本当に環境立国になれるの? 足を引っ張る政治家たち 

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石油相場は140ドル目前まで迫っている。この価格が高すぎるという認識は一致しているものの、これから本格的に下落する可能性はそれほど高いわけではない。むしろ第三次石油ショックという言い方も広まっている。

日本では暫定税率が1カ月廃止されたことで、ガソリン価格がリッター当たり25円前後下がった。民主党の山岡賢次国対委員長は、この暫定税率の「暫定廃止」は参院で多数を獲得した民主党の“戦果”である、というようなことを語っていた。これは日本の政治が世界的な流れに対し、いかに無頓着かを物語るような話だ。

第三次石油ショックの深刻さは一次、二次とは一線を画す

1973年の第一次石油ショックと1978年の第二次石油ショック、そして今回の「石油ショック」には大きな違いがある。それは前の石油ショックはいずれも政治的な理由による危機であった。1つは第四次中東戦争に端を発した産油国による「石油禁輸」であり、もう1つはイラン革命によるものだ。

しかし今回は政治的な問題ではない。石油相場が値上がりしている最大の理由は、需要の増加である。もちろん中国やインドといった急成長中の発展途上国だ。両国ともふたケタあるいはそれに近い高度成長を遂げており、もちろんエネルギー需要はGDP(国内総生産)の伸びを上回る勢いで伸びている。

その意味では、今回の「危機」のほうが深刻だ。最大の産油国であるサウジアラビアが増産に同意しても、それで石油生産が大幅に増えるわけではなく、原油相場はかえって値上がりした。とはいえ深刻である分だけ、代替エネルギー開発にとっては追い風ということができる。

日本政府もようやく重い腰を上げる決断をしたようだ。いわゆる福田ビジョンで、「2020年までに新築持ち家住宅の7割以上が太陽光発電を採用しなければならない」という目標を掲げた。これを受けて経済産業省は、家庭用の太陽光発電普及に向けて補助金を出すことを決め、2009年度予算から実行に移される。太陽光発電については以前にこのコラムでも書いたが、日本政府が設置家庭への補助金を2005年に打ち切って以来、新規設置は激減していた。

その一方、ドイツでは補助金によって太陽光発電や風力発電が急速に普及している。前エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合は6.7%に達している。それに対して、日本は2010年までに電気供給量の1.35%を目標としているという程度だから、ドイツのはるか“後ろ”と言っていい(しかもこの目標ですら達成はほとんど不可能だという)。

代替エネルギーの本格化には政府のビジョンが不可欠

自動車などではホンダがこの6月から世界に先駆けて燃料電池車の生産を開始した。水素を燃料として、酸素と反応させて発電し、排出されるのは水のみという究極のエコ・エンジンである。しかし水素のスタンドはガソリンに比べると格段に取り扱いが難しいという難点を抱えている。その意味では、電池の性能が格段に向上していることから、燃料電池車よりも充電して走る電気自動車のほうが、現実性が高いとする向きもある。

このホンダの先駆的な開発が後世でどのように評価されるか分からないが、いずれにせよ原油相場の値上がりという背景がなければ、こうした開発が促進されることもなかった。日本ガイシは、セラミックを利用した大容量の蓄電池を開発しているが、この技術も最近でこそ脚光を浴びているものの、つい数年前まではいつ開発を止めてもおかしくないような状況だったという。

先のオイルショックから35年。この間、代替エネルギーへの期待はふくらみ、しぼんできた。未来技術としてもてはやされた核融合は、いまではほとんど口の端にものぼらなくなっている。これから勝ち残る技術とは何か。その波に乗り遅れないようにするには、やはり政府による誘導が必要だ。そのためには政治家や政府がそれなりのビジョンを持たなければならない。ガソリンが安くなってよかったじゃないか、という程度の発想では困るのである。

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