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試練乗り越える力、家庭教育で育てる

投稿日:2016/04/22更新日:2019/04/09

※この記事は日経産業新聞で2016年4月1日に掲載されたものです。
日本経済新聞社の許諾の元、転載しています。

日本中で桜が咲き誇るこの季節に、我が家の2人の息子が、新たな学びの段階へとステップアップする。長男が大学に、四男が中学にそれぞれ入学する。5人も子供がいるからか、「教育方針はどうなっているんですか?」とよく質問を受ける。まさに妻と結婚した時に徹底的に議論したのが、この教育方針だった。

僕ら夫婦が育った環境は似通っていた。二人とも田舎の公立の小中高を出て大学は都会の国立に入り、留学・奨学金制度を活用して米国の大学院へと進学した。田舎に住んでいれば、息子たちも公立に入れれば良い。だが、現在住んでいるのは、東京のど真ん中だ。僕らが育った環境とは違う教育方針を考える必要があった。

議論を経てまとめたのが「堀家の教育理念」だった。5つの家訓、5つの資質、5つの能力と、子供たちに守って欲しい理念や身につけて欲しい資質、能力を明記した。また、ある程度自分で意思決定できるようになるまでは、親が教育方針を決めることにした。

結果的に決めたのは、小学校を全て公立に入れ、中学受験と大学受験をさせることだった。そして大学か大学院のどちらかは、海外に留学することを一つの推奨パターンとした。小学校から私立やインターナショナルスクールなど教育の選択肢を挙げて、長所短所を分析し、導き出した結論だった。全ての選択肢に長所・短所がある。足りない部分を導き補完するのが親であり、家庭内教育だという結論に至った。

学校教育に足りないと思われたものが、「試練を乗り越える力」だ。この力は精神的・肉体的鍛錬によって生まれる。ものすごいプレッシャーの中で、ぎりぎりの負荷がかかるなかで勝負してこそ生まれるものなのだ。そこで決めたのが、小学校時代に囲碁と水泳をやらせることだった。その2つを必修科目とし、他は選択科目として子どもたちが学びたいことを与えた。

囲碁は集中力とか思考力を高めるためだけに行ったわけではない。ぎりぎりの線で戦い、負けながらも努力して強くなるという鍛錬をすることによって、精神力、度胸、勝負強さ、努力をする力を身につけていった。子どもたちは小学校の団体戦の代表として7回全国大会に出場し、うち3回も全国優勝することができた。

子どもたちは、藤沢秀行名誉棋聖の言葉を何度も繰り返して言っていた。「ただの努力ではだめだ。強烈な強烈な努力が必要だ」。おかげで子どもたちは、努力を惜しまない性分を身につけることができた。

僕は大学院を経営し、5人の子どもに恵まれたことによって、能力開発とは何かをずっと考え続けてきた。教育学の本、脳科学の本などを読みあさった。最終的に「能力開発とは反復練習だ」というシンプルな結論に行き着いた。つまり繰り返し実施する努力によってのみ、能力は開発されるものなのである。

中学に入ってからは子どもたちに2つしか言わなかった。(1)部活に入って体を鍛え、結果を出して欲しい(2)中高では1年間留学する――。その2つを堀家のルールとした。言語の習得以上に、欧米文化に没入させて人間の幅を広げることの意義が大きいと思っているからだ。

親が教育理念を決めても、子供たちは基本的に親の言うことを聞かないものだ。だからこそ、親も粘り強く繰り返し繰り返し伝えるのだ。

長男と四男の受験が終わったかと思うと、次は次男の大学受験と五男の中学受験が待っている。次は三男が海外留学する番だ。家庭内における教育も忙しいが、日本、そして世界を切り開く人間を育てるための教育だと思えば楽しいものだ。堀家の教育理念に定めた理念、資質、能力を身に付けた上で、あとは、息子たちが自らの生き方を決めたら良い。5人の息子がどう育ち、どう生きていくのかが、今から本当に楽しみだ。

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