ANRIやスカイランドベンチャーズなど若手の独立系VCが躍進、エコシステムを構築 

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VCや事業会社の増加・多様化

起業家やベンチャー企業を支援するベンチャーキャピタル(VC)や事業会社が増加・多様化している。ジャパンベンチャーリサーチの調査結果によると、2015年に組成された国内投資対象のVCファンドの総額は2000億円に迫り、リーマン・ショック直後の09年と比較して10倍以上の規模となっている。

他方、ベンチャー企業の資金調達総額は、15年は1500億円を超え、09年の2倍以上かつ06年の水準を上回る勢いである。「官」「民」「学」からのVCへの出資や、事業会社のオープンイノベーションの一環としての直接投資の増加がその要因だ。新進気鋭の若手が新たに独立系VCを設立するケースも出てきている。

ANRIのジェネラルパートナー佐俣アンリ氏(31)は、大学卒業後リクルートに入社、独立系VC大手での投資先支援の経験を経て、12年の設立以来、約20億円規模のファンドを運営する。これまでクラウドワークスやMERY、ラクスルと言った著名なベンチャー企業とともに、設立間もないシードステージの企業にも出資をしている。

佐俣氏は「多様なバックグラウンド、年代の人間が挑戦し社会に対して良い影響を与えることができる世界を作りたい。実際21歳から50歳に至る起業家35社に出資をしているが、日本においては素晴らしい素質をもった起業家候補が多い」と指摘する。

その一方で、挑戦する数が圧倒的に少ないと問題提起する。
「出る杭を叩くような文化から脱却し、日本が抱える課題を解決するために何かに挑戦しようとしている方々をもっと国全体で盛り立てていく必要がある。今後はさらに大学の研究を元にした技術系のスタートアップも創業から支援していく予定」だという。

スカイランドベンチャーズCEOの木下慶彦氏(30)は、大学卒業後、2社のベンチャーキャピタル勤務を経て、12年に同社を設立。「若い天才を探す」をミッションに累計10億円規模の資金を運用、主にインターネット分野で20代の創業者に対し設立前後のタイミングで出資をしている。

「後に天才と呼ばれる大きな結果を出す人はチャレンジのスパンが本当に長く、長くチャレンジする上で諦める理由として大きいのはお金と年齢であることが多いため、若い世代に投資している」と木下氏は言う。

木下氏は創業期の起業家のコミュニティを創り続けることに注力する。
「15年7月から『♯HiveShibuya』というコワーキングスペースを運営し、イベントを月間10本程度開催、毎月500人ほどが訪問する場となっている。投資活動としては、そこから月間50社程度との面談の結果、月間1社のペースで投資している。今後は特にエンジニア人材を中心に、若手起業家にとってロールモデルとなるようなプロフェッショナル人材の参画や育成が必要である」(木下氏)

エコシステムの歩みを止めないために

ベンチャーを取り巻く環境は、資金面でも人材面でもエコシステム構築への道程を着実に歩んでいる。他方、歴史的経緯を見ても、ベンチャー支援はダウントレンドの経済環境下である時こそ真価を問われる。この歩みを止めないためには(1)ダウントレンドでも支え続ける良質な資金の供給(2)起業家をサポートし更に高める多様なプロフェッショナル人材の流入(3)エコシステムとして資金および人材の好循環を生むための出口設計――が重要と言えよう。
 

(2016年4月21日付日経産業新聞の記事「VB経営AtoZ」を再掲載したものです)

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