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89名のノーベル賞を輩出するシカゴ大の入試とは――暗記力より、伸びしろと社会貢献力

投稿日:2015/06/02更新日:2021/11/30

文部科学大臣・下村博文氏×インターナショナルスクールオブアジア軽井沢理事・小林りん氏×品川女子学院校長・漆紫穂子氏×藤原和博氏
G1サミット2015
第10部 分科会B「大学入試改革と中等教育」Part1

暗記・詰め込み型から、多面的評価の入試へ--大学入試が大きく変わろうとしている。2021年、現在の小学校6年生が大学を受験する年に、現行の大学入試センター試験が廃され、新共通テストが創設される。「課題解決能力」「企画力」「人間力」を育み、世界で活躍する人材を輩出するために、中高教育は今後、どのように変化していくべきか。教育改革を推進する下村大臣、教育再生実行会議有識者である漆紫穂子氏、同会議分科会有識者の小林りん氏をパネリストに迎え、大学改革とこの国の教育の未来を議論する(肩書きは2015年3月20日登壇当時のもの。視聴時間39分40秒)。

漆 紫穂子氏
学校法人品川女子学院 校長
小林 りん氏
学校法人インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢 
代表理事
下村 博文氏
文部科学大臣
衆議院議員 
藤原 和博氏(モデレーター)
教育改革実践家 杉並区立和田中学校元校長
元リクルート社フェロー

【ポイント】
・文科省は今、相当ドラスティックな改革をしようとしている。トータルで変えるのは、情報化社会の中で多様な個性を生かすことに重きをおくから。基礎基本は大事だが、暗記記憶中心の一発勝負の学力試験では通用しない(下村氏)

・3つの能力を入学試験のアドミッションポリシーに入れる。1)主体的に自ら解決しようという能力。2)クリエイティブな能力。3)人間的な感性。そのため、高校以下の学習指導要領も変える(下村氏)

・日本の入試には2つの問題がある。1つめは推薦AO入試。50パーセントほどがこれで入学すると大学が高校の補修授業になる。大学でついていくだけの基礎学力は、テスト結果を大学入試の評価対象の一部にする(下村氏)

・2つめがセンター試験。マークシート方式の試験では、思考力・想像力・判断力は問えないので、その学生がこれからどれだけ伸びるのか、もしくは社会に貢献するのかを問う試験にする(下村氏)

・シカゴ大学は入るのはそれほど難しくないが、ノーベル賞受賞者を89名輩出している。東大医学部は入るのが難しいのにノーベル賞受賞者が過去100年にいない。入試が難しくてもノーベル賞がとれていない(下村氏)

・現場で懸念があるのも確か。私大と国公立大の足並みの乱れ、偏差値という基準の喪失、さまざまな学力観のテストへの対策、大学での教育内容、内申書や推薦書におく重点の変化などへの心配など。ただこの改革は可能だと思っている(漆氏)

・当校は18歳の大学入試をゴールにしていない。28歳の段階で、社会で活躍しつつ自分の生活を楽しむ人を目指すと宣言しているので、現在の一点刻みの勉強はパスポートのようなもの(漆氏)

・現場で教えている教師は、明日から変われない。2020年までに、先生の教え方と内容を変えることができるのか、そこに力を入れてほしい(小林氏)

・国際バカロレアの教育を受けて衝撃を受けた。文系教科では、自分が習ってきたことがどこまで本当なのか、解釈を問われ続ける。クリティカル・シンキングが自然に醸成される(小林氏)

・アクティブ・ラーニングとは何か。4つの選択肢から選ぶのは従来型の教育。今の産業界から求められるのは、この選択肢を全部自分で考え、もしくは他の答えを用意するような、徹底的に考える人材を用意すること(藤原氏)

・何のために学習指導要領を柔軟化するかが大事。ニーズが多様化し、変化のスピードが早い中で、何年もかけて議論したものが果たしてついていけるのかという問題意識がある(小林氏)

・今までの学力試験に比べて、面接や小論文で公平な試験はできるのかという批判がある。入学試験を変えるか否かは各大学の判断だが、実施する大学には財政的な支援をする。大学自体もトータル的な経営力をもって、明確な方針を掲げてやらねばならない(下村氏)

・東京芸大では5浪も普通だというが、それにどんな意味があるのか。芸大に入る学生にとって、センター試験は落とすための試験。ダウン症の子ども、発達障害の子どもに芸術の才能があっても、現試験では東京芸大には受からない。その子のもつ能力を高めるという意味で、音大美大に学習指導要領すべてはいらないのではないか(下村氏)

・世界から日本に優秀な教授やノーベル賞受賞者が来ないのは、給与が違うから。今後は年俸制に変更する。事務方もそういった制度にしなければならない(下村氏)

・ポイントは学校の先生。本来の発想としてはすばらしい総合学習も、それをできる先生が1割、2割しかいなかった。今回も、実際は学校の現場ができるのかが問われる。学校現場の先生にも賛同してもらい、研修をパッケージとしてやらなければならない(下村氏)

・研修や教材があっても、仕組みが悪ければ広がらない。校長にチャレンジさせるため、インセンティブを校長にゆだねるような仕組みを作ったり、経営の勉強をした人が校長になったりすべき。研修だけであれば、ゆとり教育と同じことになるのではないか(漆氏)

予告編はこちらから
芸大に入るのに5浪――人生の無駄遣いではないですか?(下村大臣)

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