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【2017年への提言】経営者たる者、己の限界を知るスーパーリーダーたれ(花崎徳之)

投稿日:2016/12/24更新日:2019/04/09

2017年はどのような年になるのか、どのような年にしたいのか――。グロービス/グロービス経営大学院のリーダー陣10人が、それぞれの視点から展望と提言を語る。(企画・構成: 水野博泰=GLOBIS知見録「読む」編集長)

IoT、ビッグデータ、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)など、企業経営をより良くするための新たな武器となる技術やツールが出揃ってきている。法人顧客の人材育成や組織変革に取り組んでいる視点から最近感じるのは、こうした武器を活用して成長できる企業と、乗り遅れてしまう企業との間に明らかな差がつきつつあることだ。

経営者の皆さんに、テクノベート(テクノロジー+イノベーション)の視点から3つ提言したい。

第1に、「テクノロジー理解に対する自己過信は禁物」ということ。テクノベート経営には、経営者・ミドルマネジメント層が最新のテクノロジーに関心を持ち、理解することが必要不可欠である。関心さえ持たないのは論外として、テクノベートが進まない企業の中には、経営者が新しい技術やツールに少し触れただけで「本質を理解した」と誤認し、ずれた舵取りをしている事例も少なくない。新しいものに対して好奇心は持ちつつも、己の限界を知って、謙虚に周りの意見に耳を傾けていただきたい。

第2に、「イノベーション・チームとオペレーション・チームを接合せよ」ということ。特に大企業では、組織全体をガラッと変革することは難しいので、イノベーションを起こすための特命チームが編成されることが多い。社内外から異能・異才、尖った人材が集められ、斬新なアイデアが出される。ところが、オペレーションに落とし込めずに最終的には掛け声倒れのままプロジェクトが頓挫してしまうということがよくある。

これは、新しいイノベーション・チームと現場のオペレーション・チームとの間が分断されているためだ。メディアの取材で社長が、「当社は地道な優等生が多くて、ユニークなアイデアが出てこない。だから、イノベーション・チームを作った」などと語ろうものなら分断を深めるだけだ。顧客と直に触れ、現場を動かすオペレーション・チームの社員たちにも「会社をもっと良くしたい」という情熱がある。地道な努力の根っこには事業を支えるという使命感があり、難しい課題を解決していくための知恵に溢れている。イノベーション・チームにスポットライトを当てるだけでは、イノベーションは起こせないのだ。彼らを結びつけるのは経営者の役割だが、私の知る限り、多くの企業ではアイデア重視の傾向にあるためにうまくいっていない。

第3に、「過去の失敗の棚卸しをきっちりせよ」ということ。イノベーションを起こしたいという企業をコンサルティングすると、過去にいくつものトライ・アンド・エラーを積み重ねていて、意外にイノベーションの芽を社内に温存していることがある。100点満点の成功がないように、0点の失敗もないものだ。「早すぎたアイデア」が時を経て息を吹き返す可能性はあるのに、過去の失敗へのアレルギー反応が強すぎるあまりに触れることすら忌避する傾向が見られる。常々、とてももったいないと思う。新たな武器を使って「過去の失敗」を「未来の成功」にできないか、思い切って振り返ってみてはどうだろうか。

経営トップたる者、スーパーリーダーでありたい。だが、スーパーであるということは完全無欠ということではなく、己の限界と不完全さを知り、完全であることを目指す視点を持っているということである。2017年、日本企業からスーパーリーダーを輩出するために尽力したい。
 

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