やはり「第3次石油危機」なのか。ならば“環境”に目を向けよう 

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原油相場が140ドルに迫っている。今年の1月2日に史上初めて100ドルをつけたというのに、わずか5カ月ほどの間に40%も相場が上がってしまった。

「異常な価格」というのが需要国すべてに共通した感覚だろう。新聞紙上では「第3次石油危機」という言葉が見られるようになった。「英エコノミスト誌の先週号5月31日号では石油問題を特集している。

この記事の中に面白い数字が出ている。米投資銀行ゴールドマン・サックスによると、石油の値上がりによって、消費者の懐から産油国などに流れる金額は年間で1兆8000億ドルに達するそうだ。

ここで値上がりの元凶にされているのが、ヘッジファンドなどの「投機資金」である。現在、約2600億ドル(約27兆円)ほどがコモディティ(商品)に投じられているという。この金額は2003年の20倍だというからすごい。原油相場で言うと、2002年の初めのころは、1バレル20ドルぐらいだったため、現在の約7分の1の水準でしかなかった。

しかしエコノミスト誌は「この考え方は、明確に誤りである」と指摘する。その部分を要約すると「投機家は実際に買うわけではない。先物市場で買ったバレルはやがて売り戻す。こうした行動は“ペーパーバレル”の値段を上げるかもしれないが、実際の油の値段を吊り上げるわけではない。先物の値段が上がったのを見て、油を退蔵しようとする人がいるかもしれないが、石油の在庫は多いわけではないから、退蔵しているという兆候はほとんどない」

要するに原油の実物を買っているのではないから、実物の需給に影響を与えないというのである。それではなぜ原油相場がこれほど上がるのだろうか。

エコノミスト誌はこう解説する。「真実はいたって平凡な話。新しい油田を発見し開発するのはカネも時間もかかる。ブラジル沖の油田が生産を始めるのは、10年以上先の話だろう。それに油というのはなかなかに天邪鬼(あまのじゃく)なところがある。石油価格が安いときには、産油国はコストが安く、ハイテクで資本もたっぷりある石油会社を歓迎する。しかしひとたび石油価格が上昇すると、例えばロシアやベネズエラのような国は、こうした企業を追い出してしまう」

もちろん、原油価格が急騰している背景には、中国やインドといった高度成長中の発展途上国の原油消費が急増していることもある。それに産油国などが生産設備に資金を投じてこなかったために、採掘や精製能力に限界が来ているということもある。

また、エコノミスト誌は否定的だが、全世界の石油生産が限界にきていて、ひょっとするとピークを過ぎたという説もある。いわゆる「ピークオイル」だ。これには反対論も根強いが、どの説を取るにせよ、科学的な根拠はない。

原油高騰は温暖化対策につながる?

世界では、原油高騰=燃料高騰に抗議してさまざまな行動が起こっている。しかし地球温暖化という観点から見れば、燃料の値上がりは「節約」につながるため、最も有効な温暖化対策になるかもしれない。

日本のことを考えても、1973年の石油ショックを乗り切れたのは、原油の価格が4倍になったことで、それを乗り切るために必死で省エネに努めたからだった。同じように、ここで必要なことは、燃料費に補助金を出すことではなく、この第3次石油ショックを乗り切るために、政府が省エネ技術や環境保全技術を促進することだ。

IEA(国際エネルギー機関)の試算では、2050年までに温暖化ガスを半減するためには、45兆ドルの資金が必要だという。日本のGDP(国内総生産)の9倍という金額はべらぼうだが、考え方を変えれば、これも「新しい市場」に違いない。これまで地球を「汚してきた」会社が、この45兆ドルを目指して地球を「守る」会社に発展する可能性があるということだ。

日本がその先頭に立つためには、政府が目標と方向性、それに具体的な政策を打ち出す必要がある。それがなければ企業は自分たちでは動かないからだ。政治のリーダーシップ、この要求に福田総理はどう答えるのだろうか。

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