メルカリ・山田氏×VASILY・金山氏 −世界に挑戦する急成長ベンチャーの作り方(講演) 

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金山 裕樹氏 32792

金山 裕樹氏(以下、敬称略):我々VASILYは、iQON(アイコン)というファッションアプリを運営している。会場にいらっしゃる皆さまのなかで、iQONを毎日使っているという方はどれほどいらっしゃるだろう(ほぼ挙手無し)。…現実だから(会場笑)、受け止める。実際、そうだと思う。iQONは女性向けのファッションアプリ。会場の男性方が使っているとなると、むしろ「どういうことか?」と(会場笑)。今日は、まずこのiQONがどういったサービスかを説明させていただきたい。そのなかで我々が目指していること、あるいはどういったビジネスをしているかというお話もしていきたい。

iQONは、iPhoneやAndroidケータイといったスマートフォンで動くアプリだ。ユーザーには2つの楽しみがある。1つは、ファッション関係のECサイトにある画像をコラージュのように組み合わせ、ファッション雑誌に掲載されているような1枚の画像をつくることができる点。ZOZOTOWN(以下、ZOZO)さんや楽天市場(以下、楽天)さんで買えるような服の画像を組み合わせる。男性だと分かりにくいかもしれないけれど、女性はたとえば小学校の頃、スクラップブックみたいなものをつくっていた方も多いと思う。それと同様の感覚でファッションの自己表現ができる。そして、これはSNSだから、つくった画像を投稿して交流できる。投稿したものに反応してもらったり、たとえば白い靴を使ったコーディネートを見て、「あ、この前白い靴を買ったな。じゃあ、こんなドレスを買えば素敵になるかな」ということをファッション情報として楽しめたりする。それがECと直結しているから「欲しいな」と思った瞬間に買える。簡単に言うと、「ユーザーが買えるファッション誌をひたすら投稿し続けるサービス」になる。

登録会員数は6月時点で100万人を超え、今日時点(10月22日現在)でおよそ150万人になった。100万人までは1円のプロモーション費もかけずに達成している。なぜ、こんなにうまくいったのか。そもそもファッション情報メディアが今までネット上になかった。『VOGUE』や『CanCam』といったファッション雑誌はある一方、ファッションサイトはどうか。肌寒い秋の日、「寒くなったから週末何か買いに行こう」と思ったとき、すぐ見にいくファッションサイトって、恐らく無い。そうしたマーケットのポジションがぽっかりと空いていて、そこにうまいことiQONを提供できた。女性が根源的に持つ、「お洒落がしたい」「何が流行っているか知りたい」といったニーズを、スマホとSNSの力で解決している。ニーズは元々あった。そこにハマるプロダクトをリリースして、改善を加えていくことでユーザーを増やすことができた。

ただ、「評価は低いんでしょ?ユーザー数だけなら取れるよ」なんて話もあるから、最近出てきた他のファッションアプリと比較しよう。某社さんが運営するアプリとは、AppStoreのユーザーレビューにおける最高評価の人数で大きな差がある。iQONにはおよそ6300人が星5つを付けているけれども、そのアプリには1700人ほど。VASILYの社員数は20名ほどだが、そのアプリを運営する企業さんは社員数百人の1部上場企業。それでも現在のような差を付けることができている。その意味で、僕らは相当しっかりとしたプロダクト開発能力を持つ会社じゃないかと思っている。また、iQONはファッションアプリとしては世界で唯一、AppStoreとGooglePlayStoreの両方で「ベストアプリ」も獲得し、配信プラットフォームにもしっかりご評価いただいている。

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ただ、こうした話はよく出ているので、今日は違った視点で、なぜ僕が本サービスを始めたのかをお話ししたい。始めたのは2010年。構想自体は2007年ぐらいからあった。当時の僕はヤフーで新規サービスの立ち上げ責任者というか、プロデューサー仕事をしていた。インターネットと何かを組み合わせ、新しいメディアをつくるといったテーマでいろいろ模索していた時期だ。僕はヤフーにいた4年で4つのサービスを立ち上げたが、そのうち2つはファッション系。ただ、それに加えて当時は調べれば調べるほど、マクロ環境としてネットで服を買えるようになっていた時期でもある。

今は、たとえばユナイテッドアローズさんの服はあちこちのサイトで買える。でも、そうしたブランド服は10年前、信じられないことにネットで買えなかった。ただ、今後はファッションのECマーケットはどんどん広がっていくと考えていた。当時はZOZOさんや楽天さんがすごい勢いで伸びてきていたし。ただ、買える場所が増えても、それを買いたくなるような場所がまったくないと思った。いろいろ買えるようになっても、欲しくなるような瞬間がネット上にない。だから、今でもそういう方は多いと思うけれど、何か「おしゃれな服が買いたいな」となったとき、実は未だに雑誌を見るのがファーストチョイスになっている。当時も、ネットで何かを見るということはまったくなかった。

「それって、よくないなあ」と、シンプルに思った。なぜか。マクロで伸びていくものとしてもう1つ、液晶モニタを見る時間も急速に伸びると考えていたからだ。当時はヤフーにいたこともあり、スマートフォンやPCを見る時間にはまだ伸び代があると思っていた。実際、皆さんは1日のなかでどれほど携帯の画面を見ているか。皆さんは、今朝起きて最初に観たものを覚えているだろうか。ほとんどの方が家族や恋人の顔でなくスマホ画面だったと思う。寝る前、最後に見たものも同じだ。それほどスマホやPCの液晶画面を皆が見るようになっている。2008年ぐらいからその予兆があった。

ただ、そのなかにあるコンテンツはどうかというと、当時から変わらないのはゲームとおしゃべりと、あとはゴシップみたいな情報ばかり。そこにファッションのコンテンツがまったく無かった。たくさん液晶画面を見るのに。こうなると、何が起きるか。僕としては「女性がファッションに興味を無くしちゃうんじゃないか?」という心配があった。ファッションに使う意識や可処分時間がゲームや動画に流れ、ファッションのコンテンツにまったく触れなくなってしまう。人間は単純だ。接触回数が多いものに対して愛着が湧いていく。

とにかく、すごく見ているモノのなかにファッションが無い。4マス(マスコミ4媒体)時代にはあった。4マスにしか触れない環境のなかでファッション誌にプレゼンスがあったわけだ。だから服が売れたし、女性はおしゃれだったし、街は輝いていた。でも2014年現在、スマートフォン画面のなかにファッションコンテンツが無い。「このまま3年も5年もすれば、日本の女性がおしゃれじゃなくなっちゃう」と。1人の男性としてそんな未来は防がないといけない。表参道で皆が「××××」を着ていたら(会場笑)、ウキウキできますか?表参道は世界で一番おしゃれな場所。足を運んだら、「あの人、なんか可愛いな」なんて思うことがある。ファッションがほかの消費行動と最も違うのは、他人への影響が大きい点だ。オフィスの同僚女性だってちょっと可愛い格好をしたら、やっぱり華やぐ。それほどファッションには根源的な力がある。

それなのに環境要因で皆がファッションに興味を持たなくなってしまっていって、すごく暗い国になってしまうんじゃないかと思っていた。女性がおしゃれじゃなくなってしまうと、男性も飲みに誘わない。飲みに誘わないと結婚しなくなる。結婚しないと出生率が下がり、さらなる超高齢化社会になる。でも、皆がめちゃめちゃ見るスマートフォンのなかにファッションコンテンツがたくさんあって、iQONユーザーも1000万や1億人増えたらどうだろう。女性がまたおしゃれに興味を持ち始めて、きれいな格好で街に出る。僕ならそこで声を掛けちゃう。そしてLINEの連絡先を…、あ、僕は結婚しているからそうならないけれど(会場笑)、僕が20代の独身だったら、そこで何か起きちゃう。何か起きちゃうと出生率が向上する(会場笑)。すると日本の人口動態が変わる。

だから、僕らは表向きには「ファッションアプリの運営会社」「テクノロジー企業」と言っているけれど、仕事の本質は日本を救うこと。ファッションの力で日本を変える。本気で思っている。もちろん経済も良くなる。日本を明るくする力がファッションにあると思う。皆さんの奥さんや恋人がすごいキメキメで目の前に現れたら、テンションだって上がる。そういう環境を、僕らはスマートフォンアプリでつくっていきたい。

今は会員数も150万人ぐらいになった。ユーザー層としては、テレビで言うところのF1層。若い人たちが多い。およそ2000人を対象に実施したアンケート結果を見ると面白い。「ファッションに興味がありますか?」と訊くと、「ある」と答えた方が91%。これは当然だ。ところが、63%がファッション誌を読んでいない。36歳の僕と同年代の方なら分かると思うけれど、おしゃれに興味があるのにファッション誌を読んでいないなんて、あり得ない。おしゃれな人は皆ファッション誌を読む。ただ、僕らはそういう時代をすでに変えつつある。おしゃれに興味があって、そしてファッション誌を読まずiQONにアクセスする人が増えている。そういう新しいファッション消費に向けて、一番大きなインスピレーションが生まれる場所を僕たちはつくっている。また、僕らは単にベンチャー企業の枠に捉われず、ファッションブランドの方々とともに業界を盛りあげたいと思っている。だから、各ブランドさんにもiQONに参加いただいている。「Gucci」さんから「ONWARD」さんまで、今は60以上のECサイトとアライアンスを組んでいる。そのなかから新しいファッションの魅せ方や消費の仕方を追求していきたい。

一方、ビジネスはどうしているか。電通さんの「AISAS」に則って考えると、僕らは多くのポイントで顧客との接点を持っている。基本は広告ビジネス。まず「A(attention)」の部分ではアフィリエイトがある。掲載した商品が売れたら何%かがキックバックされる。あとはバナー。今はネイティブアドにもトライしているけれど、クリックされることで対価をいただくような、いわゆるメディアとしての広告もやっている。で、アテンションを取ったあとは「I(interest)」。興味を持ってもらう必要がある。そこで自社編集部がクライアントのブランドを理解し、伝わりやすい形でユーザーへ情報を届けることで購買意欲を喚起する、いわゆる編集タイアップコンテンツも用意している。会員登録したら何かもらえるというような、シンプルな獲得キャンペーンもある。シェアしてもらう工夫も大切だ。たとえば、映画『アナと雪の女王』とのタイアップでは、「今日のあなたはどっち派?お姉さんっぽい?妹っぽい?」という企画を催した。ソーシャルネットワークでバイラルが起きるようなキャンペーンを張って1週間で2000シェアを獲得できた。

そんなふうに、スマホを中心とした新しいファッションのネットメディアとしてビジネスを展開している。あと、「S(search)」に触れていないのは、PCでは検索がメインだけれどもモバイルではあまり検索させたくないと思っているから。実際、皆さんもスマートフォンを使うときは、なんとなく開いていることのほうが多いと思う。習慣のようにスマホを取り出し、手癖のようにフェイスブックやツイッターをチェックする。逆にゴールを明確にイメージして消費するようなパターンは、スマホではあまりないと思う。

逆に言うと、そこにビジネスチャンスがあるかなとも思う。リアルでやっているような衝動買いや、買いたくなるインスピレーションを呼ぶ瞬間が、モバイルでも生み出される環境になってきていると思えるからだ。リアルな消費行動は、ざっくり言うと2つに分かれる。その1つが、「30インチの青いジーパンを8000円以内で」と考えて買うパターン。もう1つは、なんとなく新宿駅周辺を歩いていたらルミネでジーパンを見かけて、「買うつもりはなかったけど欲しくなっちゃった」というパターンだ。

インターネットでは、前者はアマゾンさんやZOZOさんやグーグルさんがめちゃめちゃやっている一方で、後者は未開発。ただ、最近はフェイスブックやツイッターといった、何気なくだらだらと時間や情報を摂取するようなメディアが出てきたことによって、その土台のようなものが生まれつつあると思っている。だから僕らとしても、衝動買いやウィンドウショッピングをしてもらうような感じで消費者にうまく情報を届け、モノを買っていただきたいと思っている。雑誌だってそうだ。「今日は3万円するGucciのシャツを見つけるぞ」と考えて、『VOGUE』を開いたりしない。なんとなく『VOGUE』があって、そこにあるファッショントレンドを知るような流れだと思う。

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あと、最後にグローバル展開に関するお話もしておきたい。僕らはまだ国内でしか展開していない。これからの挑戦だ。我々はグローバル展開についてどのくらい本気か。社内でよく言っているけれど、5年以内に海外売上比率が国内売上比率を超え、社員もユーザーも外国人のほうが多い状態にならないと会社が潰れるというぐらいの危機感を持っている。僕らのサービスはインターネットではニッチだから。15〜34歳でスマホアプリを使い、かつファッションに興味を持つユーザーは、ざっと試算すると日本で822万人しかいない。今は『パズドラ』が3000万人で、『モンスト』もおよそ1500万。そう考えると、僕らがフォーカスしている市場はまったくのニッチだ。国内でのスケールなんてもう先が見えちゃっている。

ただ、同様の女性層はイギリスにも南アフリカにもアメリカにも中国にもいる。だから我々はこの事業をグローバルニッチだと捉えている。今は、「その最初の地域となる日本でしっかりやっていこう」と。また、日本のファッションコンテンツにはすごいパワーがあるから、日本発ファッションコンテンツをグローバルに打ち出して勝負していく。そうした広がり方で勝負したい。大変だとは思う。こういうことをやろうとしている会社はないし、そもそもファッションSNSのアプリ単体でビジネスをしている会社は、日本で我々しかいない。また、インターネットの歴史を振り返ってみると、ファッションメディアが立ち上がったこともない。でも、僕たちはそれにトライして必ず成功させる。これから、そんなふうに考えるメンバーを集め、チームをつくっていく必要があると思っている。

では、僕らはどんな人材を求めているか。アーネスト・シャクルトンというイギリスの冒険家が新聞に掲載した、世界一有名な求人広告というものがある。そこで求められていた人物像は、まさに僕らが求めているものだ。広告には、こう書かれている。

「求む男子。至難の旅。僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。絶えざる危険。生還の保証無し。成功の暁には名誉と賞賛を得る」

僕らは本当にこんな感じで毎日ビジネスをやっている。そんなところに共感してくれるようなメンバーが集まれば、きっと世界を獲れるんじゃないかと思う(会場拍手)。

32794 山田 進太郎氏

山田 進太郎氏(以下、敬称略):私たちはメルカリというフリマアプリを運営している。私は2001年にウノウという会社を創業して、そのあといろいろとウェブサービスをつくっていた。そして2008年ぐらいから、「モバイルとゲームは日本の強みだ。モバイルでゲームを作れば世界で使われるインターネットサービスになるんじゃないか?」ということで、モバイルゲームをつくり始めた。2009年にミクシィがモバイルのほうでオープン化して、サードパーティーもゲームをつくることができるようになったから、我々も「まちつく!」というゲームをリリースした。それによって、初期のモバイルソーシャルゲーム会社としてはかなり成功することができた。

ただ、ウノウ自体は2010年、Zyngaという会社に売却している。元々、ウノウのミッションは「世界で使われるインターネットサービスを創る」というもので、それを目指して「まちつく!」もほかのサービスもつくっていた。ただ、当時はグリーさんやDeNAさんが次々と、100億や400億といった価格で現地企業を買収をして海外に進出しようとしていた時期だ。「我々がその状態に行くまで、どれほどかかるのか」という思いがあった。私たちはガラケーのソーシャルゲームをつくっていて、それ以降はスマホの時代になることも分かっていたけれど、「その道のりはかなり長いな」と。

Zyngaから買収オファーがあったのはそんな時期だ。当時、彼らはフェイスブック上で2億〜3億人のユーザーを抱えていた。そこで、「ミッションを取るか、独立性を取るか」というなかで、「一旦ミッションを取ってみよう」と、売却を決めた。2010年8月の話だ。ただ、その結果としてどうだったかというと、正直、それほどうまくいかなかった。1年半ほどそこで働いていたけれど、世界的なサービスをリリースすることもできず、「ちょっとここでは難しいな」ということで辞めたのが2012年1月。それからは個人的に1年ほどかけて世界1周をしたりしたのち、2013年にメルカリを創業している。

メルカリは、スマホのカメラで撮影しても簡単に出品できるフリマアプリのサービス。購入時はアマゾンや楽天と同じようにクレジットカードやコンビニや銀行ATMで支払いが行える。ただ、実際のお金はオークションと違って我々が一時ホールドする。そこで売り手と買い手が互いに最終的な評価をするのだけれど、それまで我々がホールドする。だから基本的には、何か変なものを送りつけられても購入者の方が「いや、これ違うじゃない」と、我々にクレームを挙げていただければ支払いは完了しない。つまり、原則的に詐欺がすごく発生しづらい構造になっているのが特徴だ。

オフィスは現在、六本木に本社を構えているほか、サンフランシスコと仙台にも拠点を置いている。仙台拠点では主にカスタマーサポート(以下、CS)の業務を行っている。現在、資本金は41億円強。今月アナウンスしたのだけれど、すでに23億ほど集めていて、この規模の会社としてはかなり大きな調達額だと思う。設立は2013年2月1日。創業から2年経っていない。

チームとしては私が代表取締役で、アメリカでは石塚亮という人間が現地の社長を務めている。彼は元々、アメリカでRockYou!という会社を創業していて、アメリカ暮らしのほうが長い。ただ、創業時は日本に赴任していて、ちょうどそこを辞めるタイミングで、私のほうから「アメリカで事業をやりたい。しばらく日本で一緒にものをつくろう」と誘った。それでジョインしている。また、富島寛という取締役もバンク・オブ・イノベーションという、最近ソーシャルゲームが当たっている会社だけれども、そこで創業者兼社長を務めていた。私を含めたこの3人に関しては、ソーシャルゲームをつくっていた経験とエンジニア経験があるという点が特徴になる。あと、のちほど登壇する小泉文明。元ミクシィ取締役CFOで、去年12月にジョインした。社員数は現在およそ90人。アメリカにも15人ほどいるから恐らく100人を超えている。ただ、その半分以上はCS人員だから、実際にプロダクトをつくっている人間はかなり少ない。プロダクトサイドで25人ほど。あとは間接的なマーケティングや人事などで20人弱になる。

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なぜ、現在のような事業を始めたのか。これは「C2C」、つまり個人間取引だ。今後も経済はどんどん発展するが、日本人やアメリカ人のような生活を全世界の人がするのは不可能だと思う。だから必然的にモノをリユースしていくというか、使えるモノなら誰かに譲って使ってもらう。そういうことを先進国はしていかなきゃいけない。発展途上国もそういうことをやらないといけない。70億〜80億人という人口が現在のアメリカ人や日本人のような生活をすることはできない。だからC2Cサービスが必要になる。

私たちはスマートフォンで完結するサービスが求められていると考え、本サービスをつくった。当社は「滑らかな社会を築く」というミッションを掲げている。メルカリのようなサービスで社会の壁を取り払っていきたい。たとえば、今は日本版とアメリカ版があって、両者はやりとりができない。でも、将来的にはそういうものも取っ払う。たとえば日本人が出品した車をアフリカ人が買えるようにしたい。そんな思いで去年2月につくり、同7月にリリースした。現在はそこから1年3カ月ほど経っているが、結果としては500万ダウンロードを突破して、購入金額は月間数十億円規模になった。1日の出品数は10万品以上。テレビCMで一気に上がり、その後さらに伸びていった。

競合動向に関して言うと、「ヤフオク!」さんは流通額が700億円ほど。ヤフーさんは先般ブックオフを、そして今日もちょうど「carview!」という車のサイトを買収して、わりとB2Cのほうに向かっている。今、結構伸びている。特に最近は購入者が「Yahoo!プレミアム」という月額399円のサービスに入らなくてもいいことになり、ここ1年ほどでさらに伸びた。その前の2年ほどはあまり伸びておらず600億円ほどだったが、今はおよそ700億円になっている。LINEさんにも「LINEMALL」がある。ただ、こちらは出品数も少なくて、月間の流通も「数億円いっているかな」という状態。我々とはおそらく10倍以上の差があると思う。彼らも今は共同購入のような形を発表したりして、B2Cのほうに向かっている。また、C2Cでは「Fril」というサービスもある。これは女性向けに特化したサービスで、「ClooShe」さんや「SHOPPIES」さんに近い。流通額は数億円と彼らは言っている。あと、「チケットストリート」というチケットを扱うようなところもあって、流通は月額1億円ほどと言われている。それ以外にも「パシャオク」や「マムズフリム」(編集部中:それぞれ2014年9月、11月にサービス終了)といったサイバーエージェントさんのサービスを含め、僕らが昨年7月にリリースして以来、同様のサービスは20ほど出てきている。でも、現状では我々が頭一つ抜け出した状態だと思う。

ただ、我々が今最も力を入れているのはアメリカだ。理由は、アメリカで広がらないと世界的サービスとは言えないと考えているから。この点については、ホンダを世界的大企業に育てあげた藤沢武夫さんの考え方に倣っている。ホンダが二輪で成功した際、他の重役は皆、「東南アジアに進出しましょう」と言った。でも、藤沢さんは「アメリカで成功しないと世界的ブランドにならないからダメだ」と。それで当時、のちの2代目の副社長になる川島喜八郎に、「お前は成功するまで日本に帰って来るな」と言ってアメリカに送った。そしていろいろ努力した結果、成功したという話がある。

インターネットでも同じだ。アメリカで使われるサービスにならないと世界的サービスにはならない。今、LINEはすごいと言われているけれど、アメリカでは多くの人に使われていないから、日本と東南アジアでちょっと流行っているサービスという程度に思われてしまっている。従って、我々はまずアメリカに進出して、アメリカで使われることを最重要課題にしている。アメリカで成功すれば、ほかにも良いことがある。アメリカは世界の縮図。いろいろな人種がいて、多様なコミュニティがある。そこで成功できれば、ほかの国に行っても恐らく成功できるだろうと考えている。

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で、もう1つ、僕には、「日本のネットベンチャーがアメリカでは成功していないから」という思いもある。海外でも楽天やグリーが進出して、一定の成功を収めている。しかし、大成功しているベンチャーはない。それを最初にやりたい。今は日本とアメリカにレベルのそんなに違いはないと思うけれど、実際には成功している日本のベンチャーが1社もない。今は野茂英雄さんが渡米する前のような状態だ。誰か1人が成功すれば、それに続いて新しいベンチャーが次々にアメリカに進出して成功する。その先鞭を我々がつけたい。

では、どういうふうにやっているのか。我々は去年11月に準備開始ということで、主に「こんなプロダクトをつくっているんだけれど、どう思う?」とヒアリングするところから始め、採用も平行して行った。アメリカの法律は結構厳しい。我々のサービスでは物流と決済が重要なファクターになるけれど、その辺に関しては20人以上の弁護士や会計士と会って、法的にクリアしてきている。先ほどご紹介した石塚は向こうで会社をやっていたから、彼の人脈で、たとえば「Craigslist」(クレイグリスト)という向こうで流行っているサービスにいた人や「eBay」の幹部など、かなり良い人たちにアプローチできていると思う。で、今年4月にはサンフランシスコにオフィスを開設し、石塚が赴任している。ただ、開発に関しては日本とアメリカで同じものをリリースしていて開発リソースが分散すると効率が落ちるので、今は日本で行っている。

仕事の進め方に関しては、日米で感覚がかなり違っているというのが今年春までの印象だ。いずれにせよ8月にテストリリースを行い、日米で数字の違いを精査したのち、9月に正式リリースの運びとなった。今、USスタッフは15人ほど。数字を含めて、手応えは悪くないというか、ほぼ日本と同じ数字が出ている。それで、「これはいけるだろう」ということで積極的な投資を始めようとしている。あと、これは雑感になるが、アメリカ進出に関しては、いろいろな人が、いろいろなことを言う。「アメリカの会社じゃないと資金調達できない」と言う人もいれば、「アメリカの会社じゃないと採用できない」と言う人もいる。でも、「そうでもないかな」と思うことが多い。皆言っていることが違う。スタンダードであるかのような、それらのセオリーに沿ってしまうと普通のことしかできなくなる。だから、あえて言っていることを無視して進めることも、ときには重要だ。

また、現在は何人かのテクニカルなスタッフを除いて、基本的には日本で生まれ育ったような人はアメリカに送っていない。ただ、それでも日本のアドバンテージはもっとうまく利用したほうがいい。我々はグロービス・キャピタル・パートナーズさんから第2回目に出資していただき、第3回目もフォローしていただいたのだけれど、WiL(ウィル)というベンチャーキャピタル(以下、VC)さんからも出資を受けた。向こうで活躍している方やアメリカ進出を支援してくれるような人を紹介してもらう。エンジニアリングのコストも日米でまったく違う。日本では優れたエンジニアでも1000万円以上の人は意外と少ない。でも、アメリカには2000万円以上のエンジニアがざらにいる。だからコスト的には倍ぐらいかかかる。「エンジニアリングに限らず、いろいろなことを日本でやったほうがいいと」思うこともある。日本はモバイル環境が非常に良いので、日本から新しいサービスをアメリカに持って行く発想も今は可能だと思う。とにかく、日本のアドバンテージをもっとうまく利用して進める必要がある。現在は人材もばんばん募集しているので、ぜひ興味のある方はお声掛けいただきたい(会場拍手)。

→このあとのVASILY・金山氏×メルカリ山田氏・小泉氏の対談はこちら

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