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【日経コラム】組織を強くする多様性、女性や外国人を積極登用

投稿日:2017/06/21更新日:2019/04/09

2016年4月に女性活躍推進法が施行され、女性の積極登用に取り組む企業が増えている。グロービスは13年にすでに着手している。日本版ダボス会議「G1サミット」で13年2月に「16年に女性管理職比率30%」という行動宣言が出されたのがきっかけだ。

グロービスが率先して達成しようと考え、サミット後に早速目標を立てた。(1)取締役(2)経営執行会議メンバー(3)管理職(4)学生(5)教員――の5つで女性比率30%を達成するというものだ。

取締役はすぐに候補の選定に動いた。その結果、14年の株主総会で女性比率3分の1以上を達成できた。経営執行会議メンバーは、同じ能力を持つ場合は女性を優先的に引き上げることにより、2年間で女性比率4割を実現した。管理職についても2~3年かけて達成できた。学生の女性比率も20%を超えるところまで来ている。教員も鋭意増やしている最中だ。

女性のリーダーが増えて気付いた点がいくつかある。ここでは2つ紹介したい。

まず意思決定やコミュニケーションが前よりもスムーズになったということだ。難しい問題でも関係者間で丁寧にやり取りして、対立を招かず解決できることが多くなった。

同質な人が集まって意思決定すると、同じ価値観を持つために議論も少なくなりがちだし、決まったことを少数者(マイノリティー)に押しつけることになる。男性中心の会社では飲み会などで交わした非公式なやりとりが会社の決定につながることも珍しくない。

ところが意思決定の場にマイノリティーな人が増えると、それまでのあうんの呼吸では決まらない。相手の感情に配慮した言葉による明示的なコミュニケーションが必要となる。そうなると、マイノリティーだった人の方が優位な環境となることが多い。オープンな場で、多様な人の意見を吸い上げてコンセンサスを作り上げるのは、マイノリティーの人の方が慣れていることが多いからだ。

世界のリーダーを見渡してみると歴然としている。国際通貨基金(IMF)専務理事はフランス人女性、世界銀行総裁は韓国人、前米国大統領は黒人、英国・ドイツの首相は女性だ。ハーバード大学の学長は女性、ハーバード大学経営大学院の学長はインド人だ。

世界の主要機関のリーダーがマイノリティーだった人々によって占められているのも、上記理由によるものであろう。

社内で女性が増えるもうひとつの利点は、組織全体の柔軟性が高まることだ。女性従業員が出産・育児休業を取得すると、違う人が代替する必要がある。仕事も属人的ではなく組織的な遂行が求められ、チームで臨機応変に対応できるようになる。

人事制度も一つ一つ変えていった。ベビーシッターの補助制度から始まり、時間短縮の勤務体系、働く時間帯を選べるフレックスタイム制度、さらに在宅勤務などの制度を導入した。在宅勤務できるようIT(情報技術)環境も整え、ウェブ会議も多くなった。女性に限らず働き方の多様性を認める環境がそろってきた。

多様性といえばグロービスでは外国人社員も意識的に増やしている。今では米国やオーストラリア、ベルギー、インド、カンボジア、シンガポール、中国、韓国など多様な国籍の社員が活躍している。グローバル展開するには外国人の力が欠かせない。今後は外国人の管理職比率も高めていき、社員と管理職いずれも全体で1割を目指したい。

グロービスでは、ダイバーシティーを推進するために「ダイバーシティ・ウェイ」と言う理念を明文化した。ダイバーシティーこそが組織を強くするカギだ。組織の柔軟性が増し、異質と異質の融合でイノベーションの創出力も高まるからだ。やらない手はない。

※この記事は日経産業新聞で2017年6月16日に掲載されたものです。
日本経済新聞社の許諾の元、転載しています。

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