【2017年への提言】日本企業のグローバル本社、見えなかったものの見える化が進む(西恵一郎) 

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2017年はどのような年になるのか、どのような年にしたいのか――。グロービス/グロービス経営大学院のリーダー陣10人が、それぞれの視点から展望と提言を語る。(企画・構成: 水野博泰=GLOBIS知見録「読む」編集長)

1年前、2016年にはグローバル化で先を行く日本企業において「グローバル本社」と「日本支社」の構造分離が進むだろうと予測した。数が大幅に増えたわけではないが、既に踏み切った企業のグローバル本社では、様々な取り組みを通して見える化が進んだ。

第1に、「見えていなかったもの」が見えてきた。グローバル本社は日本人だけでなく、世界中の拠点で働く人材の才能を見出し、選び、育てなければならない。その役割が明確になった途端、日本人社員は見えているが、日本人以外の社員は見てこなかったことが課題として突きつけられたのである。まず、海外現地社員の上司は日本から派遣される駐在員であり、3~5年ごとに交代してしまうので、タレント・マネジメントに継続性がない。そもそも、海外の人材に関する情報がグローバル基準で収集・蓄積されていない。世界中のどこに、どんな能力を持った人材がいるのかが見えていなかったのである。

第2に、「今の成果」(パフォーマンス)だけではなく、「将来への潜在力」(ポテンシャル)を見なければならないということが明確になってきた。日本企業における人材登用は「ハイパフォーマー」(実績を出してきた人)を引き上げることが主流だ。だが、変化の激しいグローバル経営環境において、今のハイパフォーマーが将来もハイパフォーマーである保証はない。むしろ、5年後、10年後のグローバル経営戦略を練る上で必要なのは、その時、その場で成果を上げられるポテンシャルを持っているかどうかだ。

世界にいる社員からハイポテンシャル人材をできるだけ早く見つけて、将来の事業リーダーや幹部候補として育成することを、グローバルで行っていく――。これをきっちり実践できている日本企業は、まだほとんどないと言っていいのではないか。

第3に、テクノロジー活用によって見える化の次元が高まり、仕組み化が可能になってきているということ。AI(人工知能)やIoTといったテクノロジーを活用することによって、音声、画像、動画、行動が蓄積・分析できるようになってきている。つまり、社員の適正や資質、判断力、行動パターンなどをデータベース化していけば、人材を多面的に評価することができるようになる。実は、グローバル先進企業にとっての2017年のホットイシューは、まさにこの仕組み化を実現することなのである。

AIの活用によって企業経営が大きく変わると言われているが、個人的には、グローバルなタレント・マネジメントへの応用が先行的に進むのではないかと思う。例えば、「Aさんは、新規事業の立ち上げで新興国では打率3割だが先進国では5割、B事業のリーダーとしての適性ポテンシャルは80%」といったように、グローバルな人材データバンクが構築されていくイメージだ。

こうしたことは、日本国内の視点だけでは旗振りが難しいかもしれない。グローバル本社の視点だからこそ思い切って推進できる。遠回りに見えて、実は人材マネジメントをグローバル水準に押し上げるための近道なのかもしれない。

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