から最大7000億ドル(約75兆円)の不良資産を買い取ると、発表した。

公的資金の投入には非常に慎重だった米政府も、ここへきて最後の砦として公的資金を投入することにしたようだ。この構想はとりあえずマーケットから好感をもって迎えられているようだが、果たしてその実効性がどうなのか、また不意打ちを食らってマーケットがどたばたすることはないか、まだまだ不安要因は数多くある。

その一方で、米国経済の低迷ぶりがまた一段と際立ってきた。失業率は8月に6.1%にまで上昇し、この先もさらに上がりそうだという。さらに新興国の株価も下がっている。原油相場の値下がりもあって、一時よりはインフレ懸念は落ち着いているとはいえ、積極的に金利を引き下げるのは難しい。それに米国の政策金利2%にしか過ぎないから、引き下げ余地はそれほど大きくはない。その意味では、FRB(連邦準備理事会)も金利を引き下げるタイミングは景気回復の兆しが見えてからにしたいところだろう(政策金利が0.5%しかない日本銀行はなおさらである)。

9月の激動を乗り切って、10月がどう動くか、金融関係者ならずとも固唾を飲んで注目する必要がありそうだ。

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