中国経済の浮上と米国経済の減速に接し、日本の立ち位置をどう考えるか? 

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日本は、ごく近い将来、国際的な経済ランキングにおいて、全く異なる二つの経済圏に挟まれることとなる。世界1位の米国が徐々に成長を鈍化させる一方で、世界3位が射程距離に入った中国は勢力を拡大し続けている。この変化は、日本企業やビジネスリーダーにとって、新たな価値創造の機会とも受け取れる。

中国は記録を更新

これまで多くの人々が長きにわたり、中国が経済大国となることを予測してきたが、ここへ来て、ついに同国が主要な実績指標をクリアし始めた。「Chinese economy surges 11.5%(中国経済は11.5%で急成長する)」と題する(BusinessWeek誌の)記事は、「中国は軌道に乗っており、2007年12月から2008年初頭には、ドイツを抜いて米国と日本に次ぐ世界3番目の経済大国となる」と報じている。国際社会における競争のステップを幾年もかけて必死に上がり、名実ともに世界経済の頂点へと、ついに達したのである。

しかも中国経済は、国営の資本主義には依存しなくなってきている。「China’s Elite Aims for Stability(中国人エリートは安定を求める)」と題する(BusinessWeek誌の)記事は、「起業家は中国において仮想的な政党のような存在となりつつあり、共産党に次ぐ実権を握っている。私たち(政府)は起業家の言葉を傾聴し、そのニーズに注意を払っている」という官僚の言葉を紹介している。

中国で起業家に対する敬意および影響力が強まっていることは即ち、中国経済が時間の経過に伴い、もはや過去の基本「5カ年計画」に依存する必要がなくなり、その代わりに消費者ニーズに注目し始めるであろうことを示唆している。

米国は景気減退の方向

中国の信じがたいほどの貿易収支と、持続的な経済成長とを前提に考えると、米国や他の先進国は、競争力を高めるため、より多くの力を払わなければなさそうだ。あいにく、著名投資家の一人、Jim Rogers氏は、少なくとも短期的には米国の未来に関してはっきりと悲観的な態度を示している。

英国The Telegraph紙の記事「Jim Rogers quits dollar after declaring US recession(Jim Rogers氏、米国の景気後退を宣言し、ドル使用を止める)」でRogers氏は、以下のように述べている。「米国経済は間違いなく景気後退の局面にある。多くの産業は実際、景気後退より更に悪い状態にある。(連邦準備銀行知事の)Ben Bernanke氏が莫大な資金を市場投下していなければ、株価はおそらく現在の価格より、はるかに下落していたであろう」。

The New York Times紙の「 Reports Suggest Broader Losses From Mortgages(報告書は、不動産抵当からのより広範囲な損失を示唆)」は、米国経済が、より一層の酷い状態にあることを漂わせている。記事は、不動産関連の損失が数兆ドル規模に達すると予測。「調査会社のGlobal Insight社は、(米国の)住宅価格の全国平均が2008年には5%、2009年半ばには10%下落し、合計すると約2兆ドルの(純資産の)損失となるであろうと推計した。Goldman Sachs社のエコノミストは、(同住宅価格の全国平均が)15%下落し、3兆ドル以上の損失と予測している。これについて20%以上の下落可能性を述べる者もある」。いずれのシナリオも、米国の消費者あるいは米国通貨の購買力が健全化する予兆となってはいない。

経験を活かす機会到来

これらを踏まえると、中国の強い(安価に供給される)生産力と、米国の強い購買力とに依存してきた企業は、その戦略が、そう長くは奏功し続けないことに気づくかもしれない。間接的に、じわじわと進み寄るこの変化は、ビジネスサイドと政府の双方に戦略転換を迫るだろう。
日本は、これらの経済情勢(即ち、中国の立場と米国の立場)の両方を、比較的、最近に経験した唯一のポジションにある。1980年代には、日本はチャート上で2位にまで急浮上した世界的な経済大国であった。そして、1990年代には、資産価値の大幅な評価減を経験した。不動産価格の下落が、どれほどの痛みを伴うものか、わざわざ思い起こさせるまでもないだろう。
日本は、これらの経験を活かすことで、今後の経済情勢にあって求められる価値を見出し、機会を創出することができる。たとえば、中国の創業期の企業に専門知識とノウハウを提供することによって。あるいは、また、米国の金融各社と協業して、下落した資産価値を適切に見積もり、再び経済の競争力を高めることによって。過去に経験したことを活かし、(現在進行形で経験している人々に)積極的な支援と指導を続ければ、日本は世界経済全体にとって、より不可欠な存在となるに違いない。(英文対訳:岩城照久)

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