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ストーリーライン設計で差をつけよう~問題解決、トップダウン、序破急の3基本型

投稿日:2017/02/25更新日:2019/04/09

『グロービスMBAクリティカル・シンキング コミュニケーション編』から「ストーリーライン」を紹介します。

ストーリーラインは文字通りプレゼンにおけるストーリーの流れです。盛り込まれている内容が同じであったとしても、その説明の順番によって効果が変わった、という経験は皆さんお持ちのはずです。良いストーリーラインにはいくつかの条件がありますが、特に重要なのは、「聴き手の認識や思考を誘導し、正しく伝えたいことを伝えること」と、「聴き手の情動に訴えかけ、印象を残すこと」に集約されるでしょう。つまり、ロジカルな要素とエモーショナルな要素を高い次元で満たすと、聴き手の理解も高まり、かつ心にも響くのです。これは決して容易なことではありませんが、多くの人は意外に無頓着であり、、だからこそ他者に差をつけられる部分でもあるのです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

◇ ◇ ◇

ストーリーラインの設計

ストーリーラインとは、結論に至るメッセージの流れであり、同時に、受け手の認識・思考を誘導する流れでもある。良いストーリーラインは、最も効果的に、受け手を理解・納得してほしいところに導く流れともいえる。

こうした観点から、ストーリーライン作りでは、以下を強く意識するのがセオリーである。

●個々のパートの「位置付け」を理解させ、迷子にさせない
●全体像を先に示すなどして、「情報を受け入れる準備」をしてもらう
●思考の自然な流れに逆らわない
●いまどこの話をしているのかを確認しながら進める
●興味を持続させる
●理解に基づく問い(期待)を受け手の頭の中に思い浮かばせ、それに答えていく
●受け手にとって興味のある、重要な論点に絞り込む

なお、ストーリーラインはあくまで、どのパートから伝えるかという、「伝える順番」についての議論であり、伝える内容の全体像そのものは、ピラミッド・ストラクチャーでしつかり論理立てて構築されていることが望ましい。

典型的なストーリーライン

プレゼンテーション全体の骨格を成す大きなストーリーラインにはさまざまなものがあるが、ビジネス・プレゼンテーションで用いられる型を大きく分けると、以下の4つになる。なお、これらの中間的なものや、ミックス型も存在する。適切なストーリーラインは当然、目的や受け手の状況に強く影響される。

(1)    問題解決型
問題点を指摘し、その要因分析を示したうえで、とるべき解決策を提示するストーリーラインである。受け手の痛いところをついて興味を引き、聞き手の関心を解決策に向けさせて説得力を増すことを狙う。相手の悩みを解決するコンサルティング営業などに効果的な手法である。

〈例:人事コンサルティング会社の潜在顧客へのプレゼンテーション〉

問題提起:「貴社では優秀な若手の離職率が高まっている」
 ↓
要因分析:「貴社の若手社員にヒアリングを行ったところ、責任ある仕事を任される場がなく、やりがいを失っているのが主因だ」
 ↓
解決策提示:「優秀な若手を店長に抜擢するなど、人事制度改革を取り入れるべき」
 ↓
アクション:「弊社はこうした人事制度改革のコンサルティングで○○の実績があるので採用すべき」

(2)    トップダウン型
ピラミッド・ストラクチャーに忠実に、結論をまず語り、続いてその根拠や説明を示していく流れである。受け手が経営者などのように時間価値の高い人や、すでに何度か説明して背景がある程度共有されている場合などには、トップダウン型のプレゼンテーションが非常に有効である。

〈例:株式の売却提案〉

結論:「A社の株は、売りだ」
  ↓
理由①「A社の株は、割高である」
  ↓
理由①の根拠:「財務分析での適正価格は現在の株価より低い」
  ↓
理由②:「損害賠償の被告として係争中で、多額の賠償金を支払わされる可能性が高い」
  ↓
理由②の根拠:「同様の訴訟で同業B社が敗訴し、多額の賠償金の支払いを求められた」
  ↓
結論(再確認)「A社の株は、売りだ」

(3)    起承転結(序破急)型
報告する背景や現状をまず語り、現状に対するある程度の同意を得たうえで、根拠を提示し、伝えたいメッセージを伝え、最後に締めるという流れである。起承転結はもともと漢詩や散文、短編小説などに用いられるストーリーラインで、徐々に高揚感を盛り上げていくには適した手法である。ビジネスシーンであれば、時間的な余裕がある場合や、現状の認識合わせに時間を使いたい場合に有効であろう。

「序破急」は、「序」が「起承」に相当していると考えればよい。起承転結に比べると、やや結論を急ぐ形である。

〈例:商品Aに関する対策〉

起:「商品Aの販売数が伸び悩んでいる」
 ↓
承:「それと絡んで、このような事態が起きている」
 ↓
転:「ところで、競合のB社ではこんな取り組みをして成功した。また、市場の声として、以下のような話がある」
 ↓
結:「我々は以下の対策を速やかに実行すべきではないだろうか」

(4)    物語型
「なぜなら」という形で理由を示すのではなく、イメージを喚起するような(未来の)物語をしっかり説明し、人々のポジティブかつビビッドな感覚を刺激することで説得する手法である。

〈例:新戦略の説明〉

結論:「我々は、今後、このような戦略に沿って事業運営を行う」
  ↓
物語:「これを実行すると、顧客は○○のような反応を示すことになる。それに対して、我々は△△を行い、それがさらに□□の効果をもたらす。一方で、……」
  ↓
結論(再):「こうしたことを実現し、みんながイキイキと働けるようにするためにも、我々は、今後、このような戦略に沿って事業運営を行う」

(本項担当執筆者:グロービス出版局長 嶋田毅、HRデザインスタジオ代表 生方正也)
 

『グロービスMBAクリティカル・シンキング コミュニケーション編』
グロービス経営大学院  (著)
2800円(税込3024円)

 

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