ストレスを成長の栄養源に―『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』  

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ビジネスパーソンにとって、切っても切れないものであり、ネガティブな印象も強い「ストレス」という言葉。それを力に変えるとはどういうことか。異動や転職、家族の変化などストレスがかかりやすい環境下で、どのように向き合い、行動すれば好転し、成長につながるのか?その一つの指針が書かれた良書を紹介したい。

まず、「ストレスパラドクス」という言葉をご存知だろうか。本書によると、幸せだと感じている人ほどストレスが多く、不幸だと感じている人ほどストレスがない状態だという。一見矛盾した状態に見えるが、結局、自分の役割に取り組み、目標に向かって目的意識を持っていればいるほど、多くのストレスに直面することは避けられないということだ。だからこそ、どのように向き合い、どうアクションをとるかがとても大事になる。ストレスをなくしたり避けるということは、自身の目標・目的・役割を捨てると言ってもよいのではないだろうか。

ではどのようにストレスに向き合うべきなのか?まずストレスに対しては、「役に立つもの・良いもの」「積極的に対処すべきもの」というポジティブなマインドセットを持つことが大事であるとされている。そのうえでストレスが発生している事実を受け止め、原因に対処する方法を考え、克服のための対策をとることで事態も好転し、自身の成長につながってくる。困難な状況をできるだけポジティブに成長の機会と捉え、最善を尽くすというマインドセットだ。

これは、気持ちや心がけといった類のものではなく、この認識を持って、ストレスに向き合うことで、長期的に脳や体に良い影響を与えるホルモンの分泌が活性化されるという結果も出ていることは大変驚きだ。ストレスを悪いものであると認識し、原因を考えず、回避し続ける人と対比したときに、それぞれの先に見える世界に大きな差が広がるのはこの状況だけからも自明であろう。

自分自身の若手時代を振り返ってみると、初担当の大きな仕事や、自身に起因するトラブルで大きなストレスを感じていたことが思い出される。ややもすると、ストレスをどう避けるかといったことを考えがちであった。この時に上司から「自分はどうしたいのか?」「この局面をどう成長につなげていきたいのか?」といった言葉を繰り返しかけられた。そのおかげで、ストレスに前向きに向き合い、原因を乗り越え、対処することで自らの力に変えることができたと思う。

では、周囲の優秀なリーダーや経営者を見渡すとどうだろうか。彼らがよく発する言葉に「ポジティブに」「すべてに感謝」「ワクワクする」といった前向きな言葉がある。彼らも決して日々すべてが順調なわけではないだろう。立場や役割が上がれば上がるほど我々が想定できないほどの修羅場経験やストレスも多いはずである。それでもこのような前向きな言葉がでてくる裏側には本書で記載されているようなストレスに対する根本的なマインドセットが隠されているのではないだろうか。それぞれがどのようにしてそのような向き合い方を身につけたのかは大変興味深いところである。

さて、読者の皆さんは、自分を成長させるストレスを持っているだろうか。そしてそのストレスに前向きに向き合えているだろうか。コンフォートゾーンに身を置いてしまっていて貴重な成長のチャンスを逃していないだろうか。そんな自問をしながらストレスに向き合って、新しいことにどんどんチャレンジしていきたいものだ。

ストレスを成長の栄養源に!

 

『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』
ケリー・マクゴニガル(著)/神崎 朗子 (翻訳)
大和書房
1,600円(税込1,728円)

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