クリーマやココナラが目指すセレンディピティの世界観 

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ユーザー同士がインターネット上で直接取引を行うことを可能にする、C to Cサービスが急成長している。先日、フリーマーケットアプリを提供するメルカリ(東京・港)が84億円の資金調達を発表し、日本初のユニコーン企業(未公開企業で時価総額1000億円以上の企業)と一部メディアで報じられた。C to Cサービス隆盛の要因や成功の肝を探ってみたい。

C to C サービス成功の肝は?

インターネット上でハンドメード作品のマーケットプレイスとなっているクリーマ(東京・渋谷)は、丸林耕太郎代表取締役(36)が2009年に設立、現在ではプロ・セミプロを中心とした5万人超のクリエーターによる200万点以上の作品が出品され、月間約2億ページビューにまで成長している。同社が主催する「ハンドメイドインジャパンフェス」というリアルイベントは、2日間で5万人を超える来場者を集める大盛況ぶりだ。丸林氏自身、スポーツや音楽活動を通じて、プロフェッショナルレベルで活躍した経歴を持つ。

「自らの実体験のなかで、創作の世界は『能力』と『評価』の間に大きなギャップがある世界と感じていた。インターネットの力を使い、作家と生活者が直接つながり合えるフラットな仕組みを確立することで、『才ある人、がんばる人は報われる』フェアな新しい世界を作りたい。無意識に皆と同じようなものを選択する習慣から脱却すべく、文化や世界観の醸成から取り組むことが重要」と語る。

ココナラ(東京・渋谷)は、インターネット上で個人の知識・スキル・経験を500円からという低価格で売買できる、「相談」を軸にした無形のC to Cサービスである。12年7月のサービス開始以降、出品サービス数は6万件、累積の取引件数も60万件にのぼる。同社の南章行代表取締役(40)は、大学卒業後、都市銀行や企業買収ファンド勤務を経て、留学時にNPO法人の設立や運営に積極的に参加、東日本大震災をきっかけに12年初頭に同社を設立した。

「『自分の得意なことを生かして誰かの役に立ちたい人』と『その分野に詳しい人に相談したい人』を適切に結び付け、個人をエンパワーメントするプラットフォームを提供したい。役務提供のようなサービスをインターネット上で仲介することの難しさは、サービスを受けてみるまでその品質を想像することが難しい点だ。初期段階として500円均一というシンプルかつ安価な価格設定を行い、分かりやすいサービスとして浸透させることができたことが大きい」と語る。

サービスの成否

インターネットの普及で情報の流通が飛躍的に向上し、それに伴ってユーザーの趣向性が集約と分散に二極化した。特に後者の文脈において、それぞれのユーザーがそれぞれの趣向性に合ったサービスやプロダクトを発見・利用するニーズが高まった。同時に、スマートデバイスなどの手軽なデバイスの普及が、サプライチェーンにおけるユーザーの参加の障壁を下げることを可能としたことがC to Cサービス到来の要因といえる。

加えて、有限の資源の利活用という共有経済への進化という文脈においても、今後C to Cサービスはさらに成長を遂げるであろう。サービス提供者としての成否は、大量生産・大量消費型の提供方法から脱却し、個別のユーザーニーズのマッチング精度を高め、セレンディピティをもたらす世界観や体験価値を提供できるかにかかっているのではなかろうか。
 

(2016年3月24日付日経産業新聞の記事「VB経営AtoZ」を再掲載したものです)

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