この瞬間、夢中になっているコトでてっぺんを目指してみる 

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G1次世代リーダー・サミット 2020年に向けて今、やるべきこと[2]

小泉:そろそろQ&Aに入ろう。今日は表現の話も出てきたけれども、次は皆さんの表現力を問う。私の大好きな小林秀雄さんは「質問する力」とおっしゃっていた。「正しい質問ができれば問題の半分は解決したようなものだ」と。皆さんもぜひ簡にして要を得た質問でご自身の思いをまとめて欲しい。

会場(出雲充氏:株式会社ユーグレナ代表取締役社長):大学時代にスタートさせた事業は東証一部に上場し、今年は第1回の内閣総理大臣賞(日本ベンチャー大賞)もいただいた。365日24時間、ミドリムシに取り組んでいる。ただ、「大学とベンチャーと大企業でうまくコミュニケートして新産業をつくるため、ユーグレナの事例を人々とシェアすべきだ」とのご意見もある。で、「なるほど」と思っていると、一方では「そんなことは考えなくていい。1日も早くミドリムシで動くバスやミドリムシで飛ぶ飛行機を実現して、資源の乏しい日本で新エネルギーをつくりなさい」といったご意見もいただく。自分たちの研究・ビジネスに集中する段階と、日本や世界のために自身の経験やノウハウを共有するステージとのバランスは、どう捉えたら良いのだろうか。

会場(高橋大就氏:「東の食の会」事務局代表兼オイシックス株式会社海外事業部長):私の挑戦は、今は被災地として記憶されている東北を、2020年までに地方創生のモデルケースとして記憶される地域にすることだ。特に福島の食という挑戦がある。この最も難しい課題を乗り越えることができたら、日本の他の地方はもう言い訳できないと思う。具体的には1年半以内に福島の食からヒット商品番付に乗る商品を出したい。そのための鍵はやっぱりデザインとクリエイティブだと思う。福島に限らず、「1次産業もしくはローカルコミュニティ×デザインおよびクリエイティブ」には大きなインパクトがあると考えている。ぜひこの点でアドバイスをいただきたい。

会場(小林りん氏:学校法人インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢[ISAK] 発起人兼代表理事):御三方に伺いたい。まず南場さん。家庭を優先された2年間へ入るに先立って現場を離れるにあたり、何か不安だったことや、逆に準備をなさっていたことがあればぜひ伺いたい。次に西村さん。大きな問題を先送りにしてしまいがちな官側の課題を解決する考え方の1つとして民間人の採用や登用があると思う。今はさまざまな民間の諮問会議等があるけれども、そこでどうすれば民間の血を入れていくことができるとお考えだろうか。そして、水野さんには問題発見能力について。まさにISAKでも問題解決能力の先にある発見能力を培わせたいと考えている。中高生頃の年代でどんなことをすればそういった力が培われるとお考えだろうか。

会場(仲暁子氏:ウォンテッドリー株式会社代表取締役CEO):南場さんは、今まで事業を大きくしてきたなか、経営者としての視点が変わる機会もいくつかおありだったと思う。どんなタイミングで日本や世界のことを考えるような視野に広がったのだろうか。それともう1つ。巨大な資本が集まってユニコーン企業も次々生まれているシリコンバレーに比べると、日本で優秀なエンジニア等をグローバルに集めるのはなかなか難しい状況だと思う。となると、今後はたとえばニケシュ・アローラさんをトップに据えたソフトバンクのように、日本を1市場と捉えたうえでグローバルに経営展開をするのが今後のトレンドなのかなとも思う。DeNAあるいは南場さんとして、企業がグローバルで戦っていくにはどんな戦法にすべきだとお考えだろうか。

西村:りんさんのご質問にお答えすると、まず官僚の人たちは、早いうちから民間や県庁といった別組織に出向するような経験をするといいと思う。私も30歳ぐらいの頃、石川県の商工課長として働いた。そこで自分が責任者になると問題を先送りできなくなった。翌年に知事選が予定されていて、「それまでにこれを解決しなきゃ」といった話になっていたから。そんな風に責任者として大きな問題を抱えて、それをやり遂げるという経験が大事になると思っている。

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あと、政治家側から言うと、民間企業や有識者の方々から意見を聞くことのできる諮問会議や産業競争力会議はすごく刺激的だ。役所から出てこない現場の声や、世界を見た学者・有識者の方々の話はすごく勉強になる。それで、偏った意見の聞き方をするのでなく幅広い情報を集めたうえで、大きな方向性を政治主導で決めていきたい。官僚は自分で決めることができなかったりするけれども、決定さえすればその方向にきちんと動き出すので。ただ、学者・有識者に関しては若い世代にも入ってきてもらいたい。今は竹中平蔵さん、伊藤元重さん、岩田一政さん、あるいは吉川 洋さんといった方々ばかりに来ていただいている状態なので。もちろんそうした方々は皆素晴らしく、大変な刺激を与えられている。ただ、その次の世代をなかなか存じあげないので。だから、「こういう人がいますよ」という方がいたらぜひ皆さんにも教えていただきたいし、育てていただきたい。それで我々のことも育てていただければと思う。

あと、仲さんの質問には私からも少し。東京からになると思うけれども、とにかく日本で国際ビジネスが展開できる環境に早く変えないと取り残されてしまう。だから、それを特区でもやっていく。また、インターナショナルスクールを設立しやすくしたり、外国人医師が活動しやすくなるような形にしたい。先日は英語で各種手続きがワンストップで行えるセンターも東京につくった。そこで、これまで20日間かかっていた手続きを4日でできるようにしたりしているが、もっといろいろなことをできるようにする必要がある。それができて初めて、日本で国際的なビジネスができるようになるのだと思う。スピード感を持って進め、2020年までにさまざまなことを変えていきたい。

水野:問題発見能力を高めるために必要な教育は、「1方向からのみ見るべからず」ということを教えることに尽きると思う。すごく難しいけれども、そのためには観察力と知的好奇心と知識の3つを鍛えてあげる必要がある。知的好奇心は、たとえば「旅に出ろ」でも構わない。それも大切だ。で、観察力を鍛えるのは、僕らの業界で言うところのデッサン。デッサンというのは描く練習だと皆さんは思っていらっしゃるかもしれないけれど、実は観察力を鍛える授業だ。たとえば林檎は必ずどちらかに膨らんでいる。日光の当たるほうが膨らむから。そうしたことを見つける道具としてデッサンも教えてあげてみて欲しい。あと、知識というのは言わずもがな。得意科目を伸ばすことはもちろん、さまざまな知識を身に付ける必要があると思う。

あと、福島の何かを売っていくためには絶対に避けちゃいけない道がある。安全と安心。これをまずブランド化して明解にプレゼンする必要がある。それをせず、たとえば「おしゃれ野菜、福島から」なんて言っても買われない。僕は今、ある鉄道会社のブランディングをしているけれども、そこで鉄道という社会インフラをどう変えていくかが議論になっている。実は電車の色や形でも沿線のブランド価値は変わるので。阪急はその良い例だ。そんな風に1番の問題点から逃げないことが大切だと思う。

南場:まず、ユーグレナという会社はすごく志の高いテーマを掲げていらっしゃる。で、私としては世の中に最も大きな影響力を与えていく方法は、ご自身の信じる事業を成功させることだと思っている。事業以外で発信をしても事業がうまくいかったら意味がないので。出雲さんは現時点で事業をすごくしっかりなさっているし、私なんかよりもずっと次元の高い経営者でいらっしゃるわけで、私もおこがましいことは言えない。ただ、冒頭の話は「世の中のことをちょっと考える心持ちになった」という意味で、プライオリティとしては事業を成功させることだ。「それが成功したとき、日本や世界に恩返しができている領域で踏ん張っていきたい」と。だから、とにかくコトに向かうということでいいのかなと、個人的には思っている。

あと、組織を離れたときのことをお話しすると、実は退任の準備はプライベートで問題を抱える前から進めていた。なぜか。会場の皆さんも組織を率いていらっしゃるわけだけれども、創業者として名前が“立って”いらっしゃる。だから名前と組織が一致するわけだ。でも、それは組織やコトにとって必ずしも良いことじゃない。長い年月にわたり脈々と、創業者の能力や体調や生命に関わらず隆々と発展させるためには、どこかで創業者のイメージを断ち切らないといけない。それは創業者がやらなければいけないし、私にとって最大の仕事になると思ってかなり前から準備をしていた。

準備とは、人を育てておくこと。「育てる」というのもおこがましくて、実際は「この組織を率いてコトを企てていくため、誰がベストかを見極めること」になる。それを創業者は誰にも言わずにやったほうがいいと思って、一人で結構進めていたから、それほど心配することもなかった。外から見る以上に、DeNAの大きなヒットにはすべて守安功が深く関わっている。つくった人や言い出しっぺが他の人だったりすることはあったけれども、大きく成功させる部分にはすべて守安功が中心人物として関わっていた。で、後半は私が必ずしもいないものも多かった。

だから実力についてはまったく問題なし。求心力に関しても、コアメンバーというか、見えている人は問題なし。唯一あるとすれば、当時も1000人以上の従業員がいたので、その全員に守安のことが見えていたかという点。人心をまとめることにあまり重きをおかず、何より事業を成功させることに集中している守安功なので。でも、当時は春田(真氏:同社前取締役会長)も残ってくれたし、大変うまくいったと思う。まあ、小さいチームで大黒柱を抜くという実験を私はいつもやっていたから、DeNA全体で私がぽこっといなくなっても本当に支障はなかったと思う。

私自身もその時点では会社にまったく未練がなかったというか、次のプライベートな戦いに120%集中したかったので。だから、後ろ髪を引かれるような思いもあまりなかったし、退任時の挨拶でも喋っているうちにだんだん怒りはじめて(笑)、「お前ら、これもできてない、あれもできてない」とか(会場笑)。心の底から「ありがとう」なんて言って涙ぽろぽろなんていう挨拶にはならなくて。そういう感じで、まったく大丈夫だった。

日本全体を考えるきっかけも今の話につながる。私は患者側の立場になって初めて、「病気にならないために何かしておきたかったな」と思った。同じ経験をした人は多いと思う。本当に、心の底から悔しかった。だから病気になる前に何か手を打っておこう、と。それでも病気になることはある。でも、そのときの後悔の度合いがまったく違う。それで、同じ思いをする人を1人でも減らしたいと思った。それを、もちろん株主にもまったく反対されない形で、そしてDeNAにとってプラスとなる形で成し遂げたいと思ったことがきっかけになる。

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あと、グローバルに成功するパターンという質問に直接答えることができるか分からないけれども、日本のエンジニアはシリコンンバレーのエンジニアよりもいいと私は思いますよ? シリコンバレーのエンジニアは同じ実力で日本の2倍高い。流動性も高過ぎるし、1つの会社やチームにロイヤリティを持って取り組む点では日本のエンジニアのほうが優れている。だから私は日本がITを中心とした知的生産拠点として、もっと世界にのさばっていく実力があると思っている。そういう人材力に、すでになっている。それをもっと強化しないといけないとは思うけれども。ただ、必ずしも日本のエンジニアが良くないとか、日本で開発するのは良くないという話ではないと思う。

ただ、開発やデザインではグローバルソーシングが不可欠だ。デザイン力に関して言うと、日本は実力的にどうなのかなと思うところがあるので。それでシリコンバレーやシンガポール、ベトナムや上海へのコンフィギュレーションを考えている。世界を相手に試合をするのなら国内に閉じるのでなく、世界のリソースで組み立てていく必要がある。その点で勇気を持って行動するということ以外、あまりないと思う。質問に答えてましたかね、すいません(笑)。

会場(牧浦土雅氏:Needs-One Co.,Ltd.共同創業者/e-Education Projectルワンダ代表):僕も10年以内に政治の世界へ行きたい。そして、「ベンチャーキャピタリストや起業家を増やしていこう」といった最近の潮流に、政治家も入れていきたいと思っている。ただ、面白いことに、ある統計だと「なりたい職業ランキング」でも「なりたくない職業ランキング」でも、政治家はランクインしてくる。前者で上位に来るのは安定的な年収があるからといった理由。でも、やっぱりメディアを通して政治家がやっていることを見ていると、あまりよく思われていない。そういった状況でもパッションを共有して政治家を増やしていくため、何をしていけば良いとお考えだろか。

会場(紺野俊介氏:株式会社アイレップ代表取締役社長CEO):当社はデジタルマーケティングで企業支援を行っているが、BtoB企業は経営のなかにクリエイティブをどのように組み込んでいくべきだろうか。今は「BtoBだけにBtoC企業と比べるとクリエイティブに臨むことができていない」といった言い訳を残している状態だ。また、私は創業者ではない。それで創業者がつくった会社のさまざまなデザインを引き継いでいて、いいものは残したいとも思っている。そのあたり、どんな段階で何を変えていくべきなのか、何かお考えがあれば教えていただきたいと思っていた。

会場(徳田和嘉子氏:株式会社CROSS FM前代表取締役社長):福岡にあるラジオ局の社長を務めていて、先週、会社再建の任務が終わったので退任した。質問ではないが、先般の自民党青年局長による「メディアから広告収入をなくせ」といった発言には本当に驚いた。そもそも言論の自由という話があるし、それに私どもは営業収入とのバランスを必死に考えている。日本で最初に潰れそうなラジオ局ということで地元の政界・財界から頼まれ、今まで懸命に再建をしてきた。スポンサー様の収入がなければまったく成り立たないけれども、それでも不偏不党は必死に守っている。その辺はぜひご理解いただければと思う。

小泉:これ、ちょっと逃げちゃいけない問題だと思うので、次の質問へ進む前にお話ししたほうがいいと思う。

西村:表現や言論の自由というのは、もう当然のことだ。表現や言論を戦わせて新しい社会をつくっていくわけだし、その点、憲法はすべて自由にできることを保証している。我々だって常にそう思っているし、件の発言は私としても信じられない気持ちだった。我々も襟を正すというか、とにかく自民党の全員が肝に命じなければいけないと思っている。いろいろと誤解を招いたけれども、言論統制とか、そんなことはまったく考えていないし、まったくあり得ないので、信じて欲しい。

小泉:問題を正確に捉えたいので少し付け加える。今回の発言は木原青年局長のものではない。木原青年局長が主催した会に出席した、自民党議員による発言で、責任を取って、木原さんが更迭になったということだ。ただ、私自身は木原さんだけでなく党全体の問題だと思う。危機感を持って襟を正さないといけない。

会場(エリー・ウォーノック氏:「ウォール・ストリート・ジャーナル」特派員): 2020年に向けて自分は何をしたいかと考えると、私はアメリカに帰りたい。日本を離れたい。どれだけ頑張っても、日本語をどれほど喋れるようにしても、日本社会のメンバーになれない。それがすごく寂しい。それと、私が野球の選手ならやはりメジャーリーグで活躍したい。でも、ありとあらゆる分野で日本はメジャーリーグじゃない。だからアメリカに帰るしかない。今日の‘Show and Tell’というお話を聞いていても、やっぱり日本にいる意味はあまりないな、と。その意味で、どうすれば外国人が日本で働きたいと思う国になるとお考えだろうか。

会場(田中美和氏:株式会社Waris代表取締役/Co-Founder):「マーケティングの時代からブランディングの時代へ」というのは個人にも言えると思う。そこで私どもの会社はプロフェッショナリティの高い女性に、時間や場所に捉われない形で仕事を紹介している。で、登録いただく女性人材には、基本的には個人事業主になっていただいたうえで企業様とのマッチングを行っている。ただ、能力が大変高いにも関わらず、ご自身の強みを表現してブランディングすることに苦手意識を持つ方は多い。その点で何かアドバイスや知見があれば教えていただきたい。

小泉:「日本にいる意味がない」という刺激的な意見をいただいた。その辺については、まずは南場さんから。

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南場:現実だと思うし、そういう声が当事者から出てくることが第一歩だと思う。だから、今日は多くの日本人の前でそれを言ってくれてありがとう。では、政治家はそうじゃない国としていくためにどうするのか、と。シンガポールやイスラエルがどうやって海外のトップ人材をエコシステムごと輸入して、定着させていったのか。そこで知的創造活動をしてもらうため、どんな施策を設けていったのかを考えながら、日本としてできることをしっかりとやって欲しい。

また、日本人は日本人だけでコトを進めようとするところがある。画一的で、同じ文化的背景を持った人とこちょこちょやるのが好きな人たちに育っているわけだ。モノカルチャーで育ったから。たとえばハーバードやスタンフォードではいろいろな人種の人たちが混ざっていて、多様なチームを組まれている。でも、たとえば私は東大の先端科学技術研究センターでよく犬の散歩をするけれども、そこで多くの外国人を見るものの、彼らは皆外国人同士でご飯を食べに行っている。そういうところを見ると、「ああ、やっぱり日本人は下手で損してるなあ」と思う。会場の皆さんは日本人だけのチームでコトを進めたときに発想が小さくなることをきちんと分かっていると思うけれども、とにかくマルチなカルチャーにすること。国籍だけがダイバーシティじゃない。同じ日本人男性だけでもすごくダイバースなチームはある。ダイバースなチームでやればすごく強くなるから、それを心掛けて欲しいし、敵をつくるのを恐れず、今みたいなことをどんどん発信して欲しい。最後は逃げ場があるんだから(笑)、ね? がんがん発信して欲しい。ありがとうございました。

西村:私が政治家になりたいと思ったのは中学3年生のとき、ある政治家の演説を聞いたからだ。それまでも世の中のためになることをしたいと思って、たとえば「医者になりたいな」なんて、ぼんやりと考えてはいた。でも、その人の演説を聞いて…、その人はもうOBで、実を言うと今はあまり好きじゃないんだけれども(会場笑)、そのときは本当に感動した。「こんなに格好が良くて、世の中をこれほど変えてくれるのか。政治っていうのはすごいなあ」って。それでこの道を進みたいと思った。

そういうきっかけを我々が与えることも大事だと思う。たとえば若い人たちや小中学生に、政治がどんなをしているのかを話すというのもある。あるいは、いろいろな場面で活躍する姿を見せることが大事だろう。それで、たとえば言いたいことをスカッと発信する小泉さんのようになりたいと思う人だっている。あるいは、私のように2世でもなく、1度は落選もしたけれど、それでも頑張っている姿を見せていくのもいいかもしれない。また、さらに若い人たちにもどんどん出てきて欲しい。

一方、政治は変わってきているものの、昔はお金がかかっていいた。だから裏で何か汚いことに手を出してお金を集めているというイメージがどことなくあると思う。けれども、お金はもうかからなくなっている。以前は、選挙に1回出るのなら1億や3億かかかるとか言われていたほどだ。でも、今は違う。お金がいくらかかったかをすべて公表するようになったし、1000万円の単位でできる。もちろん日常の活動費は別だけれども、とにかく、今はむちゃくちゃなことをして金を集めなきゃいけないこともない。それに透明性も高まっているから、むちゃくちゃなことはできなくなっている。だからこそ、週刊誌に「こんなことでお金が使われた」なんて書かれるわけだ。それほどオープンになっている。そういうイメージがもう少し浸透することでも変わっていくと思う。今でも何人かは毎年事務所に来るわけだし、志す人はいると思う。そういう人たちの手本となるような姿を我々がしっかり見せていきたい。

あと、「メジャーリーグになれない」というお話について。すでにG1にいらしているので、我々の仲間に溶け込んでおられると思う。社会全体では閉鎖的な島国根性がどこかに残っていて、外から来る人を受け入れない面がある。でも、日本の歴史をよく見てみると、かつては渡来人や帰化人と呼ばれる人たちを次々に、技術とともに受け入れて発展してきた。今は日本社会が大きく変化しているときなのだと思う。今後は国際的なビジネスもやりやすくなっていく。とにかく、国際社会に対して開いていかなければいけないし、絶対にそうなると信じている。それで、すべての分野ではないにしても、いろいろな分野で日本もメジャーリーグになると思う。まあ、相撲なんかは日本にしかないからかもしれないけれども世界中から集まるし、たとえば再生医療の分野では法律の面でも世界で最も早く承認が行われていて、世界中から人が集まっている。そんな風に1流の人たちが集まる国にしたい。だから、アメリカに帰りたいなんて言わずに(会場笑)。とにかく、そうなる環境をつくりたい。

水野:僕もそのことで1つだけ。たぶん、怖いんだと思う。日本人はペリー来航からずっと怖がっている(笑)。戦争も怖かったし、いろいろな原因があるというのはちょっと置いておくとして、とにかく怖がっている。だから、ちょっと優しくしてみてください(会場笑)。そうすると、すごく楽しくなると思う。

あと、BtoB企業のブランディングについて、「甘えかもしれない」とおっしゃっていたけれども、甘え、かもしれない(会場笑)。たとえば電通はBtoBで完璧にブランディングしている。やっぱりきちんとブランディングする会社が今後は強いと思う。で、古い部分をどうするかということに関して言うと、時代に合わせてアダプテーションしていくべきだと思う。松下幸之助さんが今生きていたら、「私の本を読むな」と言うだろう。本田宗一郎さんも同じだ。革新者やイノベーターは今の時代を大切にする。

それとセルフブランディングについて。一番大切なのは特技を持つことだと思っている。僕の知り合いに、どんな質問が来てもすべてビートルズにたとえて返すという人がいる(会場笑)。これも1つの特技だ。「好みのタイプは?」「ビートルズのこの曲の歌詞に出てくるこういうタイプ」と。あと、センスに対する不安という呪縛も結構大きいと思う。では、その不安はどう解除するかというと、「それは知識で解除できます」、という本を今書いているので、ぜひ買っていただけたらと思う(会場笑)。

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会場(駒崎弘樹氏:NPO法人フローレンス代表理事):別セッションで中室(牧子 氏:慶応大学総合政策学部准教授)先生から、「全国・学力学習状況調査のデータが取れないので、エビデンスに基づいた教育政策を打っていくことができない」とのご指摘があった。この点に関して何か突破口はないだろうか。

会場(吉田雄人氏:横須賀市長):人口が減少している横須賀市としては、街全体のブランディングをしなければいけないという問題意識がある。また、小泉代議士がおっしゃったように、市役所組織もガバナンスという観点でブランディングしていきたいという思いもある。この2つは一緒に行うべきだろうか、別々に進めるべきだろうか。別々にする場合、どちらを先にやるべきだとお考えだろうか。

会場(久志尚太郎氏:株式会社TABI LABO代表取締役):たぶん会場のメンバーは人生で1度や2度…、ずっとかもしれないけれども、「お前は狂ってる」「お前は間違ってる」なんて言われてきたと思う。そんな風に言われながらも、何か新しい価値をつくることにチャレンジする人たちを、国はどんな風に応援しようとしているのだろう。「狂ってるっていうのは、実は超かっこいいことなんだよ」といったお考えがあればぜひお聞きしたい。僕は16歳でアメリカの高校を卒業したけれども、当時の僕は高校を卒業するルールを見つけた。それで母に、「こんなルールを見つけた。これで卒業できるんだよ」と言ったら、母に「お前は狂ってる。そんなことを言わないで4年間通いなさい」なんて言われたことがある。そんな経験があって、国として何をしているのかをぜひ聞きたいと思っていた。

会場(椿奈緒子氏:株式会社リサーチパネルADTestプロジェクトマネージャー): 2020年までに解決すべき課題として、「日本に来る、あるいは住む外国人とのコミュニケーションの充実」があると思う。私は夫がブラジル人で、その必要性を強く感じている。これは国や社会が変わらないと解決しないことが多い。「クレジットカードがつくりにくい」「日本に来る前に情報が集められない」「英語の案内はあるけれどもポルトガル語やスペイン語の案内がまったくない」等々。その辺をどう解決しようとお考えだろうか。そこで私たちに何かできることがあれば併せてお聞きしたい。

会場:水野さんから「怖さ」に関するご指摘があった。怖さの裏にあるのは、日本の何をどうプロデュースして、プロモートしたいのかがはっきりしていない点があると思う。そこで御三方の専門分野にそれぞれ照らして、日本の何を世界に向けてプロデュースあるいはプロモートするべきだとお考えかを伺いたい。

小泉:質問に答えていただきつつ、最後に改めて「2020年に向けて今やるべきこと」というテーマに沿って、U-40へ檄を飛ばしていただきたい。

水野:「官民で一緒にやったほうが良いのか」というご質問に関してはケースバイケースだけれども、僕は絶対にやったほうがいいと思っている。それを橋渡しできるクリエイティブが必要なのだと思う。皆さん、各々の考えは素晴らしい。「体育館を建てよう」までは素晴らしい。でも、どんな体育館にするのかが最大の鍵で、その部分を橋渡しをするのが真のクリエイティブだ。で、それはデザイナーじゃなくてもいい。僕が最も尊敬しているクリエイティブディレクターはスティーブ・ジョブズ。彼のようにいろいろなことを橋渡しできる人間を見つけると、うまくいくように思う。

もう1つ、ご質問は「狂っていていいのか」というお話に集約すると思うけれども、昨日小泉さんとお話をしていたら、僕が履いている靴のことまでご存知だった。で、「水野さん、今日はジョンロブじゃないんですね」とおっしゃる。狂ってますよね(会場笑)。そんな情報まで集めていて、すごいと思う。あと、小泉さんは語尾で「ますでしょ?」とおっしゃるときがある。これ、日本語ではあまり聞いたことがない。でも、「ます」という断定と、「でしょ?」という優しさが入っている。これ、テクニックなんだ。

小泉:素ですから(笑)。

水野:あ、素ですね(笑)。とにかく、そういう小さいことだけ見ても狂っているんじゃないかなと思うし、僕は狂っていていいと思う。あと、日本にいらっしゃる方々とのコミュニケーションに関するお話は、「怖さ」のお話とも重なる。これはクールジャパンの話だ。「クールジャパンってどういうジャパンなの?」と。で、「100の行動」にも、実はクリエイティブのお話がいくつか出ている。ただ、大項目で出ていない。堀さん、ぜひ、クリエイティブを「100の行動」に入れてください(笑)。そして皆さんもクリエイティブを毛嫌いせず、デザイナーに丸投げせず、ぜひ協力していただきたい。インフォーメーションテクノロジー×クリエイティブを実践していきたいので。

西村:皆さん、これから日本が変わらなければいけないというか、我々がしなければいけないことを的確に言ってくれている。まず駒崎さんのご質問だけれども、来週閣議決定する骨太の方針でも「きちんとエビデンスを取ったうえで政策を決定し、実行する」ということを謳っている。結果についても同じだ。エビデンスを取って、たとえば予算の使い方が正しかったのかを検証していく。また、同方針には「そうしたエビデンスのデータをどんどん公開していく」ということも書いた。学校の話が個別にどうなるかはまだ分からないけれども、基本的にそういう方針で進めている。

あと、私は異能・異端が認められるかどうかが、国が変われるか否かを決めると思う。シリコンバレーのように新しいものが生まれる場所には多様な人が集まる。たとえば官僚出身かつ東大出身という風に、同じように育ってきた人たちが集まっても同じ考えしか出てこない。東京の誰かが3人のチームを組むなら、そこに関西の人が1人入るだけで違ってくるし、海外の人が入ればさらに違ってくる。そんな風に、どれだけ多様性を認めることができるか。今は国も異能・異端な人材の発掘プロジェクトに予算つけたり、飛び級も認めようといった議論もしている。大切なのは、違うところから来た人や違う考え方をする人を、社会全体がどれほど受け入れるか。互いに異なるものをぶつけ合うなかで新しいものを生み出せるかどうかが焦点だと思う。

その1つとして、ポルトガルの方やブラジルの方も含め、誰にとってもチャンスがあって、誰もが活躍できる環境をつくっていきたい。言語の問題は、恐らく多言語変換で同時翻訳のものができれば問題ないと思う。ただ、ATMやクレジットに関して不便な点は変えていく必要があるし、先般は日本人でないと会社が設立できないという環境も改めた。今は外国人の方がそのまま設立できるようにしている。そうした仕組みも含め、いろいろな部分を変えていかなければいけない。

あと、日本の良さをどうアピールするか。おもてなしやサービス、あるいはものづくりでも、細かく突き詰めるのは日本の強みだと思うけれど、これ、弱みでもあると思う。パナソニックでノートパソコン開発している人は、「あと1g軽くするにはどうしたらいいか」と、1年中考えているそうだ。本当に必要なのかなと思う。それが積み重なって何gか軽くなれば使いやすくなるケースもある。ただ、「そんなのは必要ない」という世界もあるから、日本として切り捨てるところと細かく突き詰めるところを切り分けていくべきだと思う。そのうえで徹底的に細かくやろうと思えばできるから、その良さを、ものづくりやおもてなしのなかでPRしていく必要があるのだと思う。

南場:皆さんには国境とか何かのバウンダリーを意識せず、とにかく今やっていることでとことん、てっぺんを目指していただければと思う。私は皆にアドバイスをするほどうまくやっているわけではないし、「自分が活躍できる環境はユニバーサルじゃないな」と思っていた。それが自分の弱みだとも感じている。グローバルになるというのは、英語ができるようになるとか、アメリカに行くとか、中国に行くとか、そういった話じゃない。「日本のローカルからアメリカや中国のローカルになってどうするんだ」と。グローバル人材になるというのは、環境を選ばずに活躍できて、どこでもうねりを起こすことのできる人材になることだと思う。私自身、どんな環境にいてもうねりを起こすことのできるリーダーになるということを意識している。

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それともう1つ。皆さんも私も同じチャレンジャーであって、恐らく唯一の違いと言えば、私のほうはちょっと平均余命が短いというだけ。これからもライバルとして頑張っていきたい。皆さんもぜひ、敵をつくることを恐れずにやって欲しい。何者にもおもねらず、あまり国にも期待せず、今この瞬間、夢中になってやっているコトでてっぺんを目指すということが、大きな幸せなのだと思う。私自身、成功したときの達成感より、何か夢中になって試行錯誤しているときのほうが幸せなのかなと、今までを振り返ってみても思う。とにかく懸命に、コトに向かって頑張って欲しい(会場拍手)。

小泉:エリーさんの、「アメリカに帰りたい」という言葉が今でも刺さっている。気持ちはすごく分かる。僕もアメリカにいた3年間、「早く日本に帰りたい」と思っていましたもん(会場笑)。日本が好きなんだ。エリーさんがアメリカを好きなように。そして自分の国が好きだから、外に出てこそ見えるものもある。だから僕はエリーさんがもしアメリカへ戻る日がきたら、その後、「日本が好きだ」と言ってもらえるような滞在期間にしてもらいたいと思っている。日本がその雰囲気をつくらないといけないし、さらには、願わくば、「日本に住みたい」と多くの方に思ってもらえるようにしたいと、改めて思った。ここでとりきれなかった質問に関しては、残り時間、コーヒー等飲みながら個別にお話しいただきたいと思う。最後までありがとうございました(会場拍手)。

※開催日:2015年6月27日~28日

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