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リサイクルワンCEO・木南陽介氏 -“手づかみ感”を求め、環境事業に参入

投稿日:2006/09/09更新日:2019/04/09

"ビジネス"として成立させながら 社会変革をも実現する"事業"に育てたい

岡島:木南さんは、京都大学在学中に1年間の休学をしてIT関連のベンチャー企業を起業、その後、戦略コンサルティングファームのマッキンゼーを経て、2000年5月に、メーカー等の廃棄物処理やリサイクルを支援する企業、リサイクルワンを設立されました。設立から約 5年半が経過するわけですが、事業の進捗はいかがですか。

木南:ベンチャー企業の成長ステージ(図を参照)で言えば、現在は、第2段階と第3段階の中間のあたりに位置付けられると思います。ビジネスモデルを確立してサービス提供を開始し、収益があがりはじめた。これからマネジメントをさらに強化してグッと伸ばしていこう、というところです。

リサイクルワンでは事業を3段階に分けて考えています。1つ目の土台になるのが情報事業。全国に5万社は存在するといわれる廃棄物処理会社について、その手法が適正であるかを格付けし、データベース化、排出元企業に最適な処理会社を紹介する、というものです。主たる廃棄物処理会社450社については既にデータベース化が終了しています。このネットワークを活用して、会員制の排出元企業と処理企業のマッチング事業を展開しています。

その情報事業という土台のうえに据えられているのがサービス事業です。情報事業で培ったネットワークやノウハウを活用して、リサイクル関連企業の設立や運営支援等を行うものです。そして、3つ目がオペレーション事業。自ら廃棄物処理やリサイクルの事業を運営していきます。

オペレーション事業については資本が必要となりますから、最初はヒトもカネも最小限で済む情報事業から始め、ヒトとノウハウが蓄積したところでサービス事業に展開、現在ようやく3つ目のオペレーション事業に展開すべく資金調達を開始した、というところです。このため2~3年後にIPO(株式公開)を目指しています。

岡島:極めて順調かつ堅実に成長を遂げているように見受けられますが、世間一般では「環境ビジネスは儲かりにくい」という声が聞こえます。いかがでしょうか。

木南:そうですね。ビジネスモデルが確立する前に、「これからは環境だ」というイメージが先行した状態で参入し、失敗している企業が多いのかもしれません。しかし実際には、廃棄物処理・リサイクルの市場というのは10兆円を超える規模を持つんです。特にリサイクル市場の成長は著しく、新しい技術を投入した工場等が次々と立ち上がっています。ただ、市場全体が整備されておらず、情報量が不足しているために、正しい方法論というのが確立されていません。私達は、そこに商機があると見ています。

岡島:なるほど。ところで木南さんは、リサイクルワンについて語るとき、「ビジネス」ではなく「事業」という言葉をよく使われますが、これはなぜですか。

木南:「ビジネス」は純粋なるお金儲け、「事業」は「事を成す」ことに力点を置いた言葉であると、捉えています。

岡島:企業活動である以上、利益を出すことが必要ではあるが、結果的に社会が変わることも必要であると?

木南:そう思います。自分達が作りたいと思う、数十年後の社会の姿をイメージして、そこに近づくための戦略や計画を立てて、一つひとつ実行していく。先の目標を共有してこそ、ヒトは目の前の課題解決に一所懸命になれると考えていますから。

岡島:一緒に働く人達にとっても、社会を変えているという実感を持てることが大切なのですね。

木南:ええ。リサイクルワンの事業というのは幸い、世の中をダイレクトに変えているということを実感しやすい事業であることも事実です。例えば土壌汚染の改善に関わると、やる前とやった後では明らかに状態が変わる。自分のチエを使ってしたことの結果を自身が確認でき、しかも、お金までもらえる。こうした、「手づかみ感」を私は大切にしています。

マッキンゼーで得たのは巨視眼 しかし"手づかみ感"を得るには限界も

岡島:木南さんは、大学卒業後、マッキンゼーでコンサルタントとして活躍されていたわけですが、あえて「起業」というオプションを選ばれた理由についてお聞かせいただけますか。

木南:マッキンゼーでは「経営」や「戦略」を学べ、大企業の経営課題に対する問題解決能力を身につけることができ、本当に良い経験をできたと思います。ただ次第にコンサルタントという立場では、どうしても「手づかみ感」を得るのが難しい、と感じ始めました。

コンサルタントというのは、すでに発達した、いわゆる"エスタブリッシュな"事業について外部から関わる立場であり、あくまでも補佐的な役割しか果たせない。私がイメージする「リアルビジネス」との間に大きな乖離を感じたのです。これは、私自身が大学時代に起業し、実際にリアルビジネスの経験を持っていたことから、余計にそう感じたのかもしれません。

岡島:リアルビジネスとの違いを感じたポイントというのはどのようなところでしょうか。

木南:スキルや知識をつけ、コンセプトを考えたりすることは、もちろん大切ですが、実際のビジネスは絵に描いたとおりに進むものではない。もっと、泥臭いものです。頭で考えると、「とるに足らないこと」と思う要素が、実際のビジネスでは勝敗を分けたりしますよね。コンサルタントとして、客観的な立場からビジネスを見ていると、そうした感覚が少しずつ失われていくような気がしたのです。

岡島:逆にマッキンゼーを経験したからこそ得られたものは何でしょうか。

木南:例えば、業界全体を俯瞰して評価する"巨視眼"はマッキンゼーにいたからこそ、手に入れられたものと思っています。廃棄物やリサイクルというのは、煩雑で全体像が見えづらい業界ですから、こうした視点は役に立っています。しかし、ベンチャービジネスとは水と油。リサイクルワンの起業と成長にはコンサルタントとしてのノウハウはそれほど寄与していないと思います。全体の2割ぐらいでしょうか。残りの8割は大学時代の起業経験、他の事業におけるベンチャー企業経営者や仲間達から学ぶことが多いですね。

岡島:起業をするフィールドは様々あったと思われますが、なぜ「環境」というフィールドを選ばれたのですか。

木南:一つはマーケットがあり、そこにチャンスがあったからです。もう一つは自分の想いというか、こだわりですね。大学で環境問題のことを知ったこともあり、"今世紀最大の社会問題"とさえ思っています。この巨大な壁に挑んでみたい。そう思っています。しかし、周囲を見渡してみると、そういうことをやっている企業がない。それならば自分達で"つくろう"ということになったのです。起業を現実的に考えていくようになりました。

マッキンゼー入社から1年半ぐらいを経た頃でしょうか。仕事に少し、余裕が生まれた時期に、事業計画を立て始めました。調べれば調べるほど「このマーケットはおもしろい」「特に廃棄物関連市場は市場ができつつある」と思った。それで当時、三菱総研にいた本田(大作、現・取締役)と、マッキンゼーで隣の席に座っていた辻本(大輔、現・取締役)に声をかけました。

岡島:マッキンゼーを卒業することに、躊躇や不安はありませんでしたか。

木南:いえ、むしろ、最高の仲間と最高のビジネスを始められるというワクワク感のほうが大きかったですね。

ベンチャー企業として欲しいのはリスク・リターンを抜きに 「自分のやりたいこと」を考え抜いた人材

岡島:事業は最初から順風満帆にいったのでしょうか。

木南:そういうわけでもありません。基本的には過去5年、うまく成長していると思いますが、起業して1年半ぐらいを経た頃が最も投資が先行して"底"になったとき。役員報酬が一時は5万円まで落ち込みました。いわゆる"デスバレー"だと思います。

しかし、これは、一緒に働いてきた他の社員にもいえますが、そういった時期を乗り越えてきた人間は強い。「背水の陣」の感覚を、ずっと持ち続けていられる気がします。「あの苦しい時期からやってきた」と思うと、大概のことは乗り越えられる、と思っています。ベンチャー企業に設立初期から参加する醍醐味は、そんなところにもあるのではないでしょうか。

岡島:ベンチャー企業はリスクが大きいから、と、就職をためらう方も多いですよね。

木南:確かにそう思われる方々が多いと思います。ただ、ごく初期の段階を除けば、一般に言われる「ベンチャー企業のリスク」というものは実体としては「ほぼない」と言えるのではないでしょうか。

ただ、ベンチャー企業の求める人材という観点から言うと、「リスクを取ってでも、新しいことにチャレンジしたい」というマインドを持った方が理想的であるとは思っています。リスク・リターンを抜きにして、自分は何をしたいのか、どう生きることが幸せになる要件なのか、といったことを真剣に考え抜いてきた人物に来ていただきたい、と思います。

岡島:ベンチャー企業に飛び込める人と、飛び込めない人の差は、どこにあるのでしょう。

木南:一つは想像力でしょう。2年後、3年後の姿を想像して新しい世界にワクワクできるか、ということ。想像力を働かせて将来像に思いをはせ、ポジティブな思いを持てるか否かが分かれ目だと思います。そこで、悪いことばかりを想像してしまう人って結構いますよね。そういう人は、飛び込めないのではないでしょうか。

岡島:もし木南さんに双子の弟がいて、大企業で「成長する実感」を得られないまま、年収1000万円で働いていたら、何と声をかけたいですか。

木南:うーん。もったいないと思いますね。「自分のやりたいことをやろうよ」と言ってやりたい。やはり"成長の実感"は最高ですよ。また、その時点でやりたいことがないようだったら、「世の中は広い。探してみようよ」と伝えたい、と思います。

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