第7回 組織の知恵をリストにまとめる 

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グロービス・マネジメント・スクールで教鞭を執る堀内浩二氏の著書『リストのチカラ 仕事と人生のレベルを劇的に上げる技術』から、日々のビジネスに今すぐ活用できる「リスト」を紹介する連載講座第7回。最終回は、組織内で属人的になりがちな“仕事のコツ”を自らリスト化して共有する勉強会の進め方を紹介します。

当連載では、書籍『リストのチカラ 』から既に世にある「よいリスト」を紹介してきました。今回は、その応用編として“組織の知恵”を自分たちだけのリストとしてまとめる方法を紹介します。“組織”といっても、ここで想定するのは、せいぜい数人~10人程度のチーム。そういったチームのメンバーが、とかく属人的になりがちな“仕事のコツ”を勉強会などで共有するシーンについて考えます。

“仕事のコツ”と言えば、「ハズさない商品開発のコツ」「クロージングに持ち込むセールスのコツ」といった大きなテーマから、「はじかれない稟議書のコツ」といった日常的なものまで、どのチームにもあるでしょう。
こういったコツは、タイトルだけを見れば、どの組織でも概ね同じです。しかし世の中には一つとして同じ組織はありません。仕事の内容・組織文化・メンバーの個性などが違うのですから、仕事をスムーズにやり遂げるためのコツの中身の部分は、組織ごとに固有のはずです。

それらは放っておくと、個人に紐づいて担当替えなどの際には他部署に出ていってしまったり、いったん共有されても徐々に風化し、使えなくなったりしてしまいます。活用していくためには、意識的に引っ張り出して共有していく必要がありますが、カジュアルで効果の高い方法がなかなかないのが現状です。

社内ブログのように個人の独白を集積していく仕組みは、コツの断片を集める上では有用ですね。社内SNSのようなネットワークも、そういった断片の流通手段としては有効でしょう。

ではさらに、そういった個人の知恵を持ち寄って、チームで共有しておきたいときにはどうすればよいか。文書を作って回覧すればOKかといえば、必ずしもそうではありません。文書化は知恵のすべてを言語化しようとする作業です。文書で共有できることには限界があるうえ、作成にもメンテナンスにも手間が掛かります。コツと呼ばれるような現場の知恵を形式知するために、そこまで手間を掛けることは、実際にはなかなか正当化しづらいものでしょう。

そこで提案したいのが、社内勉強会を開いてコツを象徴する言葉をまとめる“過程”を共有するやり方です。その過程を経て、各人が言葉に込める思いを明らかにできれば、短い言葉であっても、いや短い言葉だからこそ、コツの共有が容易になるのではないでしょうか。

書籍『リストのチカラ 』の後半は、個人の頭の中に、あるいは部内に埋もれている知恵を集めて、束ねて、固めて、最終的にはシンプルな箇条書きの「リスト」にする方法について解説しています。具体的には、「集める」「束ねる」「固める」の3ステップをそれぞれ2つに分けて、前後にもう1ステップずつ加えた8つのステップとして定義しています(下の表)。

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この8ステップに沿って、2時間の社内勉強会で一つのコツをリスト化する場合のガイドを作ってみました。参考までに、書籍における該当ページも添えておきます。

1.テーマを決める(30分)
【定義】です。リスト化したいコツを決めます。事前課題として各自リストアップしておくか、5分間くらいで各自が思いつくものを挙げます。その結果を回覧・共有して、今回リスト化するコツを一つに絞ります。

ここでは、最終的なリストのタイトルを具体的に書いてみて、合意することが重要です。この作業によって、共有したいテーマが明確になります。
例えばサービス開発に関するコツを共有するとしましょう。流れが混沌としているために混乱が生じていることが問題なら「サービス開発○つのステップ」、作業 ミスが多いのなら「サービス開発○戒」、スケジュールが遅れがちなら「サービス開発○つの進捗チェックポイント」といった言葉になると思います。

なお、今回対象とならなかったテーマ案は次回も使えますので保存しておきましょう。(参考:p145~150、160~164、40~41)

2.コツの断片を集める(30分)
【列挙】と【分析】です。コツの断片を思うまま挙げていったり、フレームワークを考えて洗い出してみます。ホワイトボードに書いて共有する前に、時間を取って各自が頭の中からコツの断片を拾ってくる時間を設けましょう。
「~のステップ」といった「順序」のリストや「~のステージ」といった「段階」のリストを考える際には【分析】の作業が重要ですので、様々な枠組みを試してみましょう。(参考:p165~177、p266~p269)

3. いくつかのコツに束ねる(30分)
【構成】と【要約】です。このステップと前の2のステップの合計が60分(全体の半分)くらいというイメージです。【分析】のステップで枠組みが見えていない場合は、集まった断片をグルーピングしていきます。このとき、ただ内容の似た項目をまとめてもよいリストになるとは限りません。結局、何のリストを作ろうとしているのか(1のステップでの議論)を思い出してください。(参考:p178~p189)

4.印象的な言葉として固める(20分)
【凝縮】と【修辞】です。ここはセンスが問われるところ。これまで本連載で紹介してきた、よいリストなども眺めながら、言葉にとことんこだわりましょう。大書したり、声に出して読んでみることも重要です。

もし途中参加のメンバーが予定されていたら、このステップで入ってもらうといいですね。きちんと凝縮されているかどうか、新鮮な目でチェックしてもらえます。時間が許せば、このステップも前のステップと同じくらいの時間を掛けてじっくりやりたいところです。(参考:p189~207)

5.リストを見直す(10分)
【再定義】です。当初の問題意識に正しく応えるリストになっているでしょうか?もし話がずれてしまったとしたら、チームの問題意識が話しているうちに明らかになったということでしょう。その場合はタイトルの方を変えてしまいましょう。

また、リストをどのように活用するかも、決めておきましょう。カードにするのか壁に張り出すのか。使ってみた感想を持ち寄るのはいつか。次に見直すのはいつか、といったことです。(参考:p207~214)
是非、試してみてください。

本連載は、『リストのチカラ 仕事と人生のレベルを劇的に上げる技術』(堀内浩二・著 ゴマブックス・刊)より一部抜粋のうえ再掲載したものです。内容の無断転載、無断コピーなどはおやめください。また、私的利用の範囲を超えるご使用の場合は、著作者および出版社の承諾書と使用料が必要な場合があります。

▼『リストのチカラ 仕事と人生のレベルを劇的に上げる技術』とは
グロービス・マネジメント・スクールで教鞭を執る堀内浩二氏の著書。前半は、「リストフリーク」(リスト大好き人間)を自称する著者が、古今東西の珠玉のリスト50を厳選して紹介。後半は、リストの収集法から自作リストの作り方までを詳説。リスト化を通じて思考力や表現力を鍛える構成となっている。

▼ListFreak(リストフリーク)
堀内浩二氏が運営する、リスト収集・共有サイト。世の中の知恵やコツを「リスト」で共有する。

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