仮説検証、できていますか? 

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A: できるだけ多くの情報を収集した上で分析し、結論を出す
B: 限られた情報の中で仮説を立て検証を繰り返しながら、結論を出す

皆さんの仕事に取り組む姿勢は、A、B、どちらでしょうか?情報が多ければ多いほど、よりよい意思決定ができると考えている方が多いのではないでしょうか。しかし、ビジネスの現場では、複雑な要素が絡み合い、物事の本質を見極めるために必要な情報を網羅的に収集することは困難です。相当な時間と労力を投下した結果、十分な結論を導くことができなかったり、時間切れになってしまったりということがよく起こります。

そこで有効なアプローチが、“仮説検証を繰り返す”という思考法です。何かしらの問題解決をする際、新商品や中期経営計画を立案する際など、いきなり現場のヒアリングやアンケート調査をしたり、やみくもに検索して情報を収集するのではなく、「結論をイメージしながら仮説・仮の答えを持って、ストーリーを描く」ことが最初の一歩となります。できる限り早い段階で仮説を立て、検証をすることで、仮にその仮説が間違っていても軌道修正をし、新たな仮説をもとに検証を繰り返していくことで、結果としてより精度の高い結論を導くことが可能となります。

私自身、法人営業の経験の中で様々な提案書の作成、プレゼンテーションの機会がありましたが、仮説検証のプロセスを踏まず、情報の収集や分析、資料の作成にほとんどの時間を費やしてしまうことで、表面的な内容になったり、相手の共感を得られるような状態まで準備が間に合わなかったりという苦い経験を何度もしています。

一方、早い段階で仮説を立て、仮説検証サイクルを十分繰り返すことができた時ほど、アウトプットの質を高めることができていると実感しています。

仮説検証の有効性は、優秀なコンサルタントや医師、強い棋士などをイメージするとわかりやすいでしょう。医師であれば、全ての患者に人間ドックのような精密な検査をするのではなく、症状を聞き、仮説を立てながら診断をして治療方針を決めていきます。棋士であれば、数十通り以上ある指し手を全て考えるのではなく、仮説を立てて有効な指し手を絞り込んだ上で一手を選択します。

こうした「仮説力」は一朝一夕で身につくものではありません。仮説力を高めるためには、「経験を積み重ねる」ということが最も大切になります。そこで、私が担当している企業での思考力強化研修などで多くの受講者と接する中で得た、より良い仮説を立てるためのトレーニング方法を紹介します。

1) あらゆることに「だから何が言える?」と考える
新聞やテレビのニュースなどの情報や自分の身の回りのあらゆる現象に対して、それらから何が言えるのか、どういう影響があるのか、などの仮説を立ててみる。電車に乗りながら人間観察をして、乗客の衣装・表情・時間帯・降りる駅などから、その後の行動を予測するなど、楽しみながら仮説を立てるのもいいと思います。

2) 「なぜ?」を繰り返し、深く考える
目の前の事象に対して、「なぜ?」という問いを繰り返すことによって、物事を深く考え、つながりや全体像を具体的に考えていくことで、仮説を立てる視点の広げ方や絞り込み方を訓練する。

3) 周囲に協力を得て仮説を磨く
上司や同僚などに自分が立てた仮説をぶつけてみる。他者の視点や考え方のフィードバックを得ることで、自分では気がつかない切り口に触れ、仮説の幅を拡げることができる。また、周囲のメンバーとともに仮説検証の思考プロセスを共有することで、組織力も高めることができます。

最後に、周囲のメンバーの思考特性を体感するための面白いワークショップ「マシュマロ・チャレンジ」を紹介します。用意する物はマシュマロとパスタ、テープ、紐、はさみ。何らかの方法でパスタをできるだけ高く組み上げてその頂上にマシュマロを置くというシンプルなゲームです。制限時間内にマシュマロを一番高い位置で安定させたチームが勝ちです。

一見簡単そうに見えますが、議論ばかりに時間を費やしているチームは時間切れになってしまいます。無計画に積み上げたチームはパスタが折れてしまって材料が足らなくなってしまいます。成果を最大化するためにはどのような進め方をすれば良いのかという仮説を立て、それを短時間で検証し、方針を決めたら、それに沿って実行していく――。きっと、そういうプロセスの大切さを体感できるでしょう。チームビルディングの際に活用されるワークショップですが、自分自身の思考の癖を客観的に見つめる機会にもなるので、身近なメンバーと取り組んでみてはいかがでしょうか。

【参考リンク】
トム・ウージェック:塔を建て、チームを作る(TEDより)
 

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