2020年、消費税率は何%? 

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プライマリーバランス 2020年度黒字化に向けたロードマップ[4]

竹中: さて、フロアとのやりとりをはじめる前にもう1つだけ、2020年の消費税率はどうなっているかを皆様にも伺いたい。選択肢は、[1]8%、[2]10%、[3]13~14%、そして[4]15%以上の4つだ。

[1]8%: 0名
[2]10%: 大多数
[3]13~14%: 少数
[4]15%以上: 2~3名

7:2:1といった割合で10%というご意見が圧倒的に多かった。それで財政再建ができるということですね?「できないけれども10%がいい」と、無責任にお考えになっているわけではないと思う(会場笑)。

会場(柴山氏): 申し上げるまでもないが、GDPが名目で3%成長すると想定しても2020年度のPBは9.4兆の赤字になると言われている。最も楽観的な見方でも、現在の社会保障の伸びが続けば歳入と歳出のギャップが9.4兆円になる、と。どれほど上げ潮でやってもそれぐらいになる。そのギャップを埋めるためには、一時的に歳出を下げるストック改革だけでなくフローについても考えなければいけない。歳入をもっと上げるために増税をするのか、めちゃめちゃ歳出削減をしていくのか。そこは大変シビアな現実が待っていると、まず申し上げたい。そのうえで、尾崎知事のおっしゃっていることが非常に重要だと感じている。痛みを伴う形で社会保障改革を行えば大変な混乱が生まれる。従って、例えば無駄なお薬が出ないようにしたり、マイナンバーを活用したりしよう、と。知恵を絞り、できるだけ痛みを伴わない形で自然と社会保障費を削減していく必要がある。

あと、先般は世代間の資産移転について税制改正が行われた。住宅取得促進税制によって、子育てのため、孫の成長のためいうことで、世代間移転が進むのではないか。民主党さんには「それは金持ちしかできない」との批判をいただいているが、お金持ちの人にお金を回してもらうための税制ということで対応している。もちろん、このほかにも保険料徴収の問題、ストック改革、交付税の問題等々、改革すべき点は多い。とにかく今はできる範囲で、かつ経済の足を引っ張らない形で、徹底的に歳出の見直しを行っている状態だ。

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尾崎: 私は全国知事会で少子化対策のPT長をやらせていただいていることもあり、同分野に関して政策提言をすることが多い。なので、「少子化対策に資産移転を使いましょう」という税制の大英断は本当にありがたいと思っている。また、私としては経済を暖めるような税制というのもぜひ考えるべきではないかと思っている。今、贈与税と相続税は合計でせいぜい数兆円だ。1.5兆~2兆ぐらいのレベル。一方で、子ども手当てを支給するために必要となった財源は2.4兆ほど。そう考えると、2兆円ほど財政負担によって、仮に個人資産1000兆のうちの1割でも移転が進んだら、レバレッジは一挙に25倍となる。そんな風に、財政には負担をかけるけれども結果としては経済を暖める効果を持つような税制改正がある。従って、単品で消費税だけを論ずるのではなく、トータルで税制を考えていくことが大事ではないかと思う。

それと法人税にしても、できるだけ広く浅く、いろいろな方に負担していただくような仕組みにすべきだと思う。例えば、今は外形標準課税の見直しも行われてきている。あれ、零細企業には絶対やってはいけないのだろうけれども、一定規模以上の会社さんには薄く広く負担していただくほうが良いのではないか。ある意味、社会の参加費として納めていただくような仕組みも必要だと思っている。ぜひ、そうした合わせ技で議論を進めていただけたらありがたいと思う。

小黒: 先ほど公費の上限というお話をしたけれども、これに関して冷静に考えていただきたいことがある。税収は、一般会計およそ100兆の…、今は90数兆円ぐらいだけれども、その半分前後だ。一方、社会保険収入はおよそ60兆。だから、「現役世代が主に負担する社会保険収入と、老若男女すべてが負担する消費税のどちらがいいか」という視点はあるけれども、徴収能力に関して言えば恐らく社会保険料のほうが高い。その半分は法人が負担するのでその点は注意が必要だけれども、いずれにせよ、その意味でもやはり公費の部分がコアになるのではないか。それをどのように調達するのか。上限を設けたとき、例えば中央政府が面倒を見ないのなら自治体が自動的にそれを埋めるという考え方だってあるかもしれない。固定資産税も含め、そういった仕組みをつくることが実はコアだと思っている。そうでないと無尽蔵に公費をつぎ込む形になりかねないし、いろいろ改革はしても、なかなかうまくいかない仕組みになってしまうのではないかと思う。このことは従来から何人かの学者も言っているが、ほとんど議論されていない。だから、そこをやっぱり…、本題と少し離れるかもしれないが、コアな議論なので一度してみる必要があると思っている。

浅尾: 今のお話と少しかぶるかもしれないが、ぜひ皆さんに考えていただきたいことがある。皆さんからすると、給料から所得税を天引きされるのも保険料を天引きされるのも同じだと思う。金を取られるという意味では。ただ、取っている主体が違うという点は、そろそろ変えなければいけないのではないか。それで「社会保険税」と考えたほうが、本当はいいんだろうと思う。それができないのは、実は年金にしても健康保険にしても元々は特定の大きな企業や役所…、役人の場合は恩給という形だけれども、そういう人たちのためにつくった「箱」から始まったからだ。それを国民皆保険や皆年金という形で広げ、そこで足りないから税金を入れているというのが現在の仕組み。本当はその仕組みを取っ払って、集めるところも公平にしないといけない。

それと、健康保険についてももう1つ。私は先日、横浜市泉区にある「いちょう団地」というところに住むベトナム人の方を家庭訪問して驚いたことがある。その方は会社勤めだけれども、加入しているのは国民健康保険。これ自体、本当は違法だけれども、その人は最近会社が変わって収入が増え、今は6畳3間+DKに親2人と子ども4人の6人で住んでいる。この場合、毎月の国民健康保険は5万円だ。月収30万~40万前後の人が毎月5万円取られる。すごく逆進性が高い。なぜなら、国民健康保険には均等割というものがあって、収入に関係なく払わなければいけないミニマムが定められているからだ。そこで、本当なら健康保険と所得税を一本化して給付つき税額控除も入れるほうが、制度としても効率化するし、徴収漏れもなくなると思う。
全体の質疑応答は動画でご覧ください。

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竹中氏: 今日の議論をあえてまとめると、今年の夏までにロードマップをつくるため、今の議論の延長線上にはない何らかのブレークスルーが必要ということだと思う。そこで今日のご提案を挙げると、まずは資産を思い切って売却する仕組みをつくること。外為特会はその候補だ。そして徴収をしっかり行うため、具体策として歳入庁をつくること。さらには、所得税と社会保障の一体的改革に踏み込まなければいけないという意味で、社会保障改革は不可避であること。

さらには、そのための一つの方策として、「給付付き税額控除のようなものは十分考えられるのではないか」とのお話だった。一方、高齢者の定義を大きく見直すことも、国民に広く訴えていく必要があるのではないかというご提言もあった。同時に、その痛みをできるだけ柔らかくするようなマクロ的環境をしっかりとつくっていくべきである、と。ちょっと強引ではあるけれども、こういったご提言が本セッションの成果だったと思う。今日はありがとうございました(会場拍手)。

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