Home-Techの最新事情と課題~リノべるの「スマートハウス」とは? 視聴時間 25:49

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グロービスセミナー
Home-Techの最新事例

「家」という領域にテクノロジーが入ってイノベーションを起こすことを「Home-tech(ホームテック)」といい、変わりつつある不動産業界。新築物件を買うのではなく、リノベーションした物件を持つことで、新たな家の価値を提案するリノべるの木村氏を招き、リノベーション物件の魅力、「スマートハウス」の最新事例について語っていただく(肩書きは2016年6月30日登壇当時のもの)。

<動画をテキストでご紹介>

築古物件にまったく別の価値を与える「リノベーション」

木村氏:  リノベるの木村と申します。まず自己紹介をさせていただくと、私がリノベるに入社したのは去年の5月。そこからスマートハウス事業を担当している。その前はWeb系ベンチャーで広告営業を、さらにその前は半導体装置メーカーで営業をしていた。そこでハードウェアやインターネットをやっていて、そのどちらの経験も使えるような領域ということで今はスマートハウス事業を担当している。ただ、職歴は住宅領域とまったく関係がなかったし、私個人はユーザーとしてもそれほどこだわりを持っていない人間だった。そんななか、昨年リノベるに入社してから1ヶ月ほど当社のビジネスモデルを調べたら、「これ、すごく合理的だな」と。それで半年ほど前にリノベるで自宅を買ってしまった(会場笑)。築41年ぐらいのマンションをリノベーションしている。

さて、リノベるという会社を一言で申しあげると、中古住宅のリノベーション事業を行っている会社になる。と話すと、「リノベーションってなんなの?」となると思う。似ているところで「リフォーム」という言葉もある。そこでリフォームについて説明すると、たとえば築36~37年の築古物件をリフォームしたら、壁が白くキレイになり、天井のライトも最新のキレイなシーリングライトになり、エアコンも最新に変わるという変化が起きる。要は新築同然に生まれ変わるのがリフォームだ。
では、リノベーションをするとどうなるか。もうまったく違う物件のようになる。たとえば壁も天井も取り壊して、すべてぶち壊して隣の部屋とくっつけてリビングにしたりする。従って、新築の状態に近づけるリフォームに対し、リノベーションはまったく別の価値を与えることが目的になっていく。従って、リフォームは「自宅が古くなったから新しくしたい」というお客さまが多いけれども、リノベーションは違う。新しい住宅購入の形として「築古マンション+リノベーションで購入したい」というお客さまが多い。実際、リノベるの場合は9割以上がそういうお客さまになる。

で、そうすると、「じゃあ、新築とどう違うの?」という話になる。メリットは大きく3つ。1つはやはり新築より安く買える点だ。リノベるのWebサイト等では「1/3」ということが謳われている。これは「新築の2/3ほどの値段で住宅を取得できるから、残りの1/3のバッファで豊かな人生を送りましょう」というメッセージだ。また、価格が下がりづらいというメリットもある。新築マンションの資産価値が時間とともにどう目減りするかというと、まず、買った瞬間に2割ほど一気に下がる。なぜなら購入時点でデベロッパーさんの利益が資産価値に含まれなくなるから。で、そこからさらに下がっていって、15~20年で半額ぐらいになると言われている。
けれども、当社のお客さまは築古のマンションを購入されることが多い。金額が下がりきってから買われる場合が多いので、購入時とあまり変わらない値段で売れる可能性が高い。従って、住宅を資産として見る場合は非常に合理的な買い方だと言える。実際、この4~5年で東京の地価は大きく上昇したので、リノベるのお客さまでは、リノベーション費用を上乗せしたとしても購入時より高く売れるようになったという方がいらっしゃったりする。もうお金をもらって住んでいるという。そういったことが発生し得るメリットもある。あとは先ほどお話しした通り、好きなデザインや間取りにできるというのがメリットもある。

ただ、先ほど東さんの質問に手を挙げていらした通り、皆さん、ほとんど新築を買われる。リノベーションには致命的なデメリットがあるからだ。それは、「やらなくてはいけないことが多すぎる」点。新築を買うのなら売っているところに行って「買いたいです」と言えば、ローンから何からすべて案内してくれて簡単に…、簡単と言っていいかどうかは分からないけれども、比較的容易に買うことができる。しかしリノベーションをしようと思うと、まず古い物件を探してこないといけない。でも、不動産屋さんからするとそういう物件はあまり売れないから、資料は机の奥底にしまっていたりする。あるいは、すぐに買ってもらえるようなリノベ済のきれいな物件を案内するわけだ。そのあたりは不動産屋さんも売り慣れているし、お目当ての物件というのがなかなか見つけづらい。
それでも苦労してやっと築古のぼろぼろ物件を買ってローンを組む段階になるとどうなるか。銀行さんに話を持っていくと、築古ということで「いつ壊れるか分からないからローンは組めません」「組めますよ? ただ、リノベの費用は住宅ローンではなくリフォームローンにしてくださいね」なんて言われたりする。そうなると35年で金利もコンマ数%という住宅ローンでなく、リフォームローンということで10年かつ金利は2.7%なんていう話になって、月々の返済金額が高くなる。せっかく家を安く購入しても、月額の返済金額が新築より高いなんていう話になりかねない。先ほど申しあげたメリットを目論んで買おうと思ったのに、それで挫折してしまう方もいる。また、それでやっと購入できたとしても、そのあとは設計や施工があるわけだ。これも時間や手間がすごくかかるし、知識も必要になる。だから、数年前まで「リノベーションしよう」と言うのは、すごく詳しい人や業界の人が多かったと思う。
「それをどうにかしたいね」ということでやっているのが、リノベーションのマッチングサービスを行っている当社になる。お客さまがリノベるに相談に来てくだされば、「この物件はリノベーションに最適です」といったご紹介ができる。また、ローンについても、「お客さまの条件ですと、こちらの銀行さんで組めます」とか「リノベるとこちらの銀行さんで一緒にローン商品をつくっているので、こちらを使ってください」といった提案ができる。もちろん設計の方や施工会社さんとも組んでいるので、リノベーションに必要なものをワンストップですべて提供できる。

これは蛇足になるけれども、先ほど東さんのほうから「不動産業界ではあまり新しいことをやると叩かれる」といった事例のお話があった。うちは不動産の物件情報をお客さまに紹介しているけれども、その手数料は一切いただいていない。だから不動産業者さんからすると無料で送客してくれる仕組みになっている。なので、「こんな物件、出たよ」といった情報をどんどんいただける。もっと言うと、「まだWebに載せてないけど、こういう物件もあるよ?」といったお話までいただいたりする。そんな風にして、当社の場合、逆説的だけれども不動産業を生業としていないが故に、どこよりも不動産情報を持っているというのが大きな強みだったりしている。
ということでリノベるの紹介は以上になるけれども、ワンストップ型のリノベーションサービスということで、今、リノベるは日本で1番数多くのリノベーションを手掛けている。なので、そこを伸ばすということは当然やっていく。ただ、今後はそれに加えて、新しい「次世代の家」や「次世代の住宅のつくり方」といったものをどんどん提案していこうという話になっている。その1つということで進めている新規事業が、私が責任者を務めるスマートハウス事業だ。ここからはそのお話をしたい。

Google、Apple、Amazon、Facebookが住宅の領域にも?

まずは国内外のスマートハウス事例をご紹介したい。大きなところでは、先ほど東さんからも少しご紹介があった通り、Google、Apple、Amazon、そしてFacebookの「ビッグ4」が、次々と住宅への参入を表明している。ここではそのうち3社の事例をお持ちした。やはり今一番熱いのは音声アシスタント領域で、競争もすごく激化している。そこで最初に出てきたのが「Amazon Echo」。実際に私も使ってみたけれど、応答もすごく良い。たとえば「天気を教えて」と呼びかけると天気を言ってくれるし、「音楽をかけて」と言えば音楽をかけてくれるし。アメリカであれば、「ティッシュをぜんぶ使っちゃったから発注しておいて」と言えばきちんと発注してくれて、翌日に届いたりするようだ。また、最近はそのソフトウェア開発キットを第3者に開放しているので、Uberでタクシーを呼べたりPizza Hutを注文できたりと、機能が次々増えている。

で、それから遅れること数ヶ月、「Google Home」が出た。機能はほぼ「Amazon Echo」と同じ。従って、Googleとしては「Nest」と「Google Home」という2つのラインナップでスマートハウス/スマートホームの事業を走っているようなイメージになる。そして、先日のWWDC(The Apple Worldwide Developers Conference)だったか、Appleが「Homekit」の強化を発表した。これは私もまだ使ってみていないけれども、Siriは日常的にかなり使っている。また、私はスマート照明というのものを自宅で使っているので、それらを組み合わせたらすごく便利になるなと思える事例があったのでご紹介しておきたい。
たとえば私は朝忙しいとき、革靴を雨用にするか晴用にするか決めるにあたってSiriに「今日の天気は?」と聞く。すると着替えているあいだに「今日の天気は晴だよ」なんて言ってくれるから、「じゃあ晴用の靴でいいね」となる。それがちょっと便利だ。また、僕は家で風呂掃除を担当しているけれども、普段はオレンジ色にしているバスルームの照明を掃除の際は白く切り替えている。そうすると汚れが目立って掃除しやすくなるので。ただ、今はそれをスマホで切り替えたりしていて、それがSiriできたら便利だと思う。掃除の際、「Siri、風呂の照明を白くして」と言えば白くなるなら、それはちょっと便利だ。なので、今はそれを実現したいなと思って家を改造しようとしている。いずれにせよ、今お話ししたような流れで音声アシスタントの競争が激化している。
また、先ほどお話した「ビッグ4」のなかではFacebookの話が出ていなかったけれども、マーク・ザッカーバーグさんもFacebookのコメントで今年1月、「家向けのAIを開発する」と言っている。従って、今は米国の大きなWeb系の企業が皆、住宅への参入を表明している。このほか、老舗企業でもBOSCHやNokiaがすでにスマートホーム向けのサービスや製品を出しているし、関連ベンチャーを買収したりする動きも活発化してきた。

進化する住まい×テクノロジー

さて、ここまでは家全体を管理するといった話だったけれども、ここからは個別の住宅向けテクノロジー関連製品をご紹介したい。まずは「Hue」。私が自宅で使っているスマート照明はこれだ。色や明るさの切り替えやON/OFFを、スマートフォンのアプリやWeb系サービスと連動させて行える。それで、たとえば私は朝、この照明がふわっと明るくなることで起きるのだけれども、そういったこともWebでプログラミングしておくことができる。
次は「Zenbo」というコミュニケーションロボット。台湾のASUSが最近発表した。子どもたちの遊び相手になってくれたり、家族同士のコミュニケーションを円滑にしてくれたりするようなロボットだそうだ。まだ詳細は公開されていないけれども、恐らく、子どもに「宿題やろうね」「お誕生日おめでとう」といったことを言ってくれるんでしょう。
で、3つ目の「Beam」はまだKickstarter等で発表されている程度だけれども、住宅用のスマートプロジェクタ。プロジェクタというと天井に吊るして使うのが一般的だけれども、家庭ではその工事が大変だし高価になる。そこで、この製品は照明のソケットに取り付ける仕組みになっている。それで給電も固定もできるから、照明器具を付けることができる場所ならどこにでも付けることができる。また、Androidを搭載していて、たとえばキッチンの照明につけておいて、普段は照明として使いつつ場合によってはレシピを映したりすることもできたりするという。あるいはダイニングに置いておいて、普段は照明として使いつつ、何か通知があればダイニングにぱっと映し出すとかといった使い方があるのかなと思う。
続いて、ソニーさんの「Multifunctional Light」。シーリングライトのなかにマイクや人感センサーやスピーカー等いろいろ入っていて、まあ、読んで字のごとく、さまざまな機能で使えるライトというものになる。
で、次の「BOCCO」は先ほどの「Zenbo」と似ている。コミュニケーションロボットということで、スマホからテキストメッセージを送るとロボットが喋ってくれたりする。実は、我々は一部のお客さまにこれをテストユーザーとして使っていただいているけれども、すごく評判がいい。朝になると、「今日は雨だから傘持って行ってね」と言ってくれたり、スマホのGPSと連動して「もうすぐお父さん帰ってくるよ」なんて言ってくれたりする。それで、たとえば「料理をしても夫の帰ってくる時間が分からないから、いつ料理を盛り付けたり温めたりすればいいか分からない」といった悩みが解決したそうで、奥様にすごく評判がいい。だいたい、こういう新しいテクノロジーを導入する際、ハードルになるのは奥様だ(会場笑)。「そんなものを家に置くのいやだ」と。そのハードルを解除できているのはすごく大きいと思う。
また、“デジタル窓”の「Atmoph」という製品もある。窓がなくて閉塞感があるような部屋にこれを設置すると、バーチャルだけれどもその辺が解決できるというプロダクトだ。4Kディスプレイで、世界中の美しい風景映像や動画が、いかにもそこにあるかのように美しく映しだされるというコンセプトになる。こちらもスマホアプリと連動していて景色をどんどん追加することができるし、自分で撮った写真や動画を追加することも可能だ。今後は景色を映し出す以外の使いかただって出てくるかもしれない。
あと、先ほど東さんからもお話があったスマートロック「Qrio」もご紹介しておきたい。スマホで鍵を開けたり閉めたりできる。で、従来は鍵を物理的にコピーして渡すしかなかったけれども、これであればLINEやFacebookですぐに鍵を送ることができるし、その日だけ使えるような格好にして人に渡すこともできる。

一方、「TATERU Kit」はここまでご紹介したものと少し毛色が違う。ベースはスマートインターフォンだけれども、そこに各種センサーやデバイスをつないで、家を総合的に管理できるセントラルコントロールとして使おうという製品になる。実際、セキュリティデバイスやスマートロックといった各種デバイスとの連携が発表されていて、今年9月頃から実証実験を開始するという。
あと、こちらの「Shock clock」はネタの面もあるかなと少し思う。生活における課題というものをヒアリングしてみると、皆さん「朝起きることができない」とおっしゃる。それを、かなり強烈な方法で解決しようという製品だ。腕に付けて電気ショックで起こすという(会場笑)。なので、スマートかどうかは別として、皆さんが感じる課題を的確に解決した製品だなあと思ってご紹介した。
で、最後にプロジェクタをもう1つ。高さ80cmほどの機器で、まあ、置こうと思えば置くこともできるサイズだけれども、こちらは自走式の、自分で走るプロジェクタになる。たとえば、リビングでも寝室でもキッチンでも観たいというときは、今まではディスプレイなりプロジェクターを3台置くしかなかった。でも、同時に3箇所で観るわけではないのなら、移動させたらいい。こちらのプロダクトは、そこでたとえばその3パターンの角度や位置や高さをすべて記録してくれて、「リビングモード」や「キッチンモード」という風に切り替えてくれる。これ、かなり先に出るのかなと思っていたけれども、意外と今年の秋頃に出るそうだ。なので当社のショールームに置こうかなと、考えていないこともない。もし置いたら見に来てください。

スマートハウス化を実現するには?

という風にいろいろ見ていただいたけれども、ここからはリノベるとして、スマートハウス事業でどのようなことをやろうとしているかを簡単にご説明したい。今はデバイスをご紹介したけれども、「ああいうものをすべて入れたらスマート化できるんだろうな」と、私は思っていた。だからそれを実験するため、実際に各種デバイスをショールームで使ってみたりしていた。でも、結果としては失敗。単にデバイスを入れただけでは豊かな生活にならないことが分かった。
理由は3つ。まず、各デバイスで電源が必要になるから電源コードやアダプターだらけになる。それで電源も足りずケーブルもつなげられず、見た目も損なわれて、せっかくのショールームという素敵な空間が台無しになってしまう。「これは豊かな生活じゃないね」と。また、今は1デバイス1アプリという状態だ。従って、今日ご紹介したデバイスをすべて使おうと思えばデバイスの数だけアプリが必要になり、スマホ画面が家を操作するアプリのアイコンだらけになる。リモコンがずらっと並んでいるのと同じで、「まったくスマートじゃないね」となった。また、そもそも家をスマート化したいと言うお客さまはいらっしゃるものの、今は何を入れたら何ができるかが分からず、どこから手を付けていいか分からないケースに陥ることが多い。それでは普及しない。こうした理由から、単にデバイスを入れるだけでスマート化は実現しないということが分かった。
そこで、リノベるのスマートハウス事業では、家づくりから豊かな生活がはじまり、それが継続されるというところまで、一通りすべて面倒を見るということをやろうとしている。具体的にはスマートハウス化に必要なデバイスやアプリケーションを提案し、それを導入するための家も提案し、ゆくゆくはそれらを統合的に管理できるスマホアプリを提案するということを考えている。今は実際にそうしたシステムの開発をソフトバンクさんと一緒に行っているところだ。併せて、現在はそれをお客さまにテストで使ってみてもらって検証しているというフェーズになる。

Smart Home Techの未来予想

最後に、これは私個人の意見だけれども、Smart Home Techの未来予想についてお話ししたい。今どういった状態かというと、家を買うときは多額の借金を抱え、同じ家に何十年も住まなければいけない。それが日本における住宅の現実だ。けれども、それが理想的な未来として、手軽に住宅を購入でき、適切なタイミングで住み替えるというのが当たり前になっていくと考えている。
なぜか。まず住宅設備がすべてインターネットにつながると、データ活用や広告モデルによって収益をあげることが可能になって、それで初期の住宅価格を引き下げることができると考えているためだ。理想は無料だけれども、そこまでいかなくても、たとえば35年ローンで4000万といった現在の価格をもっと安くできる。それで仮に1000万円で買えるようになれば、もっと頻繁に購入できるようになるのではないか。また、先ほど申しあげた通り、中古なら比較的(購入時に)近い金額で売れるから、買い替えがすごく現実的な選択肢になる。そういう流れのなか、「終の棲家」という認識が「ライフスタイルやフェーズに合わせて適切な家に住むのが当たり前」という認識に変化するのではないかと思っている。
ただし、そうした理想的未来の実現を阻む要因としていくつか感じていることがある。まず、今は自社製品で囲い込もうとするメーカーがすごく多い。今日はいろいろなデバイスをご紹介したけれども、「当社の製品で固めれば他にもいろいろできますよ」というものがたくさんある。でも、自宅で使うプロダクトをすべて同じ会社の製品で固めたいというユーザーはほとんどいない。恐らく、それが理由であまり普及していないというのも1つあると思う。

また、現在は1機能1デバイスになっている。これはどういうことか。たとえば皆さんは家にスピーカーがいくつあるとお考えだろう。恐らく2~3個だとお考えになる方が多いと思うけれども、実際には10個ぐらいある。炊飯器にだって「ピー」というお知らせ音を出すためにスピーカーが載っているし、電子レンジにも、トースターにも、給湯器にも、インターホンにも付いている。もちろんオーディオにもテレビにもついている。ものすごい数のスピーカーがある。それ、無駄じゃないですか。車なら大抵の場合、スピーカーは1システムしかなく、そこから音楽もナビの音声も何らかのアラートも鳴っている。住宅もそれでいいんじゃないかと思うし、もっとデバイス同士を協調させる必要があるのではないか。自前で備えなくても、「他のデバイスの機能が使えるんなら使おうよ」と。今そうなっていないというのは、理想的未来の実現を阻む要因の1つにもなっていると思う。
あと、これはユーザー側にも提供者側にも言えることとして、プライバシーやセキュリティに関して過剰な反応がある。これはよく考えたほうがいいと思う。たとえばスマートロックを家に設置するとなると、「そこがハッキングされたらどうするんですか」と言われる。でも、スマートロックに使われている暗号化技術は、金融機関が使っているのと同じようなものだ。そうなると、家に侵入できるぐらいなら銀行に侵入したほうがいい(会場笑)。とにかく、そういったことを冷静に、感情的にならずに考えるべきだというのが私の意見だ。誰が悪いという話でもないけれども、「普及しないと便利にならず、便利にならないと普及しない」というニワトリとタマゴの問題もある。

で、こうした問題を解決するために、「こういうことを考えたらいいのでは?」という私の意見もご紹介しておきたい。まず、ユーザー中心の考え方をすること。今はどこのメーカーも国のほうを向いているけれども、「そうじゃなくてユーザーのほうを見ましょう。どうすればユーザーが最も利便性を感じるかということをもっと考えていきましょう」と言いたい。それと、アジャイル開発を含めたリーン開発。最終形を決めてから何ヶ月も何年もかけて開発して世に出すのでなく、小さくスタートして、小さく検証を重ねながら出していく。そうしたプロセスを、住宅業界はWeb業界から学んだほうがいいのではないかなと思う。
で、もう1つがシステム思考だ。住宅業界というのはすごくアナログで、未だファックスをメインに使ったりしている。でも、ファックスよりメールのほうが便利なのは自明だし、普段のコミュニケーションならメールでいちいち書くよりもラインを使ったほうがいい。そういうことをほぼ分かっているにも関わらず、「昔からやっているから」という理由でやらない。そういった考え方を捨てて、効率的にできるところは可能な限り効率的していく。そういう考え方を浸透させていければ問題解決にもつながるのではないかなと思う。私からは以上になる。ありがとうございました。

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