第1回 「~か条」「~つのコツ」「~つの原則」という財産 

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「プレゼンの前に思い出したい10のこと」「マーケティングの4P」「調味料のさしすせそ」。世の中には、様々な知恵やコツを箇条書きの形でまとめた「リスト」が数多、存在します。新連載「リストのチカラ」では、グロービス・マネジメント・スクールで教鞭を執る堀内浩二氏の著書『リストのチカラ 仕事と人生のレベルを劇的に上げる技術』から、ビジネスに役立つリストを6回にわたり、紹介します。第1回は、その導入として、まず、リストの価値に関する概説から。

よいリストは人類の財産である

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よいリストは役に立ちます。人は昔から知恵をリストにまとめ、語り継ぎ、活用してきました。それらは、「学術的に正しい」かどうかはわからなくても、時の試練を経た(長い期間多くの人によって使われてきた)「経験的に正しい」リストです。
よいリストは貴重品です。網羅性があって、メッセージに深みがあって、それでいてシンプルで覚えやすい。そのように内容も形式も優れたリストは簡単には生まれません。
まず、作るのが難しい。多くの人が頷くような知恵を見つけて、まとめて、リストに凝縮するには、それなりの思考と表現のスキルが必要だからです。
次に、価値が認められるのに時間がかかる。多くの人がいろんな状況下でその知恵を使い、長い時間をかけて修正されたり拡張されたりしながら、よいリストとしての評価が定まっていくからです。
一つ例を挙げましょう。

聞いたことは、忘れる。
見たことは、覚える。
やったことは、わかる。

出典は中国の古典のようですが、日本語としてのリズムがいいですよね。これだけでもハッとする内容のこのリストに、ここに、後世の人がこんな一行を追加しました。

見つけた(発見した)ことは、できる。

より深い理解(できる)に至る学習方法(発見する)が、リズムを崩さずに追加されています。項目が一つ増えたのに、覚えやすさが損なわれていないどころか、印象が強まって逆に覚えやすくなったくらいです。

自作リストは人生の財産である

よいリストを選んで使うだけでなく、自分でリストを作ってみることにも大きな価値があります。

【学んだこと】はリスト化によって定着が図れます。
リストにまとめるプロセス自体が深い理解を促しますし、できあがったリストは学んだことを思い出す頼もしいツールにもなるからです。

【願いごと】をリストとして書き出すことは、目標達成への確実な一歩になります。
リスト化によって目標が言葉として明確になるとともに、それを読み返すことで目標とそこに至る道のりを具体的にイメージすることができるようになるからです。

【信じること】のリストは、自分の羅針盤になります。
自分の信条や価値観は書いてみることで具体化し、書かれたリストは意思決定の判断基準として使えるからです。このリストは時間をかけて修正していくもので、長く、それこそ一生、使うことができます。

【やること】のリストつまりToDoのリストは、目標を自分の手元に引き寄せる強力なツールです。
目標をブレークダウンし、今なすべきこと・できることに集中させてくれるからです。

「リスト化」の力は応用範囲が広い

リストを作ることは、言葉をただ箇条書きにすることではありません。頭の中でモヤモヤしている何かを言葉として定義し、言い換え、凝縮させていく作業です。したがって、リスト作りの作業を通じて鍛えられるスキルがあります。そのスキルを「リスト化の力」と呼びます。

リスト化の力
1.「フレームワーク思考」。リストのテーマに合った項目の候補を洗い出したりリスト項目を構成したりする、論理的な思考力です。
2.「要約力」。重要なメッセージを抽出して簡潔な表現にまとめる、論理的な思考と表現の力です。
3.「凝縮力」。要約された文章をより印象的な言葉に凝縮する、感性的な表現の力です。

どれも奥の深いスキルです。フレームワーク思考は論理的思考の基礎となる考え方で、典型的にはコンサルタントやエンジニアなど問題解決のプロフェッショナルが磨いている力です。「要約力」は社会人一般に要求される力で、書籍もたくさん出版されています。「凝縮力(造語です)」は、要するに言いたいことにぴたりと合う言葉を選び出すセンスのようなもので、コピーライターが極めようとしています。

リスト化の力(フレームワーク→要約→凝縮)は、以下のような力をも高められるという、うれしい副産物もあります。

・問題を正しく把握し、分析する力
・メールや報告書を端的にまとめる力
・経営フレームワークなどフレームワークを使いこなす力
・ビジョンやアイデアを言葉として具体化する力

次回は、「分析的な問題解決のプロセス」をリストの形でご紹介します。

本稿は、『リストのチカラ 仕事と人生のレベルを劇的に上げる技術』(堀内浩二・著 ゴマブックス・刊)冒頭の「はじめに」より一部抜粋のうえ再掲載したものです。内容の無断転載、無断コピーなどはおやめください。また、私的利用の範囲を超えるご使用の場合は、著作者および出版社の承諾書と使用料が必要な場合があります。

▼『リストのチカラ 仕事と人生のレベルを劇的に上げる技術』とは
グロービス・マネジメント・スクールで教鞭を執る堀内浩二氏の著書。前半は、「リストフリーク」(リスト大好き人間)を自称する著者が、古今東西の珠玉のリスト50を厳選して紹介。後半は、リストの収集法から自作リストの作り方までを詳説。リスト化を通じて思考力や表現力を鍛える構成となっている。

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