片付けが上手な人にあって、下手な人にない「3つの力」 

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筆者は片付け下手なのだが、上手な人には3つの“片付け力”が備わっていることに気が付いた。どのようにすれば上手に片付けられるのか――。マーケティング・コンサルタントの郷好文氏が、モノと考え方の両面から、整理整頓を考える(このコラムは、アイティメディア「Business Media 誠」に2008年4月17日に掲載された内容をGLOBIS.JPの読者向けに再掲載したものです)。

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4月の新年度を半月も過ぎて、まだ手を付けられずに後ろめたさを感じていることがある。それは自宅の机周りの“片付け”だ。本、CD、手帳、帽子、雑誌、フリーペーパー、ケーブル、薬、スキンクリーム、郵便物・・・机周りのシルエットだけを見れば、まるで“宇宙戦艦ヤマト”。砲台もあればレーダーもあり、電線もあり、照明灯もあり、さまざまなモノが、そこかしこに凹凸を作っている状態だ。ああ、片付けたい。

オンナ独りは片付けがアブない

片付け上手ではないけれど、下手とまでは言いたくない。小雪さんが主演したテレビ番組『佐々木夫妻の仁義なき戦い』は、弁護士夫婦のバトル&ラブコメディ(2008年1月20日~3月23日放映)。小雪さん扮する佐々木律子の片付け下手さかげんに、稲垣吾郎さん演じる佐々木法倫がガクゼンとするのがバトルの発端。洋服は脱ぎ捨てっぱなし、CDの中身とケースはバラバラ。タンスの扉を開ければ、ダンプが荷台を傾けて土砂を落とすように、服やらバッグやらベルトやらがドドッと飛び出してくる。

筆者の実家は部屋を貸していたが、だいぶ前に入居していた女子大生はすさまじかった。何かの折に大家たる母が、その女子大生の部屋に入る必要ができた。不在の部屋に合鍵で入ると、母はすっとんで戻って来て「一緒に入って!」と息を詰まらせながら言う。「ひょっとして自殺でもしたのか?」と思い踏み込むと、部屋の真ん中に“洋服のこんもり山”。クリーニングに持って行くのではなく、脱ぎ捨てては着ているようだった。足の踏み場はモノとモノの間にある。台所は血のりではなく食べ残しの付着した無惨な皿。お風呂場兼トイレは怖くて立ち入れず、部屋の空気さえも汚染を感じた。

それ以来、一般理論としてオトコよりオンナが片付け下手だと信じていた。母もオンナ独りに貸すのはすっかり懲りて、不動産屋に「オンナ独り以外」とお願いしていた。

2人のオンナから帰納的に類推できるのは、片付け下手は「見えなければいい、とにかくしまっちゃえ」という思考だということ。そんな彼女たちの部屋に、彼氏が急にやって来たときに役立つグッズがこれだ。

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「Black Hole(ブラックホール)」。ネーミングからしてアブないが、使わないときは小さな丸い輪とシートにしか見えない。使うときは輪を広げてボール状の容れ物に。これを壁に張るとあれこれ入るモノのブラックホールができる。「Black Hole(ブラックホール)」。

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あれもこれも入れて片付けておくと「君は片付け上手なんだね」とカレシが言う。だが、ふと壁のオレンジ色のオブジェに気付き「これは何?」とカレが押せば、中身が飛び出してしまう。結婚の2文字を見直す“手切れグッズ”にもなるかもしれないので、注意が必要。

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片付け上手は空間利用がうまい

一方、片付け上手の人は「このスペースや隙間、どう活用しようか?」と考える。大和ハウスが賃貸住宅向けに開発した収納システム「しまいごこちユニット ワンステップクローゼット」は“収納=暮らし快適ツール”がコンセプトだ。

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片付けのプロである近藤典子氏(アメニティアドバイザー)のアイデアを商品化したもので、ウォークイン・クロゼットに似て、物入れの中に一歩踏み込む。そこではぐるりとすべてのモノを見渡せる。大きさと使用頻度によってゾーニングを作り、“指定席”と“自由席”に分ける。指定席にはあまり使用しない大きなモノを置き、自由席には奥へ手前へ、使用頻度によって動くモノがくる。保管や出し入れ、増減にフレキシブルに対応する優れた収納システム。

ブラックホールの教訓と近藤さんのアイデアから、片付け上手には3つの“片付け力”があると感じた。それは「3D視点」、「動線」、そして「意思決定」だ。

3D視点とは、スペースを使い切るために立体視点で、収納スペースをゾーニングするスキルだ。切り口は2つある。1つめは“時系列”、つまり使うモノは手前、古いモノは後ろにする。もう1つは“カテゴリー”、モノの種類にこだわらず行動パターンでモノをまとめる。

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のど飴とマスクとティッシュは商品種に区別すると別々だが、花粉症の季節には一緒に販売するのが“カテゴリー陳列”である。それを真似て商品種カテゴリーにこだわらず、生活パターンや思い出ごとにまとめる。お土産や写真、パンフレット、チケット半券などは“思い出収納”する。我々の心の引き出しはそうなっているが、そんな視点で開発された収納グッズや家具は多くない。

ロングセラーの経営書『プロフェッショナルマネジャー』には、“コンテナ化されたオフィス”というくだりがある。国際企業グループの経営者だった著者H・ジェニーン氏のデスクの周りには、常に15個から20個のアタッシュケースがあった。それぞれにグループ会社の資料、仕事のかたまりが詰まっていた。こうしておけば、子会社に合わせてケースを持ち出すだけで出張できる。

有能な人は動線とモノが一致するのだ。出張前に点検して、もPCのACアダプターを忘れる筆者は赤面モノ。動線とモノを一致させると、自宅でも有能な家事マネジャーになれるのだろうか?

3つ目は捨てる/残す意思決定。ミステリー作家の原?(はら・りょう)氏は蔵書を9999冊持ち、1万冊に届きそうになると、最も不要であると判断した本を処分する。整理にはこのくらいの潔さが必要なのだ。

潔くなるために年1回“自宅ショップ”を開くのはどうだろうか。手作りアクセサリーやパン販売、カフェなど、自宅ショップを開く人が増えている。それを真似て不用なモノに値札を付けて売ってしまおう。ちなみに、ネットオークションやリサイクルショップへの持ち込みはダメ。お店を開く効用は“人を招く”、つまり部屋を片付けることなのだ。不用品を買ったことを激しく後悔して、省資源と循環社会を考えるきっかけにしよう。

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