「びっくらこいた〜」に込められたサントリーのマーケティング戦略 

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4月3日「びっくらこいた〜」に込められたサントリーのマーケティング戦略

日経流通新聞(以下、日経MJ)が2008年4月2日付け紙面で報じたように、野菜ジュース市場の戦いが激化している。その中で台風の目となりそうなのが、サントリーの「野菜カロリー計画」だ。

その商品の特徴は、実はCMソングで余すところなく伝えられており、それはそのままマーケティング・エクセレントなサントリーのお家芸である差別化戦略を表わしている。

森三中の村上知子が熱唱するCMソングの歌詞をここに全文掲載させていただく。

あのね野菜ジュースのカロリーは意外に高い〜、高いよ〜びっくらこいた〜びっくらこいたぁ〜
でもね野菜ジュースの栄養は意外に捨てられて〜いた〜びっくらこいた〜泣きたくなったぁ〜

名前の由来である「カロリー」。健康にいいと信じて飲んでいる(事実いいのだが)野菜ジュース。しかし、その健康に寄与するという特性ゆえ、確かに意外とカロリーのことは忘れがちだ。そこを巧みに意外に高いよ〜と新たな商品選択のポイントとして訴求している。ちなみに、カロリーはライバルのカゴメ「野菜生活100」が68kcal(200ml)、伊藤園「1日分の野菜』が75kcal(同)なのに対して、62kcal(同)(100gあたり45kcal)。加えて野菜のなかでも糖質分の少ないニンジン、ホウレンソウ、キャベツなど8種類を選んだことにより、一般の野菜飲料より糖質分を20%おさえたという。

このような新たな軸、ポジショニングを取るのはサントリーの得意技だといえるだろう。有名なのは「DAKARA(ダカラ)」だ。スポーツドリンクの後発であるが故に、「ポカリスエット」や「アクエリアス」の、「スムーズな水分の吸収」に対し、「老廃物の排出」という全く新しい軸をぶつけたのだ。とぼけた高いよ〜という歌詞には強力な差別化要素が込められているのだ。

歌詞の2番も実は重要なのだ。野菜ジュースの栄養は意外に捨てられて〜いた〜だ。何を言いたいのかというと、一般に野菜ジュース(野菜+果汁)は搾った液である。それをサントリーはジュースを搾った後の野菜も使えるよう、野菜を丸ごと細かくつぶしてピューレ状にし、食物繊維などの栄養も摂れるようにしたという。それでいて、甘すぎず、濃すぎず、さらりとした味わいに仕上げるという、“びっくらこく”技術を使っているのである。

ここでも重要なのは、でもねと語りかけ、「今までたっぷり野菜を摂るように飲んでいた従来のジュースでは、丸ごと野菜を摂れていなかったんだよ」と消費者に新たな判断軸を提示していることだ。

サントリーはかつて野菜飲料から撤退の憂き目を見ている。00年に「緑黄色野菜ありがとう」を上市したものの、競合商品との差別化ができなかったためだ。今回はそのリベンジとして、満を持して参戦したはずだ。

日経MJの記事によると、現在各社は流通チャネルの壮絶な棚摂り合戦を展開しているという。しかし、サントリーも「営業力では負けていない」と紙面でコメントしている。そうなると、この明確な差別化軸を持った商品力が遺憾なく発揮されるはずだ。

「野菜カロリー計画」の売れ行きにしばらく注目してみるのも面白いだろう。

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