収益を実現する: 最も稼げる方法を見いだせ 

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『グロービスMBAビジネスプラン』から「収益を実現する」を紹介します。

ビジネスモデルの重要な部分を占める要素に「利益モデル」あるいは「利益方程式」があります(厳密には完全に同義には使われていないようですが、ここではほぼ同じ意味合いで用います)。これは、結局どのような形でキャッシュを得るか、あるいはキャッシュや利益を最大化するかという方法論のことです。たとえばかつての米国の銀塩フィルム業界では、コダック社が広めた「カメラは安く売って、フィルムの販売で儲ける」という利益モデルが非常に有効に機能しました。販売店も、現像でさらに儲けることができることから、シェアの高いコダックのフィルムを好んで扱うようになり、ますますコダックの地位は盤石となったのです。この利益モデルは、その後、コピー機や携帯電話にも応用され、上位企業に非常に高い利益をもたらしました。

誰から何の対価としてキャッシュを得るのか、商材や顧客間の儲けのメリハリをどうつけるかなど、利益モデルは工夫の余地が多々あります。だからこそ、それを上手く構築できれば、時として売上高営業利益率が数十パーセントなど、非常に大きな利益を手にすることができるのです。

(このシリーズは、グロービス経営大学院で教科書や副読本として使われている書籍から、ダイヤモンド社のご厚意により、厳選した項目を抜粋・転載するワンポイント学びコーナーです)

収益を実現する

先に、良いビジネスモデルの要件として、しっかり利益が出せることを挙げた。ここではまず、利益を創出するいくつかの典型的なパターンについて紹介しよう。

エイドリアン・スライウォツキーの「23の利益モデル」

利益を生み出すパターンのリストで有名なものに、著名な経営コンサルタントのエイドリアン・スライウォツキーが著書『ザ・プロフィット』(ダイヤモンド社、2002年)で解説している「23の利益モデル」がある。

うまく利益を生み出しているビジネスのほとんどは、この「23の利益モデル」のどれか1つ、ないしは複数に当てはまっているというのがスライウォツキーの主張だ。たとえばインテルであれば、「デファクト・スタンダード利益モデル」「時間差利益モデル」「専門品利益モデル」「相対的市場シェア利益モデル」「ブランド利益モデル」「価値連鎖ポジション利益モデル」が当てはまるだろう。ケースで紹介した「エスプレッソ」は、「インストール・ベース利益モデル」「販売後利益モデル」「ブランド利益モデル」を用いていると言えよう。

利益モデルがたくさん当てはまるということは、それだけ競争優位を築くポイントが多いということだ。しかし、だからといって、ただ単に数が多ければいいというものでもない。弱いものがたくさん集まるより、強烈に強いものが1つあるほうが、よほど利益に貢献する。その逆に、一つひとつはたいしたことがなくても、組み合わせの妙で儲かる仕組みができているケースもある。

なお、これらの分類を見るだけではわかりづらいが、「どこで儲けるか」を強く意識することも重要だ。たとえば、飲食店では一般的に酒類(ビールや酎ハイ)の利益率が高い。したがって、中華料理店では、「ビールや酎ハイを飲みたくなるようなメニューをどれだけ揃えられるか」が収益性を高めるうえでの1つのカギになる。すべての顧客、すべての商材で満遍なく利益を得るのではなく、「どこで損は出してもいいから、どこで厚くキャッシュを得るのか」というメリハリを考えることが必要である。

ところで、この23の類型では、「デジタル利益モデル」が1つの利益モデルとして紹介されているが、ITの進化が激しい昨今、これではやや大雑把すぎるように思われる。そこで本書では、「デジタル利益モデル」をさらに図表のように分類してみた。1つの参考としてほしい。フリーミアムモデルは、先述の「どこで儲けるか」のメリハリを突き詰めた例とも言えよう。

これから始めようとするビジネスが何ゆえに儲かるのか。この点をはっきりと説明できるようにすることは、ビジネスモデル作成にあたって有効である。以下の点についてはしっかり考えておきたい。

●自社のビジネスは、どの利益モデルを使っているか?
●競合相手のビジネスは、どの利益モデルを使っているか?
●もっと利益を上げるために、現在の利益モデルを使って新たにできることはないだろうか?
●まったく新しい収益源をつかむために、別の利益モデルは使えないか?
●自分の仕事は、どのように利益と結び付いているか?利益と無関係な業務はないか?
●将来の事業計画は、どのようにして自社に利益をもたらすだろうか?
●自社の計画の中に収益性を損なう可能性があり、中止すべきものはないか?
●自社は業界の中でまったく新しいユニークな利益モデルをつくれないだろうか?

(本項担当執筆者: グロービス出版局長 嶋田毅)

次回は、『グロービスMBAビジネスプラン』から「ニッチビジネスとは」を紹介します。
 

『[新版]グロービスMBAビジネスプラン 』 
グロービス経営大学院 編著
ダイヤモンド社
2,800円(税込3,024円)

 

東京大学理学部卒、同大学院理学系研究科修士課程修了。戦略系コンサルティングファーム、外資系メーカーを経てグロービスに入社。累計150万部を超えるベストセラー「グロービスMBAシリーズ」の著者、プロデューサーも務める。著書に『ビジネス仮説力の磨き方』『グロービスMBAビジネス・ライティング』『グロービスMBAキーワード
図解 基本フレームワーク50』(以上ダイヤモンド社)、『[実況]ロジカルシンキング教室』『[実況』アカウンティング教室』『競争優位としての経営理念』(以上PHP研究所)、『利益志向』(東洋経済新報社)、『ロジカルシンキングの落とし穴』『バイアス』『KSFとは』(以上グロービス電子出版)、共著書に『グロービスMBAマネジメント・ブック』『グロービスMBAマネジメント・ブックⅡ』『MBA定量分析と意思決定』『グロービスMBA事業開発マネジメント』『グロービスMBAビジネスプラン』『ストーリーで学ぶマーケティング戦略の基本』(以上ダイヤモンド社)など。その他にも多数の共著書、共訳書がある。
グロービス経営大学院や企業研修において経営戦略、マーケティング、ビジネスプラン、管理会計、自社課題(アクションラーニング)などの講師を務める。グロービスのナレッジライブラリ「GLOBIS知見録」に定期的にコラムを連載するとともに、さまざまなテーマで講演なども行っている。

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