第1回 ピーター.F.ドラッカー 『エッセンシャル版 マネジメント 基本と原則』 

私が選ぶ1冊
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ビジネスパーソンが、自身のお薦めの作品を紹介する本コラム。第1回は、グロービス経営大学院大学で教鞭を取る、嶋田毅・GLOBIS.JP発行人が、マネジメントの父として知られるドラッカーの1冊を取り上げる。

基本と原則に反するものは例外なく時を経ず破綻する

私が初めて、ドラッカーの著書を手にしたのは20代半ばだった。「抄訳マネジメント――課題・責任・実践」がそれで、今回紹介する「エッセンシャル版 マネジメント 基本と原則」の原典にあたる、ドラッカーの代表作である。「企業経営について、ここまで深く掘り下げ、それを体系化し、残そうとする人がいた」ことに強い感動を受けたことを覚えている。

それから10余年。ドラッカーは常に私の座右にあった。なかでも、ドラッカー思想のエッセンスを濃縮した本書には、2001年の発売以来、幾度も目を通した。

初めて読んだ際の衝撃は、年を重ね、自らが企画や事業をマネジメントし、また、その方法論を教える立場となることで、その論に時代を超えて、腑に落ち共感できることが幾多もあることへの驚きに変わった。

とりわけ、本書の刊行にあたり、日本の読者に向けてドラッカーが寄せた文章の一節「基本と原則に反するものは、例外なく時を経ず破綻する」は特に心に響く金言だと感じている。

スポーツや音楽、どんな分野でも成功している人に共通しているのは、基本がしっかりしていることである。基本のフォームができているかどうかで、その後の応用力や成功の再現性は変わってくる。ゴルフでいえば、プロが故意に打つスライスと、素人のスライスが全く異なるようなものだ。一打だけを取り上げれば一見同じように見えても、トータルで見れば大きな差がついてしまう。

基本が身についた人は強い。そしてマネジメントにおいても、基本の重要さは同様である。昨今のマネーゲームを見ると、基本から外れた会社は時を経ず破綻していっている。

「基本と原則に反するものは、例外なく時を経ず破綻する」という、この言葉は、目新しさこそないが、国や業種、企業、役職などを問わず当てはまる。この究極の普遍性が、ドラッカーならではの魅力とも言える。

ドラッカーはまた、「ビジネスとは皆がハッピーになること、組織とは社会に貢献するための社会の機関である」とも言っている。こういう信念に依拠するリーダーが多く輩出されていくことを切に願うし、また私自身、そのための一助でありたいと考えている。

一度、読んで分かったつもりになるのはもったいない。自分はどこまで彼の言葉を実践できているか――人生の節目ごとに振り返りながら読むべき座右書として、若い人もさることながら、部下を持つ人、組織の要の職にあるビジネスパーソンに、是非お薦めしたい。

「エッセンシャル版 マネジメント 基本と原則」

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