固定資産は購入時から撤去費用を計上する必要があるって本当? 

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固定資産の撤去費用を購入時から費用にする必要がある、と聞くと驚かれる人もいるのではないでしょうか?

「資産除去債務」とは、主に有形固定資産等の取得、建設、開発、通常の使用によって生じ、(有形)固定資産の除去に関して法令または契約で要求される法律上の義務等を言います。製造設備などを通常使用後、老朽化や機能劣化などにより売却、廃棄、リサイクルなどにより処分をする場合に必要となる費用をイメージしてもらえば良いでしょう。なお、使用期間中の修繕費用等は対象とはなりません。

例えば、発電所の除去時には大規模な除去費用や設置場所の原状回復費用が見込まれます。除去時に突然多額の費用が発生し損益が大きく歪められるのを避け、除去に係る費用を予め見込んで財務諸表に反映することで投資家に対する投資情報を提供する目的で導入されました。また、日本の会計ルールと国際財務報告基準(IFRS)との差異を埋める目的もあります。

具体的な会計処理は以下の通りです。有形固定資産(1,000/耐用年数:5年/定額法)の購入時に、将来の除去等に係る費用が100見込まれたとします。この場合、資産除去債務は100ですが、耐用年数経過(5年)後に発生が見込まれるため、購入時点の価値に割引計算を行います。割引率を1%(*1)とすると、資産除去債務の現在価値=100÷(1.01の5乗)=95 (四捨五入)となります。

【購入時】
(借)有形固定資産 1,095 (貸)未払金 1,000
                 資産除去債務 95

これにより、将来の有形固定資産の除去等に伴う負担額を、負債として購入時にB/Sに反映することができます。

【購入後】
減価償却
(借)減価償却費 219 (貸) 減価償却累計額 219
219=1,095÷5(年) 内、19は資産除去債務の1年分(1/5)を費用としたことになります。
資産除去債務調整
(借)(利息)費用 0.95 (貸)資産除去債務 0.95
資産除去債務95×1%=0.95 この調整を5年間(複利)行うことで「5年後」の資産除去債務が100になります。

減価償却及び資産除去債務調整で、「毎期」約20の費用が発生します。

【除去時】
除去に係る費用が見込み通り100とする(*2)と、

(借)資産除去債務 100 (貸)現金預金 100

現金は撤去時に支払われますが、除去費用は有形固定資産の使用期間にわたって発生することになり、費用の発生を分散することになります。

*1: 割引率には、無リスクかつ税前の利率(例:除去時までの期間に対応した利付国債の流通利回り)
*2: 実際の除去費用が当初の見積もりと異なる場合の差額は実際に除去された時点で費用とします
 

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