第1回 『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』ほか 

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" 今月からこのコーナーで書評を書くことになりました。田久保善彦です。グロービスでは、大学院、スクールの責任者、クリティカル・シンキング、ビジネス定量分析、ビジネス・プレゼンテーションなどの科目の講師をしています。「タクボ文庫」と題した、この書評欄では、私が大学一年生のころから読み続けている、いろいろなジャンルの本の中から、新旧まじえて少しずつ紹介していこうと思っています。

私は学生時代から、コンスタントに年間100冊プラスαぐらいのペースで、様々な本を読み漁ってきました。実は、一生で1万冊の本を読むことを目標にしていたりします。^^

「社会人になってからも、それだけの本を読む時間があるなんて・・・」と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。私は大学卒業後、三菱総合研究所というところで数年間を過ごしたのですが、ここは「調べもの」の大変に多い会社で、大量の書籍にあたり、知識の基盤を広くすることも求められていました。そのため、本を読む時間は無理やりにでも確保しなければなりませんでしたし、そうこうするうちに、本を読むスピードも、速くなったのです。

結果として現在、頭を悩ませているのが、本の保管場所です。我が家では、高さ2400mmという天井まで届く高さのスライド書棚を幾つも置いているのですが、何せ、自宅に置いている本だけでも(数えたことはないですが)既に3000冊を超えるボリューム。しかも日々、凄い勢いで増え続けています。

少しでも興味を持ったものは、すぐに買う癖がついてしまっているため、週に1回~2回はamazon.comの箱が自宅に届きます。加えて、月に何度も書店にも足を運びます、そのうえ、一度読んだ本を捨てたり、売ったりするのはなんとなく気がひける性質のため、本は、ただひたすらに増える一方・・・。そのうち外部の倉庫を借りないとだめかなぁ、などと考えています。

こうなってくると、「読む本はどのようにして選んでいるの?」と、興味を持ってくださる方もいらっしゃるかもしれません。本を選ぶ基準はいろいろあると思いますが、私の場合は、「信頼する人から薦めていただいたもの」を読むことが多いです(それでも全体の1~2割ですが・・・)。信頼する人、といっても、いろいろな業界や志向の人がいらっしゃいますから、結果、乱読になります。

このコーナーでご紹介していく本も、分野や話題の統一性などは全くなしという感じになると思います。また、最新刊だけをご紹介し続けるということもなく、中には古くて入手しにくいものもあるかもしれません。ただ、最近はネットを通じ、比較的簡単に古本も手に入るので、それはそれで良いかなーと思っています。ということで、前置きが少し長くなりましたが、第1回はこんな本から始めたいと思います。"

『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』 ロバート・フルガム・著 河出書房新社・刊

" 1990年の初版ということで、だいぶ昔の本ですが、私がとても大切にしている本の一つです。

まず、『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』という題名に魅かれませんか? わずか一行で「読んでみたい」と思わせる、すばらしい題名ですよね。翻訳時に原題とは全く違う題名にしてしまうという、最近よくあるパターンではなく、英語の原題『All I really need to know I learned in kindergarten』を、忠実に訳しています。

本書の中で、私が、とりわけ印象的に思い、大切にしているのは、第1章に書かれた「わたしの生活信条」です。
・何でもみんなで分け合うこと
・ずるをしないこと
・人をぶたないこと
・使ったものはかならずもとのところに戻すこと
・ちらかしたら、自分で後片付けをすること
・人のものに手をださないこと
・誰かを傷つけたら、ごめんなさい、と言うこと
・食事の前には手を洗うこと
・トイレにいったらちゃんと水をながすこと
・焼きたてのクッキーと冷たいミルクは体にいい
・釣り合いのとれた生活をすること 毎日少し勉強し、少し考え、少し絵を描き、歌い、踊り、遊び、そして少し働くこと
・毎日少し昼寝をすること
・おもてに出るときは車に気をつけ、手をつないで、はなればなれにならないようにすること
・不思議だなと思う気持ちを大切にすること
・・・と、ありきたりの金言集などとは異なる、全ての人が子供の頃、まさに幼稚園で学んだことを思い出させる生活信条が、平易な言葉で記されています。
こんな基本を忘れなければ、今、世の中で起きている「いやなこと」は随分と減るのではないかな?と思わずにはいられません。"

『素人のように考え、玄人として実行する-問題解決のメタ技術』 金出武雄・著 PHP研究所・刊

"コンピューター・サイエンスの専門家である友人から薦められて読んでみました。

著者の金田武雄氏は、人工知能、ロボット工学の一人者です。本書は、最先端技術を生み出す現場に身を置く著者が、研究者の視点から考えたり、感じたりしたことを書いた本ですが、一般のビジネスパーソンにとっても学びの大きい本だと思います。

内容はとにかく面白くてわかりやすい。

曰く、「発想は、単純、素直、自由、簡単でなければならない。そんな素直で自由な発想を邪魔するものの一番はなにか。それはなまじっかな知識―知っていると思う心―である」。そして曰く、「しかし、発想を実行に移すのは知識が要る、熟練された技が要る」。

・・・前書きに記された、これらの文章がこの本をよく表わしていると思います。つまり、「素人発想、玄人実行」、ということ。

私も、「素人発想、玄人実行」を、実際の仕事で体現していくべく、精進したいと思います。"

『会社は頭から腐る-再生の修羅場で見た日本企業の課題』 冨山和彦・著 ダイヤモンド社・刊

" 元・産業再生機構COO、経営共創基盤CEO、そしてグロービス経営大学院客員教授でもある冨山和彦氏の最新刊。帯に、冨山さんの大きな顔写真が使われていて、書店でも目立っています。^^

冨山さんには何度もグロービスの講演会でお話をしていただいていますが、この本の中身もまさに、骨太な「冨山節」が満載です。

「経営の難しさの本質は、ほとんどが経営の持つ人間的な要素に還元される」
「組織も戦略もそこで戦っている生身の人間の本性に従う」
「合理と情理」

・・・など、「人間の本質」にスポットを当て、人の姿勢や生き方の是非が経営に何をもたらすかを、厳しく問い直しています。その意味から、経営書ではありますが、「人間とは何か」を記した本といったほうが適切かもしれません。冨山さんらしい、熱く、そして緊張感みなぎる一冊です。"

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