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日本の安全保障政策~9条の精神を維持し、自国を守るには

投稿日:2015/07/07更新日:2019/04/09

衆議院議員・小野寺五典氏×東京財団上席研究員・渡部恒雄氏×慶應義塾大学准教授・神保謙氏
G1サミット2015
第14部 分科会C「世界の新たなパワーバランスと安全保障政策」

中国による領空・領海侵犯、東シナ海における防空識別圏設定、北朝鮮核問題といった地政学的リスクの増大に伴い、日本の安全保障環境は厳しさを増している。その中、昨年7月には集団的自衛権行使が閣議決定され、今年に入り、ISILによる日本人人質殺害を受け、自衛隊による邦人救出に向けた法整備が検討されている。世界のパワーバランスが急激に変化し、国際テロやサイバー攻撃といった国境を超える脅威が増大する中で、「積極的平和主義」に基づき同盟国と連携し、国家の安全保障を実現していくために、安全保障法制がどうあるべきかを議論する(視聴時間1時間14分42秒)。

小野寺 五典氏
衆議院議員
渡部 恒雄氏
東京財団
政策研究事業ディレクター/上席研究員
神保 謙氏(モデレーター)
慶應義塾大学 
総合政策学部 准教授

【ポイント】
・安倍政権の外交安全保障政策の基盤づくり、政策の進捗は驚くべきスピード。政権発足一年後、国家安全保障戦略と防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の作成。統合起動防衛力という防衛力の概念が作られ、長らく日本の防衛産業の活動を制約してきた武器輸出三原則を、新たな防衛装備輸出に関する三原則に変えて、日本の防衛産業が他の防衛産業と提携し新たな開発に着手・輸出する道筋を開くなど様々なことがなされた(神保氏)

・大臣としてやりのこしたことはほとんどない。27年度は戦後最大の予算の発注。その中で、今後継続するべきは、国内の研究機関との連結。防衛分野の研究と大学の研究の一体化、特に国立大学の研究との一体化ができていない、戦後の大変いびつな状況にある。日本の防衛技術や産業のため、国立大学でもこの分野で行動できるような方向を検討したり、防衛省で初めて研究費を大学につけた。日本の研究と安全保障のためのあまりにも大きな格差をなくすことが大切(小野寺氏)

・安全保障の世界では、自動化・無人化の流れが加速する。この先端テクノロジーをどういれていくのかが重要な課題(神保氏)

・日本の学界の一部は安全保障を非常にタブー視している。これまで、それなりに理屈のある安全保障政策をやろうとすると、メディアと野党が一体となり、日本が戦前の軍国主義になるというキャンペーンを展開したこともタブー視の要因(渡部氏)

・今やろうとしていることは、憲法九条の精神を維持し、自分の国を守ること。周辺で安全保障問題がおこれば、他の国と提携して参加する部分の整備にすぎないが、今まで過度に抑制的だったため、マイナスの影響がでやすい。ここを何とかしなければならない(渡部氏)

・単純に軍事力で対抗するのは危険かつ効果がない。相手を優位にさせないように、リサーチ・アンド・デベロップメントでたゆまぬ努力をすることが国防戦略上、安全保障戦略上で大事。そこから新しいテクノロジーがスピンオフし、産業基盤の強みにもなる(渡部氏)

・戦争と平和の歴史と技術というのは深く結びついている。次世代のテクノロジーが戦争と平和をどう変えるのか。これは日本にとっても重要な課題(神保氏)

・邦人救出の武器の使用は、任務遂行のため認められているが、実際には「情報」が鍵となり、相当難しいだろう。テロが起きて対応するのでは間に合わない(小野寺氏)

・海外では、軍が情報をもっている。外務省もがんばるが、ミリタリー・トゥー・ミリタリーの情報、武官同士の情報が非常に多い。相手の軍とつながり、海外でのテロ情報に接しやすい防衛駐在官が、相手の軍の幹部と人間関係を作る努力を今している。この人材の育成が急務(小野寺氏)

・現在、アメリカは、イランと関係を改善してパワー・バランスを変えようとしている(渡部氏)

・アメリカは軍隊を送る余裕はなく、送るつもりもない。イラクの軍を育成することで、シリアを巣にするテロリストの無政府状態をつくらないようにしている(渡部氏)

・日本がどう手伝うのか。海外援助ODAを安全保障にも使える決定や、防衛駐在官をヨーロッパに増やすこと。ヨーロッパでこそ、アフリカや中東に行くよりも安定した情報が得られる。これが日本の耳として脳として役立つはず(渡部氏)

・日本の安全保障の体制、安倍政権の高い支持率から、この一年ほどで中国側が変化。これで対話が動き、日韓の問題も少しずつ動くはず(小野寺氏)

・中国の軍事力の近代化は一環してずっと伸びている。外交的な友好関係は良好であっても、防衛当局は気をゆるさないのが鉄則(小野寺氏)

・軍を動かすことで、いちばん気にするのは国際社会にどう映るか、国際世論を見方につけることができるかどうか。緊張感がある場所でも、できるだけ警察圏の範囲で行うことが基本。軍が出るときの反応は大変大きくなるので、しっかり監視することが大事(小野寺氏)

・グレーゾーンといわれるのは自衛隊が出る前の段階。そこから自衛隊が出るというのはデリケートな問題。緊迫した場面で防衛出動すると、外からは日本が非常に好戦的な態度だと思われる。中国はこの矛盾をわかっている(渡部氏)

(肩書きは2015年3月20日登壇当時のもの)

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