自分づくりの文庫本ノート 

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「文庫本の隣に並べられるようなノートが欲しい」――そんなニーズに応えた『文庫本ノート』をコクヨが9月10日に発売する。手のひらサイズのノートに思いをつづることができ、使い終わった後も書棚に並べられる。これまで読むだけだった文庫本だが、これからは著者にもなれるのだ(このコラムは、アイティメディア「Business Media 誠」に2008年8月21日に掲載された内容をGLOBIS.JPの読者向けに再掲載したものです)。

この夏、文庫本を読まず、文庫本を書いた。

文庫本のお気に入りの文句や行に線を引いたり、余白に思いつきを書いたり、果てはブックカバーにまでメモを書いたりするのは私の癖。本を汚すのは、中身を書いた著者への感謝の気持ちでもある。

ひと夏を共に過ごした文庫本、しかしいつものような活字への感謝ではなく、思いつき・打ち合わせ・誰かのひと言・やること備忘リスト・お店への地図……などなど、まさに手帳に書くことを文庫本に書いた。

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コクヨから9月10日発売予定の『文庫本ノート』がその正体。文庫本サイズのけい線入り手帳である。新発売のリリースを読んでぐっときて、編集部にお願いをしてサンプルを1冊頂いた。文庫本ではなく文庫本ノートが夏の思い出になった。ひと夏の体験を“使い倒しレビュー”と開発者のコメントでつづろう。

文庫本ノート、文庫本に似て文庫本にあらず

文庫本ノートは、文庫本と同じA6サイズ(148×105×7mm)で70枚仕立て(140ページ)。ラインアップにはカバーデザインが異なった3タイプ8種類がある(ベーシック4、カジュアル2、ナチュラル2)。メモページのデザインには6mmのヨコけい線が×23行入ったものと無地デザインがあり、各タイプで選べる。価格は各283円。

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商品一覧

まず文庫本そっくりな特徴は“カバー”である。複数の表紙を試作した中から、3タイプ(ベーシック、カジュアル、ナチュラル)、8種類のデザインにしぼった。2冊買って「これは日記」「これは打ち合わせ」という区別もできる。そしてひものしおり。

さらに文庫本のようにページを“背のり留め(無線とじ)”しているのが大きな特徴。フラットに広げて書けるし、ぐいっと折り曲げても書けるのは実用上大きなポイントだ。無印良品が出している「文庫本ノート」も使ったことがあるが、無印良品版はエイヤとやってもここまで開かない。

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こんな風に使えるのは文庫本ノートならでは

逆に文庫本と違うところは、たいていの文庫本と逆の方向から開くこと。手帳は横書きなので左綴じ・左開きになる。サンプルはヨコけい線入りだが、たとえ無地でもやはり左開きで使う。またカバーに付けたインデックスライン(自分で目次を作る)、各ページにある見出し罫とページ罫(自分で見出しとページ数を入れる)、そして書きやすくするために、キャンパスノートと同素材の紙を採用したのが違いだ。

文庫本ノートを使い倒してみた

昨年から愛用してきた手帳(coated design graphics)をお休みさせて、7月31日から8月中旬にかけて使用した。その感想をひとことでいうと「ハマった」。とても使い勝手が良い。

2週間半で50ページ書いた。字だけでなく絵も描いた。内ポケットから頻繁に出し入れしてカバーがくたびれたので、書店(ジュンク堂)のカバーをかけた。手帳としてコンプリートさせたくて、A6サイズの薄いスケジューラを後ろに挿しこんだ(リュリュ)。これでノートは手帳にもなる。我ながら“!”なアイデアだ。

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仕事上の記録やアイデア、ライター稼業のメモを書き留め、さらにスケジュールまで3役をになわせた。あれこれのごちゃ混ぜである。だが仕事も愛も人生もすべては時系列に過ぎてゆくのだ。いろんなジャンルの出来事を日々受けとめ、考える複合体が人間なのだ。だから分類せずにずんずん書いてゆけばいい。これは私のモットー。

コクヨではターゲットを「文庫本を普段読んでいてそのサイズの良さを知っている人 」かつ「持ち運んで書き込んだり、読み返したりするノートが必要な人」としている。資格の勉強や講義の勉強など特定テーマでつけるもよし、趣味帳や日記帳でもいいし、ジーンズのポケットに入れてアウトドア・スケッチにもOK。その人次第の使いかたを受け入れてくれるフトコロの深さがある。

手のひらに宿る知的メモリー

手帳の書き込みをパラパラとめくること、ありますよね。過去のスケジュールや発想の書き留めをめくる。そのパラパラめくりが文庫本ノートはとてもしやすい。ほかの手帳ではこれほどパラパラしないのに、なぜだろうか。

開発にあたりコクヨでは、既成サイズ(A系列・B系列)がホントに使い勝手が良いのか根元から問い直し、ノートは“手のひらサイズ”がいいと仮説を立てた。それがA6の文庫本サイズだった。

それで書棚の文庫本群を眺めた。そこには青春のメモリーがあり、寝不足して読みふけった思い入れがあり、心のささえにするページやパラグラフがあり、絶対に古本屋に売れない運命本がある。昭和2年(1927年)に岩波文庫が発刊、「万人の必読すべき真に古典的価値ある書」を世に送り出してきた。それから80年たち、日本人の誰もが、多かれ少なかれ文庫本の知的価値に触れて、学び、考え、育てられてきた。だから文庫本を手にすると、自然にパラパラする。

パラパラの素は“文庫本”ゆえなのだ。文庫本というサイズが日本人の手のひらに宿る“知的メモリー”を呼び起こすのである。

文庫本の著者になった気分を味わえる

さてパラパラしながら書き終えると、文庫本ノートは自分の“著書”になる。コクヨでは筆記性を阻害せず、見た目が文庫本に感じる厚みを求めて試作を繰り返し、70枚/140ページと決めた(既製品にはない枚数)。1日2ページなら70日で1冊執筆できる。

また書棚を眺めてつぶやく。「使い終わったらここに一緒にしまえるな」と。書棚に並べると文庫本の著者になった気分が味わえそうだ。敬愛する『父の詫び状』のヨコにはとても並べない。厚みが同じような『変身』や『ランボー詩集』のヨコは? とても恐れ多くて。

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筆者本棚より

書棚でひそかに息づく読み終えた文庫本は、“読者としての自分づくり”の記録。文庫本ノートは“著者としての自分づくり”の記録である。インプットとアウトプットの自分づくりを、同じ書棚に並ばせることができるのが文庫本ノートの大きな魅力である。

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