遺伝子リテラシーは?健康な人への啓蒙は?MYCODEの課題 

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規制緩和の働きかけ、健康な人への啓蒙…まだまだ課題は山積み

東京会場:データベースが日々更新されるのなら、今の結果よりも5年後の結果のほうが高品質になると思う。となると、検査は何年に1度受けるのが良いのだろう。

南場:遺伝情報は、絶対変わらないとは言い切れないけれども、ほぼ変わらない。だから検査は1回でいい。変わるとすれば研究のほうの進展だ。それで、たとえば「今は定かじゃないけれどもこんな仮説が出ています」という印1個の状態から、統計的な優位性もばっちり取れて、信頼性のあるデータに進化していったりする。あるいは病気になりやすい因子を持っている点では同じなのに、病気になる人とならない人がいたとする。そこで、病気にブレーキをかけている因子が見つかったりしている。そうした最先端の研究論文が世界中で書かれていて、私たちはその論文を必ずフォローしてデータベースに反映させている。そこで、読み込んだ遺伝子は同じでも解釈が一部修正されることは稀にある。

そうした更新情報は、1回検査を受けていただければ今後も引き続きお届けしていく。そのアフターサービス期間も限定していない。「MYCODE」自体が終わってしまえば別だ。ただ、サービスを実行している限り、1回受けていただいた以降は、大きな変化が出たりした際、いただいているアドレスにお伝えする。今はその追加料金も無しにしている。メール以外でも、ウェブであれば「MYCODE」内に「マイページ」があり、そこにアラートが出たりする。だから、1回結果を見た以降もなるべく、ちょくちょくページを覗いてみて欲しいなと思う。すごくお得で良いサービスなので。

あと、もう少し専門的な話をすると、今は70数万SNPを読んでいる。で、お父さんから来たものとお母さんから来たものそれぞれ30億の塩基対があるが、およそ99.9%は皆同じだ。しかし、たしか2000万ぐらいが遺伝子の個人差となるSNPになっている。その0.1~0.2%で顔も性格も違ったりするし、かかりやすい病気も恐らくそこで違ってくる、と。その個人差となるSNPを、我々は75万読んでいる。ただ、それ以外のSNPから重要な情報が出てきたら再度検査しないといけない。そういうことも稀にあって、そのときもお知らせするが、これは別料金だと思うが(会場笑)。

それともう一つ。今はシークエンスという、SNPを含めてぜんぶ読んでしまうという解析が10万円少々でできる時代になってきた。昔はそれで何千億円もかかっていたのに、今は時間にして半日で、金額にして十数万でできる。そうなると1回すべて読んでしまえば、もう何が起きようとそれをまた参照すればいい。だから、その価格がもう少し、現在の1/10ぐらいにまでなれば、シーケンサーにサービスを切り替えようと思っている。10万円以上ということで今は少し足踏みしているところだ。とりあえず現在のものでかなりカバーされていて、その範囲なら2度と検査を受けなくていい。遺伝子自体は変わらないわけで、そこが人間ドックや健診と大きく違うところになる。

東京会場:検査を受けた結果、たとえば「胃がんのリスクが平均の5倍」と言われたら大変不安になるし、診断ではないにせよ、そうした人の健康に携わるサービスを提供するには勇気がいったと思う。経営者として、そうした怖さはなかったのだろうか。

南場:病気になってしまった身としては、やはり「情報を知っておきたかった」という思いがある。従って、それを個人が選択できる社会をつくろうということで、できることを前向きに、勇気を持って進めたという感じだ。まったく怖くなかったとは言わない。ただ、病気には生活習慣などの環境要因と遺伝要因の両方が関係するので、2~3倍といった結果になることはあるが、それほど大きな数字が出ることも少ない。出ないことはないけれども。結局、それでも知って欲しいかどうかという話なのだと思う。そこで、私たちはやっぱり知って欲しいと考えた。だから、ユーザーさんには「そうした結果が出ることもあり得ますよ」とお知らせしたうえで、選んでいただきたい。

会場:病気で困っている方なら新しい薬へのニーズは明確だ。でも、そもそも健康な方は健康であるが故に、特に新しい検査にも予防法も気をつけず、「何もしなくてもいいかな」と考えている方が多いと思う。そういった方に、この新しい検査の価値をどのように伝えるのか。たとえばゲームで培ったノウハウ等があれば教えていただきたい。

南場:今はすごく簡単に、たとえば線虫を使って少量の尿からがんの有無を調べるといった方法も研究されていたりする。それはすごくいいことだ。ただ、最大の問題はご指摘の通り、本当に健康な人は検査を受けない点になる。そのために何をするかというとなるべく安く簡易にしていく必要がある。血液から調べるより尿から調べるほうがいいし、尿から調べるより唾液から調べるほうがいい。そこは研究次第でさらに簡易で安くなっていくと思う。そのうえで、可能であれば、なにかこう、面白い発見を組み合わせ、健康を意識していない人でも「やってみたい」と思えるものにしたい。

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たとえば、「MYCODE」には「ディスカバリー」というプログラムもある。これは自分の祖先が分かるというもので、それだけを買うこともできる。これ、ミトコンドリアなので母方を遡っていくのだけれども、始まりは皆アフリカだ。で、そこからインド西部や中国南部から来たという一般的農耕民族や、ちょっと北のほうを巡った民族といった風に、およそ11タイプに分けられる。それで「君って何型だった?」みたいな話ができる。「何々稲作の民でD型の人は今日すごく運が悪い」とか(会場笑)。それで、職場等でちょっと話題になるようなサービスだ。

これも1回やればSNPを読むので、そこから「ちょっと胃がんを調べてみませんか?」なんていうこともできたりする。そんな風に、楽しいことと組み合わせてやっていくのが我が社の進む道なのかなと思う。従って、もし健康的なことが怖いという方はまず「ディスカバリー」に申し込んでみたらいいと思う。「ヘルスケア」とはテイストも違う。「あなたは日本人のなかの5%で、熱帯の開拓者でした」と。「数千年前は日本でこんなことをしていて、さらに3~4万年前はここにいました」なんていう感じでお伝えしている。あと、ユーザーさんの遺伝的傾向をいくつか調べ、それを合わせて「ゲノミー」というユーザー個別のキャラクターにしていく。これはすごい数のパターンがある。とにかく、まったく辛気臭くないサービスだ。それで、日本から南アジアそしてアフリカと、自分のルーツを知る旅をするので、エコノミー症候群になりやすいかどうかだけはお知らせしているという、少しお茶目なプログラムだったりする。

そういったサービスを通して、とにかくシリアスにならず健康ケアの入り口に立ってみて欲しい。そこまで行けば、「こんな研究結果が出ましたけれども、見てみますか?」という風に聞くこともできる。だから、健康と関係ないけれども「浮気しやすいゲノム」というのを調べるような研究もあるので…、別の家族内問題になる可能性はあるけれども(会場笑)、そうしたお茶目な話題を取り入れていきたい。

大阪会場:強い思いから始まった事業ということだったが、それをDeNAさんとしてやるべきだという風に社内で理解を得るのもかなり大変だったのではないかと想像している。そこを乗り越えることができた要因等があれば教えていただきたい。

南場:たしかに、私の強い思いから始まった事業だけれども勝手にやっているわけでもない。まず、DeNAとしてゲーム事業のほかに大きな柱つくっていこうとしたとき、医療が極めて大きな産業だったというのがある。また、「ITやインターネットを用いて改革ができる産業を狙おう」という考えもあった。そこで我々が培ったスキルやノウハウといったアセットを活用して業界を新しくするような取り組みをしていこう、と。で、その対象領域がどこかとなったとき、医療・ヘルスケアが筆頭に上がっていた。従って、十分大きな市場で相撲が取れることと、そこに対するケアを、楽しく継続できるものにするという部分で、我々が持つアセットとの親和性も非常に高いと思っている。だからDeNAとしてこの領域に取り組むということに関しては、全社的にもすごく前向きだ。

大阪会場:2013年度、通期で初めて減収減益となったときも焦りはなかったとのお話だった。自分は中小企業に勤めているが、業績が落ちると大変不安になるし、経営陣がてんやわんやになる。でも、南場さんはそうした危機的状況もむしろ楽しんでおられるような印象も受けるが、どうすればそのような心持ちでいられるのだろう。

南場:社長は大変だと思う。私も社長だった頃は、四半期で業績が落ちたとき、外では元気にしていても結構ブルーだった(笑)。皆がいるところではあまり愚痴らなかったけれども、現会長の春田(真氏)は私が社長だったときのCFOで、当時は彼の部屋に入っては相当弱音を吐いていた。それをして、なんとか精神のバランスを維持していた。我が社には数百億のキャッシュリザーブがあるので、今日明日会社がひっくり返ることはない。でも、株価が下がるのは本当にきついし、株主総会で「経営者は退任しろ!」なんて言われたりもする。「経営者が気に入ったから退職金をすべてDeNAの株にした。でも、それが1/3になってしまった」なんて話を聞かされると本当にきつい。だから本当は…、先ほどは「そんなに落ち込んでいない」なんて言ったけれども、私もきつかったし、守安もきついと思う。ちょっと…、さっきは強がりました(会場笑)。

名古屋会場:遺伝子検査をはじめ、様々なサービスを提供するにあたり世間や業界から賛否両論寄せられることもあったのでは?

南場:新しい技術や新しいデバイスが出てくれば、必ず新しい遊び方が生まれ、新しい社会問題が生まれる。でも、私たち自身はそういった新しい問題に直面したときの、解決に向けた自分たちの姿勢に後ろめたさや恥ずかしさを感じたことがない。DeNAという会社は、どの会社よりも真摯に、そうした課題と向き合っていたし、誰に聞かれても恥ずかしくない議論を社内で重ねて、何にも優先してその解決に取り組んできた。それでも新しい問題は生まれる。それで、また真剣に対処していく。その繰り返しがインターネット業界なのだと思う。だから会社の体質や品格…、という言葉が適切かどうかは分らないけれども、そうした部分について、私自身は非常に誇らしく思っている。

ただ、それでも社会のほうからどう思われているかといえば、会社の大本営にいる私のような人間の思っていることとは違った印象が持たれているのはたしかだ。だからご質問もよく分かる。「では、それはどうやって解決していくの?」となると、まずは、やはり真摯な姿勢でそれぞれの課題に向き合っていくしかない。あと、なるべく社会と多くの接点を持っていきたい。私自身はその意思決定に参加していないが、球団を持った意図は、もちろん知名度を上げるというマーケティング上の算盤もあったと思う。ただ、プロ野球への参入をすれば横浜のローカルで、あるいは多くの野球ファンに名前を知っていただける。また、ネット上でなく物理的にも球場まで来ていただける。従って、その事業を通してDeNAと社会との接点はすごく拡大した。それはプラスだったと思う。いずれにしても、「イメージが悪いからこういうことはしない」では、会社は前に進めない。イメージは横に置いておいても、やりたいこと、あるいはやるべきことをしっかりと推進する。そのためにイメージが課題なら、それをしっかりと解決していくということ以外に、取るべき道は思いつかない。

仙台会場:「MYCODE」が普及をしていった場合、たとえば胃がんリスクが高い患者さん等はすぐ病院へ駆けつけると思う。ただ、恐らくは1.1~1.2倍といった微妙な数値の顧客が多くなると思う。その場合、どこがアフターフォローするかというと、恐らくDeNAさんのコールサービスだけでは足りず、きっと実臨床のお医者さんにもかかると思う。その際、今定期的に行っている健康診断との整合性に関して、厚生労働省とコンセンサスは取れているのだろうか。あるいは今後、医療現場の医師会等にコンセンサスを取っていくのか。その辺の展望があればご教授いただきたい。

南場:まさに今、その辺について医療機関と話をしている。DeNAが提供するサービスのクオリティも知らず、しかも、なんの関係もゆかりもないところではサポートのしようがない。従って、医療機関でそれをしっかりと知っていただき、そこにネットワークとして何か受け皿ができないかと思っている。実は、我が社のサービスはかなり見ていただいて、「すごくよく頑張っているね」と、医療機関のほうからアプローチしてくださるケースもある。「我々がその受け皿をやろうか」と、大学病院レベルのところからお話をいただいたりもしている。だから、そこで何かできることがあると思う。少し時間がかかるかもしれないが、そういった受け皿は必要になると、私も思う。

遺伝子リテラシーを醸成するために議論の活性化や教育が大切

東京会場:遺伝子情報は出産等でどのように役立っていくだろうか。「どんな子どもが生まれるか知りたい」というのもあると思うので。

南場:デザイナーベビーというものについては日本よりもアメリカで議論になっているし、映画にもなった。それに関連した特許を取得して社会的に批判された企業もある。日本でもそういう議論をしていかないといけない。サイエンスはどんどん進歩してしまうので。「デザイナーベビーについてどう思いますか? 受精卵のゲノムを調べて、一番良さそうなゲノムの子どもを着床させるといったことが許されるんですか?」と。出生前のゲノム検査で、ダウン症をはじめとしたいろいろな先天的遺伝病が分るようになった。で、それは社会で議論がなされた結果、比較的すみやかに認められ、実施されていったわけだ。ただ、そこに到るまでは本当にいろいろな議論があった。

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遺伝子に関しても今は法的な枠組みがなく、「これはOK」「これはダメ」というものがない。我々は遺伝子リテラシー醸成の全国キャラバン等に積極的な投資を行っているのは、そういう議論になった際、プロだけが議論に参加できるという状況にしたくないからだ。だから「ゲノムで何が分るの?」「ゲノムって何?」ということを、私たちのような一般の人間がきちんと理解して議論に入る必要があると思う。たとえば生命保険に加入しようとしている人間にゲノム検査を求めることは合法なのか否か、と。アメリカでは保険の加入前にそれを調べるのは違法だ。「では、日本ではどうなんですか」という話になる。そこでサイエンティストとゲノムの専門家だけが議論するのでなく、私たちが議論に参加しないといけない。

私自身、そういった問題についてはそれぞれ自分の意見を持っている。たとえばデザイナーベビーはどちらかというと反対だ。また、就職のときに求めるのは絶対違法にして欲しい。また、生命保険にもそれは反映しないで欲しいと思っている。遺伝子検査をベースにしないで欲しい、と。そうしたさまざまな意見があるわけで、そのなかで社会的コンセンサスをとっていくという作業を今後始めなければいけない。

そこに私たちの存在意義もあるのかなと思う。プロ級のプロではないDeNAが…、生命博士号を取っている人間が今は増えてはいるけれど、一般企業である私たちDeNAが事業としてやっているわけだ。そこに医科研さんがいて、ゲノムのプロがおられる。そこでさらに生命保険会社にも政治家にも参加してもらって、皆でこの議論をしていきたい。そのためにも、「こんなサービスを提供したらこんな課題が出てきた」ということを提示する役割も重要だと思う。それで私は5月下旬、国際ゲノム会議でわが国から唯一のDTCプレイヤーとして、「こんな課題がありました」「こんな課題を感じます」という話をする予定だ。そんな風にして社会に語りかけていきたい。

東京会場:遺伝子解析サービスでは大きな固定費が必要になるというか、最初の準備がすごく大変そうだと思った。データベースをつくるのにも多くの人が必要だと思うし、カスタマーサポートでも人員が不可欠になる。それでも、現状では遺伝情報を売るところだけでビジネス化していくのだろうか。あるいは、業界的にNGかもしれないが、たとえば匿名化してビジネスに利用されることはあるのだろうか。

南場:後者はNGだから、そこを狙ってはいない。結局、先ほど申しあげた「こういう社会がつくりたい」ということがベースになる。事業として見ると、たくさんの人に使っていただいても、それだけで黒字化するというのはなかなかハードルが高い。今も赤字だ。ただ、黒字化する一つの方法として共同研究がある。匿名化してデータを売るのでなく、一緒に研究する。たとえば、ある薬を飲んでいる人と飲んでいない人とのあいだで、どれほど疾患にかかりやすいかという点で違いがあるかを調べたとする。そこで、「遺伝子グループで分けてみてみましょう」と。そういったことを収益化するというか、きちんと研究費をいただいてやっていこうと思う。その二つが遺伝子検査に関しては収益モデルになる。あと、啓蒙の意味も含めて、もう少し軽く、「こんな論文が書かれました」という案内を出すのもあると思う。たとえば、「“細かい作業が向いているどうか”に関係する遺伝子の論文が出ました。あなたもそのSNPを調べてみませんか?」みたいなことは、もしかしたら収益化するかもしれない。

東京会場:20~30代の頃はあまり健康について考えなかった私だが、40代になった今、真剣に考えることが増えた。夫の発病と闘病を経て現在に至るまで、南場さんは何かお気持ちの変化等はあっただろうか。

南場:著書にも書いたけれど、私にとっては個人的クライシスだった。それまでは馬車馬のように働いていて、何よりも仕事優先だったわけだ。で、DeNAに入ってくる人は…、2000人もいるのでいろいろな人がいるけれども、職場では仕事に全力コミットという約束をしてもらっている。上場企業でもあるし、たとえば産休や育休といった各種ライフイベントに寄り添うような制度も用意しているけれど、どこか心の底で、なんというか…、「え!? 仕事最優先じゃないの?」なんていう気持ちがあった。もちろん、「上場企業なんだしそういう制度もちゃんとつくらなきゃ」と思っていたけれど、心ではむくむくむくっと、「え…、こういうとき、休むぅ!?」みたいな(会場笑)。

でも、当たり前だけれども、人は誰にでも必ず仕事より大事なものがあるじゃないですか。それが安定しているから仕事にも没入できる。でも、「お前は頭が悪いんじゃないか?」というほど(笑)、自分はクライシスに陥るまでそれが分からなかった。で、今は経験を経て分かったつもりだ。だから諸々の制度に関しても、制度をつくるだけじゃなく、その制度を活用して休む人を本当に祝福するというか激励するというか。「前例をつくってくれてありがとう」って、心から思えるようになった。制度に魂が入ったと思う。

そして、私はこの2年間を経てライフワークのようなものが見つかったし、それが見つかった今は以前の私よりもいろいろな意味で強くなっていると思う。ときにはブレーキをかけざるを得ないとか、仕事を最優先できないような時期はある。でも、実際にはそれが人間を豊かにしてくれるのだと思う。マネージャーとしても成熟させてもらえたと感じる。だから、今は以前ほど家族をないがしろにしていない。で、2011年から2013年までは旦那とまったく喧嘩をしなかった。これは奇跡だった。ただ、2013年からまたばんばん喧嘩していて、「意外と元に戻る部分もあるんだな」と(笑)。いずれにしても、まあ、良くなった部分もある。いろいろな意味で価値観が変わったのだと思う。家族を大事にするようになったし、ほかの人がその人の家族やプライベートを大事にすることに、形の上だけでなく、心から大賛同することができるようになった。

東京会場:人は、「これは絶対健康に良くない」と頭で分かっていても、南場さんが言う通り、危機にでも陥らないかぎりなかなか対策を取らない。今の南場さんが当時のご自身に健康をケアするように説得するとしたら、どのように語りかけるだろう。

南場:当時の私は体に良いことをまったくしていなかった。その私に、体に良いことをやらせるなら、やっぱり自分の性格が分かっているのでゲームにする。もう、とにかくゲームでは絶対に負けたくない。忘れ物の数がグラフになった途端、毎日忘れ物をして一番を目指したぐらいだから(会場笑)。そういうやつだから、ゲームやグラフにしてピアプレッシャーを生かしたりすると思う。価値観そのものを変化させるのは難しいけれど、私は人の価値観を変えたいと思っているわけでもない。何か健康にいいことを、クライシスになる前に何か始めて欲しいだけ。むしろ、「健康になるためなら死んでもいい」みたいに思われても本末転倒なので。そうじゃなくて、軽い気持ちでもいいから、何か一つ、健康に良いことをして欲しい。

たとえば今よりも太っていたとき、私はダイエットラリーというか「激やせラリー」というのを会社で開催した。まあ、当時もそれほど太っていたわけじゃなかったけれども、それでも何%減るかという競争をしたわけだ。で、100kg級の社員もいて、そういう人間は40%減っても生きていけるけれど、私が40%体重を落としたら死んでしまう。それでも100kgの人に圧勝した(笑)。だから、もうとにかく、自分みたいな人間に分からせるならゲーム化だ。そう考えてみると、現在の「MYCODE」はまだ少しストレートで真面目過ぎる。もう少し面白く、たとえば禁煙ラリーみたいなものにして、仲間からのプレッシャーを生かせるようなものにするとか、いろいろ取り入れていきたい。とにかく、宗教ではないし、価値観を変えるところまで踏み込むわけじゃない。何かのきっかけで、何か一つ、体にいいことを始めて欲しい。そんな思いから始まっている。さて、そんなわけで、そろそろ終わらせていただきたいと思う。今日はどうもありがとうございました(会場拍手)。

※開催日:2015年5月11日

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