地価の変動は簿価にどう反映される? 

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土地に限らず多くの資産は、取得に際して支払った金額で貸借対照表(B/S)に計上されます(これを取得原価主義といいます)。しかし、土地の取得後も路線価など土地の時価は変動します。では、その都度、B/Sの土地の金額を修正する必要があるのでしょうか。

まず、土地の時価がB/S計上額(以下、簿価)よりも上がった場合は、簿価の修正はしません。いわゆる「含み益」の状態まま据え置き、実際に土地が売却される等処分した時点で含み益は損益計算書(P/L)に売却益等として計上されます。一方、時価が簿価を下回った場合には簿価の修正が必要になる場合があります。ただし、土地の「状態」によって取り扱いが異なりますので、解説します。

1つ目は、工場用地や支店など、事業に使用されている土地の場合です。事業に使用している土地の時価が大幅(少なくとも簿価から50%程度以上)に下落した場合は、土地の簿価の切り下げ(減損といいます)の検討が必要になります。しかし、この場合は土地単独ではなく、例えば工場の場合、土地を含む工場全体(建物や製造設備)としての「使用価値(※)」と簿価合計との比較により判定します。簡単に言うと、工場などおカネを生み出す(最小)単位の将来のおカネを生み出す力(「使用価値」に相当)が簿価合計よりも低い場合に建物、土地、製造設備それぞれの簿価の切り下げが必要となります。

具体例では、製品の販売状況が悪化して工場の稼働率が低下した状況が継続するような場合が相当します。したがって、工場の土地の時価が下落した場合でも、工場全体の稼働率などに問題がなければ、土地の簿価の切り下げは不要となります。

2つ目は、事業に使用していない土地の場合です。事業に使用していない土地とは、例えば工場建設のために購入したが工場建設を先送りしている、以前は支店を置いていたが移転して今は使っていない等いわゆる「遊休状態」にある場合です。遊休状態にある土地は、会計ルール上、価値が毀損(減損)している兆候があると考えられます。したがって、時価の下落の有無を確認して当該土地を売却した場合に見込まれる正味売却価額(売却見込価額から売却に係る経費を控除した額)が簿価よりも低い場合は正味売却価額まで簿価を切り下げる必要があります。

※ 使用価値:おカネを生み出す(最小)単位の継続使用と使用後の処分から見込まれる将来キャッシュフローの現在価値

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