米国・中流層の受難—日本への影響は? 

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しかし、米国の中流層が抱える問題が、どんな風に日本に影響するのだろうか。米国が直面している様々な問題に直接さらされない限り、日本が一緒に引きずりおろされることはないだろう。そして、中流層の生活不安がもたらす影響を考えると、日本が米国との関係を新たに構築する機会が生まれるかもしれない。

生活不安の増大

米国の経済状況は、ここ何年間で一番深刻といえる。アンケート調査に応じた人たちの過半数が、過去5年間で、「生活が向上していない、または後退している」と答えた。およそ10人中8人が、「5年前と比べて生活水準を維持するのが難しい」とも答えている。そして過半数が、今後の消費を控えるつもりだと答えている。

この動向は、米国が置かれているマクロ経済環境を考慮すれば驚くことではない。世帯収入の平均は、ピーク時だった1999年の約5万2千ドルを依然として下回っている。つまり、少なくとも世帯収入の観点からすれば、米国は不況から回復しているとは言えない。さらに2005年ごろまで上昇し続けていた住宅価格は、そのピークから約20%程まで落ち込み、今後更に下落しそうだ。多くの中流層は、不動産の評価が上がっていた頃は、その上昇分を引き出すようにして、嗜好品に当てていた。しかし現在はその価値が下がり、臨時収入になるものはなくなった。

最後に、食品やエネルギー費がここ何年かの間で最も急上昇するなど、物価の高騰が止まらない。ここ1年の間に、アメリカの消費者物価は4%上昇し、食費は4.5%、エネルギー費は17%上昇した。一番顕著にインフレの影響が分かるガソリン価格は、3ドル50セント(新記録)を超え、いまだに上昇している。日本と同じように、ガソリン価格を表示した看板は、街のいたるところでみかけられる。消費者への心理的効果は大きい。特に米国人は、1日平均25マイル(約40Km)車を運転するので、ガソリン消費は日常でとても大きな部分を占めているのだ。

日本への影響は限定的

このような米国中流層の生活不安は、日本にどのような影響をもたらすのだろうか。日本に直接影響を及ぼす3つの観点を考えてみたい。

米国人の買い控えによる影響
米国への輸出は、円の高騰と米国国内の深刻な不況により落ち込んでいる。08年1−3月期は、昨年比で7%落ちている。米国は日本の最大輸出国なので、この現象は日本経済に少なからず悪影響を及ぼしている。

日本は他の市場に輸出の増大を頼らざるをえない
幸運な事に、日本は米国以外の貿易相手国を見つけている。08年1−3月期の輸出は、輸出相手国2位の中国への7%アップを含め6%上昇している。米中以外の国々への輸出は、特に輸出に成功している中東、南アジアの新興国や南米を含め、10%上昇した。

経済不況がもたらす、政治リーダーへ変化を求める可能性の高まり
不況時には、野党が大統領のイスを奪う可能性が高いのが米国の慣例である。もしも、物価上昇、資産価値の下落、そして停滞する世帯収入という経済傾向が続くならば、民主党大統領候補(バラック・オバマかヒラリー・クリントンのいずれか)が11月に次期大統領になるだろう。日本にとってこれは、最も強力な同盟国と新たな関係を築く機会を意味している。

日本が、今後1年程度は続くであろう、米国の深刻な経済問題を、なるべく傷を負わずにやり過ごそうとするなら、輸出市場を多様化するとともに、米国の新たな政治リーダー達と積極的な関係を作ることが必要だろう。(英文対訳:是村由佳)

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