第4回 『木を見る西洋人 森を見る東洋人』ほか 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
291takubo4

第4回目は古本屋さんについて書いてみようと思います。私は東京在住ですが、古本屋と言えば、神保町ですね。だいぶ減ってしまったようにも思いますが、まだまだたくさん残っています。学生時代は月に2回ぐらいは界隈をぶらぶらしたものですが、最近は時間がなく、あまり行くことができません。

でも、東京には神保町の他にも本当に多くの古本屋さんがあるので助かっています。特に中央線沿線の駅には古本屋さんが多いような気がします。ぶらっと入ってみると、毎回必ず新しい発見があり、思わず手が伸びます。そして積読状態になるのです・・・^^。専門書などは非常にきれいな本が安く手に入る場合も多いので、古本屋さんで買うといいですね。1冊の金額で2冊買えたりしますから。

古本屋さんというのは行かない方はまったく行かないと思うのですが、その魅力はなんと言っても、その店主のこだわりに応じた品揃えだと思います。理系の本を中心に扱っているお店、芸術系の本を中心に扱っている店、建築の本がやたらと多い店など、個性的な古本屋さんにいくと、それだけで幸せな気持ちになります^^。そして、その本を集めた店主の顔を思わず見てしまいます。多くの方がメガネをかけ、店の奥で本を読んでいるという映画のワンシーンのような状況がほとんどですね。

古本屋さんを訪ねるときというのは、大型の書店に行くときやアマゾンのサイトを覗くときとは違い、ほしい本が決まっていてそれを買いに行くというわけではないので、素直に、素になって書棚を見られるのが楽しさの一つでしょうか。

買いたい本が決まっている場合には、最近はアマゾンなどでも古本を買うことができますね。本当に便利になりました。もう一つ、すごいサイトがあります。「日本の古本屋」というサイト。全国の古本屋さんが蔵書を登録していて、本の名前さえ分かればありとあらゆる本が手に入ります。個人的にはここでチャレンジして入手できなかったことは1回だけです。ご興味のある方は是非一度のぞいてみてください。

では、今回の本の紹介を・・・。

『木を見る西洋人 森を見る東洋人』 リチャード・E・ニスベット著 ダイヤモンド社・刊

この本は、タイトルを見た瞬間に手に取り、買ってしまったものの一つ。米国の著名な心理学者による著作です。

私がグロービスで講師をしているクリティカル・シンキングは基本的に、複雑な物事を、それを構成する要素に分解し、それら個別要素を理解することから、元の物事全体の性質や振る舞いを理解しようとする、要素還元的な考え方をベースにしています。しっかりと物事を分解して考える力は実際、ビジネスをやっていくうえで非常に重要ですよね。

ただ、その一方、個別の要素に固執せず、全体を見わたすことも極めて重要なわけです。

この本のタイトル『木を見る西洋人 森を見る東洋人』は、まさにこの二つの相反する、しかし両立すべき事柄について、筆者の考える西洋・東洋それぞれの得手・不得手を絶妙に言い表していると思います。ちなみに本の原題は『The Geography of Thought』ですが、日本語の題名のほうが、より秀逸と感じます^^。

序章に著者がこの本を書くきっかけとなった話がこんなくだりで出てきます。東洋人、西洋人と分けて考えているのが、既に西洋的と言えなくもないですが・・・^^。

ヨーロッパ人の思考は「対象の動きは(それが物体であれ、動物であれ、人間であれ)単純な規則によって理解可能である」との前提のうえに成り立っている。なぜなら分類することによって、今問題となっている対象にどの規則を適応すればよいかがわかるからである。また問題解決に当たっては形式的な論理規則を適応することが有効だと信じている。これに対して、東アジア人は対象を広い文脈の中で捉える。アジア人にとって世界は西洋人が思うよりも複雑であり、出来事を理解するためには常に複雑に絡み合った多くの要因に思いを馳せる必要がある。形式論理学はほとんど問題解決の役にはたたない。実際、論理にこだわりすぎる人間は未熟だとみなされることもある。

ビジネスの世界に身を置いていると、とりわけ今の世では、西洋思考に偏りがちとなります。しかし、筆者が提示するように、敢えて東洋的な思考と西洋的な思考の差異を知り、東洋人、西洋人のそれぞれが得意とするものをぶつけ合い、より良いものを作り出していくという意識をもてればと考えさせられます。

グローバルというキーワードに敏感な方に是非、読んでいただきたい一冊です。

『「旭山動物園」革命』 小菅正夫・著 角川書店・刊

今、動物園といえば、北海道の旭山動物園ですね。札幌から日帰りできるとのことで、毎年ものすごい数のお客さんで賑わっているといいます。私は、実際に行ったことはないのですが、「動物の“見せ方”が素晴らしいところだ」という話は、何人もの知人から直接、聞きました。

この本はグロービス・マネジメント・スクールでアカウンティングの講師をしてくださっている尾関好良氏に薦められて読んでみました。最初は「動物園の本か・・・」と思いましたが、読み始めてみるとこれが面白い。

マネジメントを学んだ視点と絡め合わせると、事業再生の本としても、人的資源管理の本としても、経営戦略の本としても読むことができます。実際に再生を率いた園長が書いたという意味から迫力も満点です。

こんなフレーズがたくさん詰まったこの本から“敢えて”マネジメントを学んでみたい方、是非どうぞ。

野生動物と向き合い、園長として動物園のスタッフをみていて思うのは、動物も人間も、「自分らしさ」を発揮できる環境はなにものにも換え難いということである。

「動物の視点」という、もう一つの視点をくわえて設計したことが、新しい見せ方につながったのだ。

素質があってもなくても、能力に差はあっても、たゆまぬ努力を重ねながら強くなっていく選手たちが、一つの目的に向かって一丸となっているチームのほうが強い。

だかやってみなければわからない。失敗をしながら進んでいくしかないのだ。

「経営者になる経営者を育てる」 菅野寛・著 ダイヤモンド社・刊

" 世界的に著名な戦略コンサルティングファームであるボストン・コンサルティング・グループにお勤めの菅野寛氏の著書。経営教育を実践する機関に勤務する者として思わず手が伸びた一冊です。

真の経営者になるために必要な能力を「科学系スキル」と「アート系スキル」に分けて議論を展開されています。本そのものが非常に分かりやすく構造化されているのは流石という感じです。

数多くの経営者のコメントなどを引用しつつ非常に示唆に富んだ内容になっています。このコメントを読むだけでも勇気が湧いてきます^^。例えば、後に出てくる「強烈な意志」というアート系スキルに関する、ユニ・チャーム高原慶一朗会長のコメント。

いまどき流行らない精神論のように聞こえるかもしれないが、意欲は才能に勝つと私は思っている。事を成し遂げるのは人の“才”ではなく“意”である。才の不足は意で補えるが、意の不足は才では補えない。

著者は、優秀な経営者は共通して次の五つのアート系スキルを有していると述べています。
1.強烈な意志
2.勇気
3.インサイト
4.しつこさ
5.ソフトな統率力

そして、経営とはこれら個別スキルを組み合わせて初めて全体が有機的に機能する“総合芸術”であると続けます。
すべての章から多くのことを学ぶことができる本ですが、私が最も印象に残ったのは「ソフトな統率力」について述べた章の一説です。

経営者がだけが夢に夢中になっても、何も起こらない。その夢は社員、取引先、顧客に共有されなければならない。その方法はよく「コミュニケーション」という表現で呼ばれるが、これも誤解を生みやすい。コミュニケートすればよい(伝えればよい)、というわけではない。「伝えるの」ではなく、「共有する」のだ。」

そしてこんなチャートが同じページに掲載されています。このチャートは大好きで、たまに、クリティカル・シンキングのクラスの中でも紹介をさせていただいています。

Said≠Heard
こっちが言ったからといっても、聞いてもらえたわけではない

Heard ≠ Listened
聞いてもらえたからといっても、聴いてもらえたわけでない

Listened ≠ Understood
聴いてもらえたからとっても、理解してもらえたわけでない

Understood ≠ Agreed
理解してもらえたからとっても、賛成してもらえたわけでない

Agreed ≠ Convinced
賛成してもらえたからといっても、腑に落ちて納得して行動しようと思ってもらえたわけではない

経営者を目指す方、是非ご一読あれ。"

名言

PAGE
TOP