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家族で目標管理のすすめ

投稿日:2016/03/08更新日:2019/04/09

「パパにはもっと家で一緒に食事をしてほしい」。数年前の年初、次男にこう言われたことを鮮明に覚えている。次男はほんの軽い気持ちで言ったと思うが、僕は彼の要望をぜひ実現したいと思った。

そのためには数値が入った目標を立てることが肝心。そこで僕は「週3日は家で夕食する」と決めた。翌年には「週4日家で食事をする」が、僕の家族における目標管理項目となった。

ルールは簡単だ。夕食開始の儀式である黙とうの後に「家長の言葉」を発し、そのあとに合掌して「いただきます」をみんなで言う。これが家族とともにできたら、その日は「○」がつく。できなければ「×」がつく。○が週4回になれば合格となる。4回を下回ればその分を次週以降でリカバリーすることになる。

やってみるとこれがすごく大変なことがわかった。例えばスイスのダボス会議に出席すると1週間は海外だ。その週は家族との夕食4回の目標が達成できないので「マイナス4」がつく。

このマイナス4をリカバリーするには週5回の食事(プラス1)を4週間続ける必要がある。これは至難の業だ。物理的に東京にいないと、家族と食事ができないのだ。

僕は普段、学長を務めるグロービス経営大学院で教壇にも立っている。セミナーで講演もする。場所は東京だけでなく、大阪や名古屋、仙台、福岡の国内各地に及ぶ。海外にも行く。

家族との夕食の時間を確保するため、僕は夜の会食や接待などをすべてやめることにした。可能な限り、午後6時半~7時半ごろの我が家の夕食に間に合うように帰途につく。夜7時からセミナーや登壇の機会があるときは、夕食を済ませてから外出することにした。その結果、家族との絆はとても深まった。

最近では食卓で議論をしたり「学びトーク」を実施したりしている。毎晩テーマを決めて家族と話をするのだ。テーマはiPS細胞や人工知能(AI)、環太平洋経済連携協定(TPP)、平和安全法制など多岐にわたる。子供たちが真剣に聞いている表情がとても印象深い。

これが家族から要望を聞くことの重要性を学んだ事例だ。年初ということで1年の目標を立てる読者の皆さんも多いだろう。冒頭に話したのは、堀家で実施しているMBO(目標管理制度)の一例だ。

ちなみに、MBOは組織内で使われる有効な人事制度の1つだ。グロービスでも採用している。各人が明確な目標を3~5つ設定し、上長と擦り合わせて今後1年間この目標に向かって頑張ることに合意する。目標は具体的に測れるもの、達成が数値化できるものにする。これを基に四半期に1回、上長と一対一で1時間かけて進捗を確認するのだ。

僕はこのMBOを家族で実践している。8年ほど前、長男が小学校4、5年生の時に僕が家族を呼んで始めたのが最初だ。それ以来、元日の目標設定が我が家の年初の決まり事になった。

僕と妻、男ばかり5人の子どもの家族7人が僕のパソコンの周りに集まる。「パパに何をしてほしい?」「ママに何をしてほしい?」。子どもたちにこうした質問を投げかけ、彼らから寄せられる要望をパソコンに全部入力していく。

親からも子どもたちに要望を伝える。例えば長男には「囲碁で何段になってほしい」、五男には「水泳で50m泳げるようになってほしい」などと伝えるのだ。

家族でのMBOも職場と同じようにメリットがある。自分が組織(家族)から期待されている役割が分かる。自分と家族とで目標を擦り合わせることで、家族の期待と自分がやるべきだと思うこととのギャップがなくなる。目標設定後は逐次状況を確認しながら、できなかったらなぜできないかを家族とコーチングしながら進められる。読者の皆さんにもお勧めしたい。

 

※この記事は日経産業新聞で2016年1月8日に掲載されたものです。
日本経済新聞社の許諾の元、転載しています。

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