ORSOやブイキューブロボティクス・ジャパンなどドローン事業が興隆、健全な市場形成に期待 

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ドローン(小型無人機)が新しいビジネス市場としての萌芽(ほうが)を見せ始めている。確かに、物流面における小口配送の効率化といった観点から、あるいは人が赴くことができない危険な空間に立ち入ることができるという危機管理的な観点からも、ドローンによって新たな市場機会が生まれるであろうことは想像に難くない。健全な形で市場が形成されるためには、何が必要なのか。

ORSO(オルソ、東京・千代田)の坂本義親社長(35)は大学在学中に創業し、コンテンツ企画・制作分野で多くの実績を残してきた。ドローン分野にもいち早く参入し、10月には世界最大手の中国・深セン市大疆創新科技(DJI、広東省)の日本法人と共同でdo(ドゥ、東京・千代田)を設立。ドローンを利用したい人と事業者のマッチングサービス「ドローンマーケットβ(ベータ)版」を11月に発表した。1カ月間で500超のドローン事業者が同サービスに登録したという。

他方、デジタルハリウッド大学と共同で、座学・実技教習を通じて既に100人以上のドローン操縦者を育成することにも寄与している。

坂本氏は「ドローンの映像コンテンツとしての魅力に大きな市場性を感じている。政府の後押しもある中で、黎明(れいめい)期から『産業』に移行するには、たくさんの方々にドローンを活用してメリットを感じてもらうことが重要だ」と指摘。「ドローン操縦者や、ドローンを活用してビジネスを行う利用者に重要なのは、サービスパッケージや価格などの『お品書き』を明確にすることだ」と語る。

また、「現在飛行禁止区域は明確な基準があるが、逆に飛行可能な場所は明確になっていない。地方創生や新たな産業として、土地の所有者の方や地方自治体の方々と一緒にこれをリスト化し、利活用を促進していきたい」と意欲を示す。

ブイキューブロボティクス・ジャパン(東京・渋谷)の出村太晋社長(45)は大学卒業後に数社でキャリアを重ね、同社設立約半年後に社長に就任した。ドローンとグループ企業の持つビジュアルコミュニケーション技術を組み合わせたソリューションが、仙台市など被災地での実証実験や三重県との包括提携、西日本旅客鉄道(JR西日本)など多くの企業への導入につながっている。

ドローンに対するニーズ、市場形成

顧客のニーズは保守・点検、災害救助、害獣駆除など多岐にわたる。自動操縦や画像解析など新たな周辺技術の開発にも積極的だ。「ドローンによって従来は行くことが困難だった場所に行き、従来とは異なる視野の情報を取得することが可能になる。生活の中で当たり前のようにドローンをはじめとしたロボティクスソリューションが活用される社会を実現したい」と出村氏は語る。

その上で「完全に新しい技術・市場であり、それを導入する側が、導入した際の効用を理解するのは難しい。導入に向けて手厚く支援するとともに、活用事例を増やし共有していく必要がある」と課題を挙げる。

新しい市場の形成は、必ずと言ってよいほどリスクを伴う。この点、ドローンに関しても市場拡大には法整備やルールを順守する操縦者の育成が必須だ。加えて、広く市場に受け入れられるためには商売や損得勘定、個社の利益を超えて「これまで届けられなかった場所に品物を届ける」「人命リスクを伴う作業を代替する」といったような具体的な便益を伴った適切な活用事例を基に啓蒙活動を粘り強く推進することが重要となろう。
 

(2016年12月22日付日経産業新聞の記事「VB経営AtoZ」を再掲載したものです)

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