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良い造語には法則がある

投稿日:2016/04/01更新日:2019/04/09

※この記事は日経産業新聞で2016年2月5日に掲載されたものです。
日本経済新聞社の許諾の元、転載しています。

「テクノベート」という言葉を連載の初回に紹介した。テクノロジーとイノベーションを組み合わせた造語で、僕は結構気に入っている。

僕は良いネーミングにはいくつかの法則性やポイントがあると思っている。1つ目は「異なる2つの言葉を組み合わせて短縮形にする」というものだ。うまい具合に両方の言葉がつながると、今までになかった新しい響きと意味が生まれる。まさに組み合わせから生まれるイノベーションだ。

例えば「ハーブス(Harbus)」という米ハーバード・ビジネス・スクール生向けの週刊の学内誌がある。「ハーバード」と「ビジネス」を組み合わせた造語だ。実は「グロービス」という名前はハーブスに着想を得ている。グローバルとビジネスを合体させて作った。

日本語では「ユニクロ」(ユニーク+クロージング)や「ポケモン」(ポケット+モンスター)などがよく知られている。短縮語だと親しみを覚えやすいこともあり、愛称に使われる。タレントの木村拓哉さんの「キムタク」や米大リーグに挑戦する前田健太選手の「マエケン」がそうだ。

2つ目が「音相」、すなわち音の響きや語感の良さだ。手相や顔相と同じように、音にも「相」がある。耳心地がいいと、聞いたときにすっと頭に入ってくるので覚えやすい。

「バザールでござーる」などのCMで有名なメディアクリエーターの佐藤雅彦氏によると、日本人は濁音と長音を組み合わせた音が好きだという。「グロービス」はこの点にも留意している。音の響きがいいと、皆その名前を言いたがる。当社の社員は皆「弊社は」とは言わず「グロービスは」と自社を呼ぶ。

5人の息子の名前を決めるときも音相を重視した。

ネットで音相を測るソフトがあることをご存じだろうか。名前を入力すると、その音の響きや醸し出される雰囲気、ニュアンスなどを計測してくれるのだ。僕はこれを使って音相を確認した。響きがいいと皆がその名前で呼ぶから、明るい性格にもなりやすい。グロービスのベンチャーキャピタルの企業名を付けるときも活用した。「グロービス・ベンチャー・パートナーズ」か「グロービス・キャピタル・パートナーズ」かで悩んだ。最終的に後者を選んだのは音相のスコアが良かったからだ。

3つ目は意味だ。僕が主催する日本版ダボス会議の名称である「G1」には「G8もG20でもG0でもない。世界は一つだ」との主張が込められている。東日本大震災で被災した東北の復興支援などに取り組む一般財団法人「KIBOW」には「希望」と「RAINBOW」を組み合わせて「希望の架け橋になる」という意味を持たせた。

僕の子どもの名前にも意味が込められている。長男が生まれるとき「次の時代は何が重要になるだろうか」と考えた。「知性の時代だろう」という結論に至り、「賢」という字を採用した。そして僕の名前にある「人」を組み合わせて賢人(けんと)と名付けた。

次男が生まれたときは「次の時代には、リスクをとって新たなものを拓(ひら)いていく、起業家的な気概が必要だ」ということで拓人(たくと)とした。三男は「次の時代は『和をもって尊しとなす』と言うように、多くの人の感情をつかんで和を生み出す力が重要だろう」ということで和人(かずと)とした。

四男は「次は、思想や哲学の時代になる」と考えて哲人(てつと)とした。五男は「全てを包含するような博学的知識が重要になる」ということで博人(ひろと)とした。

言葉の組み合わせ、音の響き、意味――。僕はいつもこれらの要素を考慮しながらインパクトがあるネーミングをするよう努力している。

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