ROEを高めるための最近の傾向は? 

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前回までは、ROEの基本的な理解とROEを高めるための方向性についてお話しました。今回は、ROEを改善するために各社が取り組んでいる施策の、最近の傾向を紹介します。 前回説明したように、ROEを高めるためには、収益性を高める、効率性を高める、財務レバレッジを高めるといった3つの方向性があります。

効率性を高めるという点において、我が国では個人と同様に会社も貯蓄比率が高い傾向があります。毎年の事業活動で儲かった利益を、使わずに貯め込んでいるということです。具体的な例として、B/Sの「現金及び預金」や「(投資)有価証券」などの余剰資金の比率が高い会社が見られます。余剰資金は、事業に投下されていない、言わば眠ったおカネですので、余剰資金が多いと効率性(おカネの効率的な運用)が低下します。最近、株主総会で株主からよく言われる、「おカネをもっと事業に積極的に投下すべき」という要求は、この点を指摘したものです。おカネを事業に投下してより多くの売上を挙げることで、総資産回転率(売上高÷総資産)が高くなりROEが高まります。

一方で、おカネを事業に投下しないのであれば、配当を増やして株主に還元するべきという要求もあります。配当金を増やすと会社内に蓄積される利益剰余金(内部留保)が減少します。また、自己株式を積極的に購入するという会社も多くみられます。自己株式は会計ルールでは、株主資本から控除されますので自己株式を購入すれば株主資本は小さくなります。これらの施策はいずれもB/Sの株主資本を減らすことにより財務レバレッジ(総資産÷株主資本)を高めることでROEを高める効果があります。

財務レバレッジを高めることでROEを高める施策として最近注目されているのが「リキャップCB(転換社債)」です。東レ、カシオ計算機、LIXIL、日本ハム、ヤマダ電機等既に数十社の会社で実施されています。リキャップとは資本構成のリバランス、つまり負債と資本のバランスを変更するということです。転換社債(CB)の発行とそれによって得たおカネで自己株式を購入することで相対的に負債の割合を増やし、財務レバレッジを高めることによってROEを高めようというものです。即効性が高く、短期間でROEを高める効果があることが、人気の理由かも知れません。

一方で、日本の会社は欧米の会社に比べて収益性(当期純利益率)が低いと指摘されます。逆に言えば、収益性の側面についてはまだまた改善の余地が大きいと言えます。効率性や財務レバレッジに比べて時間はかかるかもしれませんが、会社の収益性(稼ぐ力)の改善によってROEを高めることが今後ますます必要になるでしょう。

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